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妬みそねみひがみ、恨みつらみに負け惜しみ、悩み半分、ふみ読み半分日記

七味日記2003年10月下旬   

七味日記総目次 

2003/9上旬  2003/9中旬  2003/9下旬

2003/10上旬  2003/10年中旬  10月下旬   

2003/11上旬  2003/11中旬  2003/11下旬


七味日記2003年10月下旬目次
2003/10/21 ニッポニア教師日誌 象形文字の教え方
2003/10/22 ニッポニア教師日誌 教授法発表
2003/10/23 ジャパニーズアンドロメダシアター 『わらびのこう』
2003/10/24 ニッポニア教師日誌 レストランごっこ
2003/10/25 アンドロメダM31接続詞 ネットのご縁も他生の縁
2003/10/26 ジャパニーズアンドロメダシアター 『ナイチンゲールでなく』
2003/10/27 ジャパニーズアンドロメダシアター 『北京バイオリン』
2003/10/28 ニッポニア教師日誌 会意文字
2003/10/29 ニッポニア教師日誌 自慢じゃないけど自慢です
2003/10/30 ニッポニア教師日誌 学生は食わぬ餃子
2003/10/31 ニッポニア教師日誌 宝さがし

七味日記2003年10月上旬

2003/10/21 火 晴れ 1026
ニッポニア教師日誌>象形文字の教え方

 漢字、会話2コマ。
「非漢字圏学生の漢字の認識」でドクター取得の糸子さん、韓国で7年教えて、韓国語はぺらぺら。オーストラリアで教えてきたよう子さんは英語ぺらぺらだし。いいな、ちゃんとことばができる人。

 日本語オンリーの私、今日もブロークンイングリッシュで乗り切った。象形文字の導入ジェスチャーつき。「女」では、「Look at me」で、おもむろに足を交差し、両手を横に水平に伸ばして、女の形をまねする。ゴルゴ松本の「命」みたいなことを教室で演じるのだ。学生は「うん、うん」とうなづきながら、字形をインプットする。流暢な英語で、象形文字の由来やら女という絵からどのようい字形が成立したかなんて説明しているより、ジェスチャーやって一発で印象づけられる。

 ふつうエライ先生方はそんな漫才師が「命!」と、やるようなことはしません。いいんだ、私は芸人だからね。おもしろ漢字紹介は、今回も大好評。みんな笑いながら今日導入すべき「女」「子」「学生」などの字を覚えた。ミーが、本日の漢字の中で「私」という漢字、ふたつのパートに分かれているが、それもひとつの文字とみなすのか、と、質問してくる。ミャンマー人の英語わかりにくい発音でようやく言いたいことがわかったが、「学」の説明を繰り返し、「Gaku has two parts. This is school roof, under the roof , the child study the kanji. Also, 私 has two parts.」と、説明するにとどめた。形声文字についてはまたあとで、説明するから。

 出おくれているキンニ君に、授業が終わってから「Are you enjoy my Kanji class?」と尋ねると、「Yes,very much ,I 'm enjoy you lesson.」と答える。ほらね、私の授業はできない学生ほど楽しめる。できない者同士、わかりあえるのだ。

 語学に弱く、新しいことばを覚えられない者の苦しみ悲しみが、私にはようく分る。クラスメートがスイスイと理解していくことが、自分にはちんぷんかんぷん、さっぱりわからない。そういう苦しさをしっているからこそ、私は、できの悪い学生に「先生の説明を聞くと、よくわかってくる」と、評判がいいのだ。

本日の負け惜しみ:語学鈍才の効用


2003/10/22 水 雨 1027
ニッポニア教師日誌>教授法発表

 教授法2コマ。各種教授法発表続き。オーディオリンガル、ダイレクトメソッド、サジェストペディアなどの説明。教授法について、私が説明文をコピーして学生に渡してしまえば話が早い。でも、割り当てを決めて調べさせ、発表させるのがいいと信じている。

 学生は日本語教師になる子ばかりではない。日本語教師にならなくても、この授業が将来のために役に立つものしたいと思って授業を進める。辞書や参考書を調べ、まとめてレポートを作り、発表するという一連の作業が、仕事で調査し、プレゼンテーションするたときに役だつと思っている。

 課題をだすとき、「あなたたちの中で、言語学事典とか、日本語教育学事典なんて本を開いて調べるのは、一生のうち今回だけという人も居るでしょう。でも、何をしらべたらいいのか分らなくて困ったと言う人も含めて、人から教えてもらって覚えるだけ、という勉強の仕方でなく、自分で苦労して調べるということが、大切だとわかってもらえたと思う」と解説。

 皆まじめにいっしょうけんめいやってきている。教授法の概略を説明させ、その教授法を用いて、ミニドリルを実演する。班ごとに、けっこうノリノリで先生役、学習者役を演じていた。

本日のつらみ:こう調子がいいと、すぐ「私は教え方の天才じゃないかしら」と、ズの乗るから、まずいよね。そのうち、ゴツンとたたかれて、しょぼん!


2003/10/23 木 曇りのち雨 1028
ジャパニーズアンドロメダシアター>『わらびのこう』

 午後、姑と新宿駅で待ち合わせ。東映パレスで『わらびのこう』を見た。村田喜代子原作。恩地日出夫監督、市原悦子主演。李麗仙、左右田一平、中原ひとみ。
 ストーリーは「姨捨山」の話。嫁が姑を誘うにはふさわしい映画とは思わないが、全編姑の出身県でのロケなので、姑にとって、なつかしい風景がでるかと思っていっしょに行くことにした。

 ラストのクレジットに、ロケ協力者として「おやこ劇場からっ歩クラブ」などの名が続く。その中に、映画の券をおくってきてくれた真須子さんの名が。真須子さんは、監督夫人と知り合いで、映画製作協力者となったのだという。

 山の中の村。還暦を迎えた年寄りは、「わらびの」の地へ「姨捨」になって、死を待つ。市原悦子は、庄屋の隠居。長男の後妻が年若くまだ半人前なのを心配しながらわらびのへ。年寄り8人の共同生活。夏の間はよかったが、秋冬になると食べ物もなくなり、吹雪のころには全員が死ぬ。最後のシーンでは死んだ年寄り達が「体が軽くなった」と喜び合いながら雪の中で楽しそうに雪合戦をする。

 市原悦子の「れん」は、庄屋の家の「守り神」として孫子を見守りに家に戻る。深沢七郎の「楢山節考」とは、描き方が異なるが、どちらも「いのちの輪廻」のつとめを果たし、子孫のための口減らしを孫子のための「愛情」と考える年寄りの姿に涙。しかるに、私には絶対にできない。親を山へやるのも、自分が子供のために山へいくのも。
 私が、蕨野へ行ったなら、李麗仙が演じたお婆みたいに、みんなで共同生活しているのに、自分ひとり用の木の実をこっそり隠して貯めておく、強欲婆になるにちがいない。

 「おい、老い、老いの小文」エッセイ、「姨捨考」を書いた。「ふ」の項は、藤原新也にしたのだが、映画を見たので、深沢七郎も増やした。なぜ、深沢七郎ではなく、藤原新也を「ふ」の項に選んだかというと、藤原の本は文庫が残っているけれど、深沢の本は文庫も買えない時代に読んだから、図書館で借りた。本が残っていないので、読み直すのがめんどうだと思って藤原にしたのだが。こういうこともあるから、やっぱり本は図書館だと役に立たないなあ。一度読んだらもう二度と読み返さないような本ならいいけれど、いい本は手許にのこしておくべきだね。
 そうは言っても、古本の文庫さえ買えなかったんだから仕方がない。

 姑は明日、飛行機で北海道旅行。今月は3回も旅行へ。蕨野旅行へ出発は、まだ30年も先みたい。

本日のつらみ:私の方が先にいきそうな、蕨野楢山


2003/10/24 金 曇り、夕方雨 1029
ニッポニア教師日誌>レストランごっこ

 ビデオ、文化中級3コマ。

 ビデオの時間、レストランごっこ、デパートごっこ、郵便局ごっこは、いつものように、学生に好評。
 SFJビデオ、2課3課のレストランシーンと郵便局シーンを視聴する。
 12名を3つのチームに分ける。最初は口慣らしで、ひとつ、ふたつの数え方の復習。キンニ君、まだ数が言えない。次に人数を言う練習。三人以上は「〜人」をつけるだけで簡単だが、キンニ君、ひとり、ふたりをまだ覚えていない。

 それから「かたかなの読みレビューをします。レストランでメニューを見ても、学生が行く程度のレストランのメニューはカタカナが多いからね。カタカナ読めないと注文できないよ」と、コーヒー、ピザなどの読み練習。カタカナを読んで、そのあとに「ください」「おねがいします」を言うように指示。「サンドイッチおねがいします」「スパゲッティナポリタンください」など、読めないし、口がまわらない。

 「英語の方を読んじゃだめですよ、学生が行くレストランは英語メニューないですよ」と、注意しても、カタカナが読めないと英語の「fried chicken & potato」を読んで英語風発音に。「ポテイトゥじゃないよ。日本語ではポテトだからね」「コーヒーひとつ」「コーラふたつ」など、注文と数を言う練習。

 テーブルに持っていった布を広げ、レストラン風に。お客役はドアから入っる。ウェイター役にエプロンをつけさせ、「いらっしゃいませ、なんめいさまですか」お客さん達、まごまごしながら「3にんです」ギャラリーが「さんめい!」と、口をはさむので「ウェイターはなんめいときくけれど、お客は3名と言っても、3人と言ってもいい」と解説。
 ウェイター「ご注文は?」と注文を取る。教科書からコピーしたコーヒーやピザの絵カードを使って、「おまちどうさま」最後にお会計をして、「ごいっしょですか」「いいえ、べつべつです」紙のお金で支払いとおつり受け渡しの練習。

 これだけの「ごっこ」だが、毎年好評だ。2チームにレストランシーンをやらせて、「はい、じゃ、またビデオをみましょう」というと、「えぇっ、私たちもやってみたかったのに」と、残念そうな声。「つぎはデパートへ行きましょう」新日本後の基礎3課の会話ビデオ。ラオさんがデパートで鞄売り場を聞き、かばんを買うまで。3つ目のチームは、学生から鞄を集めてテーブルにのせ、鞄売り場を作ってから、会話練習。みな楽しそうに買い物。まだ形容詞文は習っていないのに「高いですねぇ」などの言い回しはよく知っている。サバイバル日本語。

 郵便局ごっこでは、私が局員になり、切手とハガキをまず「日本事情」として、「これが日本の国内に出すはがきです。こちらは往復はがき」と、紹介。切手もさまざまな記念切手などを紹介し、国内は通常80円、アジアなどへは90円切手が必要であることを説明。つぎに郵便局で切手を買う練習。

 数年前まで、郵便局での会話練習は生活に直結していたが、今や学生が国に連絡する場合、ほとんどがメール。今期の留学生で、家庭内にパソコンがない人は、ベトナムとミャンマーの教員ふたり。だいたい、各国とも、教員研修生は一般家庭の出身が多く、大学院進学者はエリート家庭の出身であることが多い。
 昔受け持ったベトナム人は、医学部進学などのエリートが多く、「祖父母はフランス留学中の知り合って結婚しました」などのエピソードを聞いた。

 戦前の日本でも、士官学校と師範学校は授業料が無料だったから、裕福でない家の子供は軍人になるか教員になるかしかなかった。教員研修生がいるクラスでは、いつも「私も昔中学校の教師をしていました」と自己紹介する。

本日のひがみ:結婚後、8年間の主婦学生時代に受けた奨学金は、毎年返済しています。


2003/10/25 土 曇り 1030
アンドロメダM31接続詞>ネットのご縁も他生の縁

 ワカ文化祭の練習。ヒメ、予備校のバイト。私一日中ネット。まめに足跡つけて回ると訪問者がふえるというOCNカフェの仕組みがわかったので、せっせと足跡つけをしている。書くこと自体が快感であることは、当初より納得済みだが、読まれることがそれ以上にカイカ〜ンであることがわかった。
 こういうコミュニケーションを「まやかし「にせもの」と呼ぶのなら、たぶん我々は、「バーチャルコミュニケーション」の時代に生きているのだ、としか言いようがない。

 ある方への足跡から、「〜さんを訪問してください」という依頼をうけた。自殺志願者の頁だった。足跡をクリックし、ただ、「あなたがここに存在していることを私は知っています」というおしるしをつけた。2年前の日記から「死にます」と書いている。
 日記の内容は、世の「偏差値秀才」への呪詛に満ちたものや、自虐。私が書いている自虐ネタと、あまり代わりはないような気がする。

 ただ、私は「111歳まで長生きするぞ」と、書いているので、死にそうには見えないが、ネクラヒッキーであることは、同じだ。
 私のように、文体だけは勇ましく、元気りんりん満ちあふれているように見えるのと、死にます死ねば死ぬるとき、と、死にたい病にかかっていることを書き続けるのと、たいして違いはないのだけれど、死にたいと言い続けるのと、本当に死んでしまうのでは大違いだから、ときどき訪問して、「あなたが生きていてうれしい」という気持ちは伝えたい。ネットのご縁も他生の縁。

本日のそねみ:私だってつらいんだけどね、とりあえず生きている


2003/10/26 日 晴れ 1031
ジャパニーズアンドロメダシアター>『ナイチンゲールでなく』

 ヒメ朝から予備校のバイト、今日はゆりちゃんといっしょに試験監督。
 1時45分に阿子さんと待ち合わせ。ミイさんともうひとり、弱視のかたといっしょ。劇団昴の『ナイチンゲールでなく』を見た。
 テネシー・ウィリアムズが『ガラスの動物園』で一人前の劇作家として認められる前の若書き27歳の作品だという。1938年アメリカペンシルベニア州の刑務所で起きた実話をもとに書かれた、刑務所囚人とナチのユダヤ人収容所長を思わせる刑務所長の戦いの話。ひどい扱いに抗議してハンガーストライキを起こした囚人達の話が新聞種となり、ウィリアムズはその話を、さまざまな個性と、刑期を持つ囚人達と所長、看守たちの群像劇に仕上げた。この作品は60年間もウィリアムズのタイプ打ち原稿のまま放置され、バネッサ・レッドグレーブが発掘して上演したのだという。
 
 ときはアメリカ恐慌時代。やっと職を得て、失業の恐怖におびえつつタイプを打つ所長秘書エバ。息子の安否を知るために刑務所に面会に来た母親ブリストル夫人だけが女性出演者。

 舞台は、刑務所所長室と監房シーン。さまざまな過去を持つ男達の様々な人間模様が交錯する。所長に逆らった囚人は、「矯正指導」のために、極寒のアラスカの地名クロンダイクと名付けられた「熱風拷問部屋」送りにされる。皆衰弱して死ぬか、極度の苦しみのために精神に異常をきたす。どちらも適度な病名を付けられて病死とされる。ただ二人、屈強のブッチはクロンダイクから戻ることが出来、所長のお気に入り使いカナリアジムは、クロンダイクとも無縁で所長の使い走りをつとめる。

 藤木孝の所長ウェーレン役が秀逸。とことん冷酷で自分の欲望はどこまでも追求する悪魔的な人間像。自分の娘には甘く、囚人達のことは人間扱いしていない。そんないやなヤツなのに、エバに対して魅力を感じさせるというのを、演技で示していた。ラストシーンで囚人達は立ち上がり、所長を葬り去る。ジムは刑務所からの脱走を決意する。

 ラストシーンも感動的なのだが、今回の芝居でいちばん涙が出たシーンはカーテンコールだった。役者達のアンサンブルのすばらしさ。ひとりひとりの人間造形の技術。役者の演技に心から感動した。よい建物を見て、建て家のすばらしさはもちろんのこと、大工の腕のよさに感嘆する、というのと同じだが、今まで役者個人の演技力に涙したことはあっても、(夕鶴の山本安英とか、宇野重吉とか杉村春子とか)劇団のアンサンブルのすばらしさ、群像の演技のすばらしさに涙したというのは初めてだった。もちろん所長役の藤木、ブッチ役の金子由之の演技は抜群だが、端役の囚人ひとりひとりまで含めた全体がほんとうによかった。『怒りの葡萄』のときもアンサンブルのよさはあったのだろうが、葡萄のときは、「演技のすごさ」「演技の職人芸」を感じるよりストーリーにつながれて見た。

 お芝居のあと、アフタートークがあったので、最後にこの演技力とアンサンブルについての感想を述べた。藤木孝の魅力的な演技については、エバ役の服部幸子から「もとの脚本では、所長にベッドへ誘われるエバが、所長を恐ろしがることばの奥に、彼の存在に惹かれてしまうという女心の矛盾を述べるセリフがあったが、上演台本ではカットになった、と話していたが、それはカットしてもよかったと思う。あからさまに所長の性的な魅力に惹かれると言うよりも、藤木の役作りがおのずと「悪魔の魅力」を出していたからだ。ものすごくいやなヤツなのに、観客はだれも藤木を否定しきれない、そういう人間像をきっちりと演じていた。ほんとに魅力的な役者たちだった。
 私が褒めちぎったところでちょうど質問タイムがおわったので、私からのオマージュがシメになってトークショウが終わり。
 
本日の役者かがみ:金がとれる演技と、素人が楽しんで演じるとの、違いがわかる女だから、昔たとえ短期であれ、役者やって金を得ていたことに冷や汗 


2003/10/27 月 曇り 1032
ジャパニーズアンドロメダシアター>『北京バイオリン』

 漢字作文2コマ。

 午後、『おばあちゃんの家』『北京バイオリン』を見た。
『おばあちゃんの家』は、韓国山奥の素人のおばあちゃんを発掘して、他の村人役も現地ロケの土地の人々、という女性監督作品。もう、このおばあちゃんが絶品。杖をついて歩いている姿を拝んでいるだけで、人間のすばらしさ、愛情の豊かさを感じられる。
 ちょうどいいので、これも「おいおい」のマクラに利用。最近映画をみても、本を読んでも、「おいおい」のマクラにつかえるか、オチにつかえるか、という様なことばかり考えていてイカンネ。

『北京バイオリン』は、まあ、予告編で想像した以上のことは一切でてこない、オーソドックスな父と息子の愛情物語。こちらも父親役の劉ベイチーの、いかにも中国の田舎者みたいな風貌がピカイチ。主役の天才ヴァイオリン少年は、実際に北京音楽学院でヴァイオリンを専攻しているタン・ユン。指使い、弓づかいが実にしっかりしているので、これは相当弾ける子だな、と思ったが、実際の音を入れているのは、コンサートシーンでユイ教授の愛弟子にして今や売れっ子演奏家となったタン・ロンを演じる李伝韻。ユイ教授役は陳凱歌監督自身が演じ、少年チュンが思いを寄せるリリ役は監督夫人の陳紅。

 とにかく、これでもか、という具合に「ウケ」要素が盛りだくさん。チュンの出身地の水郷の街の美しい情景。北京のきらびやかな商業街と裏町の対比。才能ある少年が成功者となることを夢見る父。父の期待に応えたいと思いつつも、少年期のゆれる思いに悩むチュン。少年から思いを寄せられることで、お金以上の愛情の存在を思い出すリリ。
 クラッシック界の熾烈な競争と、実力だけでは才能を伸ばせない社会の仕組み。もう、中国社会の矛盾や12億総突撃の「モノが欲しい社会」てんこ盛りの中で、一番すごいのはクラッシックの力。陳凱歌は、西欧社会でうける要素をみんな盛り込む商売上手。

 ラストシーンは、北京駅で。コンクール出場のチャンスよりも「男手ひとつで自分を育ててくれた父親を抱きしめること」を選んだチュンと、駅で拾った赤ん坊を育て、ただひたすら息子の成功のために必死で働き続けた父親の邂逅。感動のラストシーンだったのだが、『おばあちゃんの家』のおばあちゃんがあまりにすばらしくて、先に泣いちゃったので、こちらでは、心の中で拍手のみ。チュンの才能なら、今度のコンクール出場権を逃しても、必ず成功するだろうという予測がつくので、コンクールには出られなかったけれど、悲しい終わり方ではないし。
 
本日のゆみ:タン・ロンの弓使いはなかなかセクシーでした  


2003/10/28 火 雨 1033
ニッポニア教師日誌>会意文字

 漢字会話2コマ。1組漢字クラスは、私のおとくい会意文字。みんな楽しんでくれてよかった。教室にあるOHPスクリーンかけの三脚を木にみたて、「I'm tied. Oh, thers is a tree.
I can rest biside the tree.」木に寄りかかって休む形をジェスチャー。「the left part is man., and
the right part is tree. the man can rest biside the tree.」これで「休む」「休み」の導入。

 音読み練習「日」が既習だから、「休日」を紹介する。「日」の読み、訓読み「ひ」、音読み「ニチ」に続けて「三日」のときはイレギュラーで「か」と読み、今日は「きゅうにち」じゃなく「ジツ」。漢字の書き方には問題ない中国人のチンさんも、読みの多さにちょっと心配そう。今のところ「生」の音読み方は「学生」「先生」の生と、誕生日の「じょう」、訓読みは「うまれる」「いきる」しか導入していないが、ほかに「なま」だの「はえる」だの「ショウ」だのと、読み方が12通りあることを知ったら、もう漢字を学ぶ意欲がなくなるから、そんな「秘密」はまだ、うち明けていない。

 私の英語を、ちゃんと話せる人が聞けば、「ネイティブの人はそんなころ言わない」とブロークンぶりに眉をひそめるのだろうが、私は英語を教えているのではない。私のはちゃめちゃ英語でも、学生は楽しく漢字を知り、漢字の形や意味が印象づけられるのだから、これでいいのだ。と、いつも開き直るからいつまでたっても英語が上達しない。

 授業はラポール形成が第一と思っている。教えようとする教師の熱意が伝わり、学習者が学びたいという意欲を起こす、それが第一。そのほかの指導テクニックはその次の話。

 何年か前に、安田成美が日本語教師を演じ、香取慎吾がベトナムから日本に来た就学生を演じたドラマがあった。
 安田はインターカルト日本語教員養成講座でちょこっと勉強して、すぐ日本語教育能力検定試験に合格した。超優秀。

 そして、あのころ、貧乏なベトナム人が誰の援助も受けずに日本に学びに来ることなどできない話で、ドラマだからこそ、ちょこっと養成講座を受けただけの元OLが簡単に検定試験に合格できたのだし、貧しいベトナム青年が日本に来られたのだ。ベトナムから来ていたのはエリートばかりだった。ようやく一般家庭出身の教員研修生が日本に来られるようになったのだ。
 現実には、日本語教師は苦労に苦労を重ねて、ようよう検定に合格し、日本に来ることのできるアジア圏留学生は、渡航費用を工面できたという意味で、決して底辺層ではない。

本日のうらみ:朝、また電車の中にかさ忘れた。いったい何本なくしてきたことか。今日のは500円の傘。100円なら、あきらめる。千円以上の傘なら、忘れ物として駅に問い合わせる。500円って、微妙。


2003/10/29 水 晴れ 1032
ニッポニア教師日誌>自慢じゃないけど自慢です

 午後、教授法2コマ。
 「自慢じゃないけど自慢ですスピーチ」は、男子学生の自作のリメーク服紹介、アロマテラピストの資格を持つ女子学生のフットマッサージ実演など。
 学生が生き生きと自分の得意分野を披露するのを聞くのが好き。学生には「自己表現できることが教師には必要」と言ってやらせているが、半分は「若者の自慢話を聞きたい」という私の趣味だな。
 それに、学生も発表が終わるとほっとした顔。あとで感想を聞くと「話す前は何を自慢しようか、何も自慢になることないと思って心配だったけど、話してみたら、ウケてうれしかった」と言う。自己表現は喜びである。

 私の「自慢じゃないけど自慢です」は、春学期に「足を前後開脚できます」と言って、おとくいの両足スプリット(足を前後に開脚してペタッと床につける)を見せたし、「卒業7回、転職13回」の遍歴人生も披露した。
 先週は餃子の早食い暫定日本一も自慢した。今日は息子が学校の畑でつくったさつま芋が甘くておいしいという自慢。
 ワカ、先週は学校農園の芋掘りをして、おいも、5キロ分くらい持ち帰った。また来年は1年間田圃作業ができるし、澁谷から電車3分のロケーションで、たんぼや畑仕事ができるなんて、恵まれている。これで給食をつけてくれれば、言うことはない。

本日のつらみ:自慢じゃないが、お弁当は毎度チンするおかず


2003/10/30 木  晴れ 1033
ニッポニア教師日誌>学生は食わぬ餃子

 日本事情作文2コマ。ワンさん、台湾における日本設置のインフラについて発表。
 台湾の人は、日本の人がびっくりするくらい「日本が作ったインフラ」に感謝しているのだという。王さんの発表の中に出てきた、後藤新平、新渡戸稲造らが、台湾の人たちに好かれていたという面もあるかもしれないし、もともとの台湾ネイティブは、蒋介石国民党より、日本の支配者のほうがまだマシだった、と思っていた人々もいるだろうから。
 一方韓国朝鮮の支配者たちは、好かれていなかった。伊藤博文は安重根に暗殺されたし。

 餃子の満州で、この前早食い完食の賞品としてもらったお食事券を使ってチンジャオロースセットを食べた。
 壁に餃子早食い参加者タイム一覧が載っていたが、私のハンドル名はなかったので、店の人に「ねぇ、この14分51秒ってのは、ベストテンにはいるタイムなんじゃない、なんで名前書いてないのさ」と、わざわざ文句をつけた。アホな記録ながら、私にとっては「全日本、大学講師50代女性の部、餃子早食い暫定日本一」の、輝かしいタイムなんだから。50代の大学講師、私以外の誰が餃子早食いに挑戦しようか。当分私の勲章は「餃子早食い暫定日本一」である。
 ただ、学生のひとりが「私はその店でアルバイトをしたことがあります。あそこのラーメンと餃子をまかないで出されても、まずくて食べられなかった」と言う。

本日の負け惜しみ:わたしはほぼ毎週、ラーメン餃子を食べてきた


2003/10/31 金 晴れ 1034
ニッポニア教師日誌>宝さがし

 ビデオ、文化中級3コマ。

 今日も、1組のビデオクラスはノリノリ。ビデオみて、ゲームなどのアクティビティをして、楽しくすごせるので、学生達もビデオクラスが大好き。「先生の授業がベストワンです。」と喜ばれて、私もいい気分。他の先生達、苦労して文型をわんさかつっこんで「こんなに覚えきれない」なんて文句言われて、学生の評判もイマイチになるのに、ビデオクラスは遊ばせてやって喜ばれて、教師は楽できて、ほんとおいしい授業だ。

 今日は、位置の言い方復習のため、宝探しをやった。持ち物をひとつづつ学生から出させて、教室のどこかに隠す。学生は習ったばかりの「どこにありますか」の文型で質問し、かくした学生が「机の中にあります」「あなたのとけいはテレビの後ろです」などのヒントを言う。みんな大騒ぎで探し、見つかると大喜び。
 「見つけられなかった宝物は、全部先生のものになるからね」と、冗談で言ってあるので、皆真剣に探す。

 もちろんおいしい授業にするために、90分ヒトコマに何時間もかけて事前準備をしなければならない。ヒトコマなんぼの仕事で、こんなに教材準備やら、作文添削コメント書きの時間をとって、いったい時給はいくらになってしまうのやら、餃子の満州で皿洗っていた方が以下も知れないと、思うのだが。でも、私皿洗いは家の中でやるだけで、もう十分だし。

本日のつらみ:独立行政法人になったら、非常勤講師のコマ数は、思いっきり減らされるというウワサ、ウェ〜ンますます年収が減るよう

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