8日目(8月9日 土曜日)

ついに最後の日になった。出発は夜の8時40分なのであと丸1日は楽しめる。
ホテルをチェエックアウトし、荷物を預かってもらってから、カムデンマーケットへ出かけた。時間がもったいないので、タクシーを使う。
古着が豊富カムデンマーケットに着くと、まだ早いせいもあり、人はまばらで、店の人たちが準備をしている。のんびりした雰囲気だ。カムデンマーケットの中で最も広い、スティブルス・マーケットにまず入る。
アンティーク家具の店が多い。インドやアフリカの民芸品を扱う店も多い。古着のジーパンを£2で売っているところもある。日本ではお目にかかれない物が一杯あり、それも安いので何を買っていいのか迷ってしまう。子供の為に竜の置物を£6.50のところ£6にまけてもらって買った。それからエジプト風の風鈴をこれもまけてもらって£5で買った。
「あなた達は今日初めてのお客さんだから、おまけするわよ」と言ってまけてくれた。

暫く見てまわるうちに、人も増えて活気を呈してきた。休憩するため売店でコーラ£2を注文して£20札で払おうとすると、お釣がないので何処かで崩してきてくれという。どこで崩してくれるのかと困った顔をしていると、売店のお兄ちゃんが「OK」と言って他の店に両替を頼みに行ってくれた。まだ早いので、快く両替してくれる所はなかなか無い。そのお兄ちゃんはあちこち走り回って、やっと両替して息を切らせて帰って来た。

やっぱり英国人は親切だ。


ステブルス・マーケットのこれでも一部アンティーク家具は安くて、欲しいものが一杯あったが大きすぎてとても持って帰れないので諦めた。今度は輸入手続きを勉強して家具を買いに来よう。
昼はスティブルス・マーケットの中のカレー屋でチキンカレーをテイクアウェイして食べた。その後、カムデンマーケットに行く。青空市場のここは、古着が山のようにあり、沢山の店が所狭しと営業している。人も増えてごった返している。通路も人一人通るのがやっとで、人ごみをかき分けて通る。こんな所で買物をするのは気が進まなかったが、女房が見たいというので、しょうがなく入る。
カムデン・マーケットの入口女房は、そこでミニスカートを見つけ、なんと試着までして買ってしまった。すごい根性である。

帰りもタクシーでホテルまで行った。空港に行くには時間が少し早かったので、最後に行き付けのパブでゆっくりする事にした。
外に置いてある椅子に腰掛けて、買ってきた新聞を読みながら、ビールを飲んで、一時間ほどゆったりと過ごした。ここで暮すと休日はこういう時間が過ごせるに違いない。あと3週間くらいは居たかったが時間がきた。

さあ、日本に帰ろう。


ホテルで荷物を受取ってから、ヒースロー空港に向かう。行きと同じエアバスで空港に行く事にして、ポーターに荷物をバス停まで運んでもらった。リッチな気分だ。一度こういうのをやってみたかった。ポーターにチップを£3はずんだ。
バス停で待っていると、タクシーが止まってこちらに向かって「エアバス・タクシー」というカンバンを見せて乗らないかと交渉してきた。一人£6だという。エアバスが£6.25なので安いが、通常タクシーで£30〜40するものが£6になるはずが無い。乗合で4人くらいを乗せるとペイするのだろう。怪しいものには近づかないの原則で断った。
断っても、その運転手はタクシーから降りて、しつこく交渉してくる。「こっちの方が安いのに何故乗らない」と言う。

エアバスに乗ってみたいんだ。


と言うとやっと諦めて、他の客をあたり始めた。隣のおじさんと交渉する。
「何人だい」と運転手。
「たくさんいるよ。8人だ」大家族である。タクシーには8人は到底のれない。ご愁傷様だ。そうこうするうちにエアバスが来て、タクシーの運転手は一人も客を捕まえられないまま立ち去った。
あぶない、あぶない。変なのに捕まって、飛行機に乗れなくなったら大変だ。

エアバスは渋滞もなく、なつかしいロンドンの町並みを通って、約1時間でヒースローの第3ターミナルに着いた。JALの入り口から空港ビルに入り、税関で免税手続きをする。
係員は中年の白人女性で陰険な感じ。書類を見せたら、現物を見せろという。現物はカバンの中で、厳重にロックしてある。そんなに簡単には取りだせないのに無理を言うもんだ。形式的な手続きで現物確認しない場合が多いのに、嫌な相手に当たった。
少し躊躇していると、「英語が分からないのか。」という。
そりゃ、できるというほどじゃないが、

あんたのいう事くらいはわかるゾ。


と少しムッとしたが、ここで怒らしてもしょうがないので、四苦八苦してカバンから現物を取り出して見せた。すると、よく確認もしないで、ポンポンと承認印を押すではないか。全く意地悪をしているとしか思えない。どこの国でも役人は根性が曲がっている。もっとも、英国人はXXだ。とか、役人はXXだ。というのは偏見の始まりで、とどのつまりは個人でしかない。役人でも、英国人でもなく、

このおばさんの根性が曲がっているのだ。


空港では搭乗まで3時間ほどあったので、空港内のレストランで食事をしてから免税店でタバコとか口紅、香水などの買物をした。それでも1時間くらい時間があったので、パブを見つけてビールとエールをのんで、英国との最後の別れを惜しんだ。
JALの搭乗口は日本人で一杯で、もうそこは日本だ。飛行機に乗ると、隣の席の人はオーストラリアの女性で、一人旅だという。成田に着くまでの間、もう暫く外国気分が楽しめそうだ。ところが、この豪州人とは英語がほとんど通じない。ロンドンでは結構通じていたのに、

豪州英語はなまっているに違いない。


ロンドンにいる間に、何度か使ってちゃんと通じた
"How have you been in London?"(ロンドンでどう過ごしましたか)
というのが、通じない。お互い "Pardon?" の連呼である。会話はあきらめジェスチャーで意志疎通となった。それでも、結構仲良くなり、隣人と楽しく過ごせた。最も皆ほとんど寝ていて、あっという間に成田に着いた。楽しかった旅行も終わった。今回は色々な経験が出来た。是非もう一度いってみたいが、それはもうずっと先の事になるだろう。それまで、英語を勉強しよう。と固く心に決めたのだった。

THE END





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