2日目(8月3日 日曜日)

日曜日はデパート全部と美術館の一部が休みなので、前回行けなかった場所を観光する事にした。観光スポットの中に「マダム・タッソーのロウ人形館」というのがある。どんな観光ガイドにも必ず載っているけど、何だか怪しそうで、絶対ガッカリするのが請け合いのような気がして前回は敬遠した。

大体、菊人形とかロウ人形とかにロクなものはない


やっぱり止めとこうかと思ったが、皆が行っているようだし、皆が知っているのに知らないというのは何だか悔しいので、行ってみることにした。
マダムタッソー蝋人形館前の行列場所はホテルのあるラッセル・スクエアから、3駅ぐらいの所のベーカ街にある。あのシャーロック・ホームズの事務所があったのがベーカー街221bなので、その直ぐ近くだ。ベーカ街の地下鉄の駅を降りて地上にでると、シャーロック・ホームズの格好をしたお兄ちゃんが名刺をくれた。
これは、まるで観光地だ。と思って回りを見ると、正に観光地そのもの。観光客の人、人、人とそれ目当ての露店が数件並んでいる。
しかも、マダム・タッソーのロウ人形館の入り口から長い行列ができていた。やっぱり止めた。何だか怪しいロウ人形のために何時間も待つのはバカらしい。と女房に言うと

並ぶわよ!


とキッパリ言われた。
女房の気迫に押されて、並ぶ事にした。念のため、行列の一番先頭に行って間違いないか確かめてみた。すると、そこは何とチッケトを買うための行列だった。
チケットを持っている人は、すんなり待たずに入っている。事前にチケットを買っておけばよかったと後悔していると、お兄ちゃんが近寄って来て「当日券があるよ」と声をかけてきた。ダフ屋はどこにでもいるもんだ。怪しい物には手を出さないのが一番なので、ノーサンキューして、最後尾に並んだ。
入口で出迎えるカルキン坊や待つ事45分。やっと中に入ると、そこはまだチケット売場ではなく、さらに階段を上って1階(知ってると思うけど日本でいうと2階の事です)でチケットを売っている。グランドフロアのロビーには「ホームアローン」の頃のマコーレ・カルキンとマダムタッソーとババロッチだかペペロッチだったかいうオペラ歌手の蝋人形が迎えてくれる。あどけなく手すりに腰掛けているカルキン坊やは正に生きているようで質の高さを予感させる。もしかしたらスゴイのかもしれない。
暫く中で待っていると、係りのお姉ちゃんがアンケートで国籍を聞きに来た。「日本人?」と聞かれてしまった。中国人や韓国人と間違わないとは大したもんだ。どこで分かったんだろう?。一緒に並んでいる他の観光客はというと、ロシアやフランスや東欧の国々や、色々の国籍を答えていた。

ここにはイギリス人はいないのだ


やっと中に入ると、そこはガーデンパーティ会場。シュワルツネッガーやクロコダイルダンディや色々な有名人がいてパーティに来ているという設定。観光客は大喜びでロウ人形と一緒に並んで記念写真を取っている。人形に自由に触れるのもなかなか気が利いている。
そのコーナを出ると、スーパスターの部屋や、有名政治家の部屋など、4階のフロアーに渡ってこれでもかと飾ってあり飽きさせない。
最も印象深かったのは「恐怖の部屋」という、中世の暗黒時代の処刑場面や拷問の場面がある部屋の

マリーアントワネットの生首だ。


このロウ人形館の創設者マダムタッソーは、200年前フランスのルイ16世の妹に絵画を教えていた美術教師だったという。
マリーアントワネットがギロチンで処刑されたあと、彼女のデスマスクを作るよう命じられ、夜の墓場からマリーアントワネットの生首を持ち帰り、それから型をとってロウ人形を作ったというのだ。ここにあるマリーアントワネットの生首はその当時の現物と寸分違わないわけで、そう思うと実物を見ているようなリアリティがあってゾッとする。墓場でマリーアントワネットの首を探しているマダムタッソー自信のロウ人形や、首からデスマスクの型を取っている様子などもロウ人形で再現されており、これでもか、という感じ。
1時間くらい居て、外に出たらまだ長蛇の列が続いていた。ここは待ってでも見る価値がある。と教えてあげたい気分だ。

ホームズ博物館の入口その後、歩いて2〜3分の所のベーカー街221bにシャーロックホームズ博物館があり、1人£5(1000円)払って中に入ったが、狭い上に大した物はなく、全くの期待外れでカッカリした。ここの£5は高い。シャーロックホームズ博物館を出たのが午後1時過ぎだった。
ホテルの部屋を変えてもらうために、一旦ホテルまで帰ることにした。ホテルのフロントのお姉ちゃんは10時半〜11時の間に来いと言っていたのを大分過ぎてしまったのが気になったが、こちらはお客ということで、気にしないことにした。ホテルから少し離れたユーストン駅で降りて、通り道にあるコンビニで「日清のカップヌードル(日本製の輸入品)」とサンドイッチを買った。カップヌードルは日本の倍以上の値段がしたが、ロンドンで日本のインスタントラーメンが食べれるのなら、そのくらい出しても惜しくない。ホテルのフロントで部屋の交換を求めると、昨日と打って変った丁寧な対応で替えてくれた。

YOU GET A NEW ROOM


ロンドンに来て、初めてフルセンテンスで相手の英語が聞き取れた。替えてもらった部屋は前の部屋よりも広く、家具もまあまあで値段相応の満足できるものだ。荷物をほどいて家具の中に仕舞い、やっと落ち着いた。買ってきたカップヌードルとサンドイッチで軽く昼食をとった。
ロイアル・アカデミー・オブ・アーツロンドンは物価が高い上に、なんと消費税が15〜18%もかかるので、日本より3〜4割高く感じる。昼食を外食すると2人で3000円はかかってしまうので、節約にはこういうのが一番だ。小一時間部屋で休んで、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立美術学院)とナショナル・ギャラリー(国立美術館)を見てまわった。
美術鑑賞は、女房と趣味が一致する数少ない分野の一つで、今回の旅行で楽しみにしていたものだ。ナショナル・ギャラリーは入場した時間が遅かったので、

料金は無料。


ナショナル・ギャラリー大変気の効いた配慮だが、見残したものがまだまだあるのに、閉館の館内アナウンスに追い立てられるように外に出た。ちなみに大英博物館はいつも無料だ。
外に出ると小雨が降っていた。ナショナル・ギャラリーの前はトラファルガー広場になっていて、イスラム教徒が集会を開いていた。何だか物騒な感じがしたので、トラファルガー広場のライオンの前で定番の記念撮影は止めにして、小雨のテームズ河の河畔を、ウェストミンスター桟橋を通ってビッグベンまで歩いた。
そこで二階建バスに乗りピカデリーサーカスまで行って、そこから地下鉄でホテルのあるラッセルスクエアまで戻った。
ロンドンの地下鉄とバスは共通の一日乗車券(ワンディトラベル)が£3.25であり便利だ。地下鉄の初乗りが£1.25なので、3回乗るならワンディトラ
ベルの方がお徳という事になる。ワンディトラベルはカバーする範囲が1、2、3ゾーンという風になっていて、それぞれ値段が違う。ロンドン市内なら£3.25の1・2ゾーンでほとんどがカバーされる。長期滞在するなら一週間乗車券があり£12くらいだったと思ったが、これには証明写真が必要なので、その経費かかるがこちらも超お徳だ。但し、これらの自由乗車券はピーク時間帯の朝9:30までは使えないのが難点だ。
それと、地下鉄やバスは乗越しすると地下鉄は£10、バスは£5の

ペナルティを取られる


ので注意が必要だ。乗越し清算の為に、自動清算機や駅員を改札に置いておくよりずっと効率的だ。契約社会なので、必要な乗車券を買わなかったという事は、契約違反で乗客が悪いという考え方だと思う。
ラッセルスクエア駅前のコンビニで、UK製のカップメンとかチーズ、パンなどの食料を買い込みホテルに一旦帰った。昼間カップメンだったので、さすがに夕食は外でとろうという事になり、ホテルのすぐ近くにあるインド料理屋でカレーを食べた。カレーというのは、旅行に行く直前にUKに詳しい友人と飲んだ時に、彼が「ロンドンはカレーだ」と薦めてくれたので、それを選んでみた。確かにインドはかつてイギリスの植民地だったので、インド人も大量に移民してきているはずだから、本場インドのカレーが食べられるハズである。インド料理屋に入ってみると確かに本場らしく、カレーを頼んでもカレーのルーしか出てこない。カレーが食べたければ

カレーとライスを別に注文


しなければならないのだ。ライスを注文すると、ナンはいらないかと聞かれた。日本なら、カレーにはライスかナンかどちらかだと思うが、どうも本場は両方食べるのかもしれない。それに、飲物は何にするというので、いらないと言うと、水も出てこない。メニューを見ると、水もちゃんとメニューの中に入っているのだから驚きである。カレー£5(1000円)と表に書いてあったので気軽に入ったのに、カレーとライスと水で1人£10かかってしまい、高い夕食となった。でも、ロンドンはこれが相場のようだ。円が安いのが悔しい。
そこそこお腹が一杯になったところで、ホテルの前の「Friends at Hands」というパブに行きビールを飲んだ。パブの事は次回以降に記述を譲る事にして、大過なく2日目が終わったのだった。 




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