アメリカで長期間滞在しようとする場合、例えば H-1B ビザは最長 6 年ですので、永住権の申請を考える必要が出てきます。また研究者の場合、最低永住権がないと申請できない研究費もあります。ただ、普通に申請しようとすると時間的にも金銭的にも大変です。永住権申請で弁護士を雇う場合、未婚者が 1 人だけで申請するのと既婚者が家族も含めて申請するのとで大きな差はないようですが、$10,000 前後になるようです。
アメリカの大学や研究機関などで研究している場合、Outstanding Researcher/Professor という日本語に訳すのがはばかられる名前のカテゴリーで申請でき、所属機関の援助が受けられることもあります。この場合、永住権申請の第一段階となる Labor Certification を取得する必要がなく、審査時間が大幅に短くなります。最近は処理速度が速くなり、2006 年の場合、半年以内に取得できるのが普通なようです。ただし、審査の際に国際的な業績があると認められなくてはいけませんので、それを証明する書類集めが必要になります。また職名も重要で、permanent な職と見なされるものでないと申請できません。
UAB では I-House の職員が申請の面倒を見てくれ、経験豊富で大変心強いです。この場合、自分で弁護士を雇う必要はありません。最初にすべきことは自分の CV を見てもらい、大学のサポートを受けることが可能であるかを判断してもらいます。基準として重要な事は、
のようです。UAB ではこの時点で問題ないと判断されれば、その後の手続きも問題なくうまくいくようです。もし駄目であると判断されてしまった場合には、UAB の援助を受けることができません。改善した方がいいことなども教えてくれますので、早めに相談しておいた方がいいでしょう。
実際の申請の際には、定型の申請書類の他にかなりの量の添付書類が必要になります。
CV と共に主要論文の別刷りまたはコピーの提出と、論文の引用回数を調べるように言われました。
その他、今までに受賞した賞の証明としてウェブサイトのページのコピー、査読者を務めたことの証明として依頼メールのコピーなどを用意しました。日本語でしかないものは自分で英訳し、日本語ができる人にお願いして notarize してもらえばいいとのことでした。
推薦状はかなり重要なようです。私の場合、以下を指定されました。
国際的な評価が必要なので、アメリカ人以外の推薦状も重要なようです。書いていただく人の研究歴も重要で、推薦状と一緒にできれば CV も書いていただくようにとのことでした。著名な人となると普段から非常に忙しい人と相場が決まっており頼みにくいという気持ちがありますが、推薦状の数を考えるとあまり知らない人にもお願いする必要があります。
日本からの推薦状は指導教官の先生などにお願いしました。アメリカ内からは、以前共同研究で知り合ったあまり親しくない先生などにもお願いして書いていただきました。最後の客観的な推薦状ですが、これは自分を直接知っていない人にお願いしてくださいとのことだったので、ボスに候補者を 2 名挙げてもらいました。1 人は快諾、もう 1 人からは返事さえもいただけなかったので、会議で何回か話したことがある先生にお願いしました。
定型の申請用紙に申請者の情報などを記入する必要がありますが、添付書類に比べると簡単です。申請手数料は 2006 年のものですが、残念ながら 2007 年夏に大幅値上げとなりました。
写真 2 枚を添える必要がありますが、形式はビザ取得の際の写真と同じです。さらにパスポート、I-94、今までのビザ書類の写しを添えました。
出生・婚姻証明書として、日本人の場合には戸籍謄本があればそれ 1 枚だけで十分です。ただし英訳する必要があります。日本大使館などに依頼して作成してもらうこともできるようですが、私は自分で英訳して日本人の知り合いに notarize してもらえばいいと言われました。戸籍謄本は原本ではなく、コピーの提出でよいとのことでした。
2006/05
健康診断はどこで受けてもいいわけではなく、アメリカ移民局指定医にお願いする必要があります。ただし健康保険は全く効きません。バーミングハムでは 2 箇所あります。
検査される項目は、
です。妊婦である場合、その旨医師に告げると予防接種と胸部レントゲンは一時的に免除してもらえますが、出産後に日を改めて受ける必要があります。全部の検査を終えて移民局に書類を提出し終るまでは永住権がもらえません。
予防接種歴はアメリカでのものがないと証明が難しいので、予めかかりつけ医にお願いして接種しておけば保険も効いていいのではないかと思います。その場合、接種歴を書いてもらい持参してください。血液中の抗体を調べても予防接種歴が分かりますが、病院窓口では予防接種を受けるよりも値段が高いので勧めないとの説明を受けました。ただ故意に嘘をついたのか本当に知らなかったのか、実際の料金表を見ると抗体検査の方が少し安かったです。
結核は日本人の場合、ほぼ間違いなくツベルクリンテストで陽性反応を示すはずですが、アメリカでは BCG をしないため陰性でないとまずいです。健康診断を受ける前に医師がアジアでの BCG について知っているかどうかよく確認した方がいいです。2006 年の時点では最初からツベルクリンテストを受けるのではなく、胸部 X 線を勧めてくれました。肺に影がないことを確認して終りました。ただ 2007 年に入ってからは規則が変わり、BCG の摂取を受けていてもまずはツベルクリンテストを受けなくてはいけなくなったと言われました。胸部 X 線で陰性を確認して書類は書いてくれましたが、他の病院での治療が必要との処方箋までくれました。
AIDS の有無は血液採取して検査します。もし AIDS に感染していた場合には、永住権が取れなくなるかもしれないと書類に書いてありました。
数日後に検査結果がすべて記入された用紙 (I-693) をもらうことになります。移民局に提出するものには封筒に入れられており開けることはできませんが、同じ内容のコピーをもらえました。
以上の書類を集め終わると、International House の職員が必要な手紙などを添えてくれました。5cm ほどの束になった書類に、学科長・学部長・学長などのサインをもらうことになります。すべての承認が降りたところで、移民局に発送となりました。
書類の提出先は住所で決まり、私はテキサスオフィスに提出するように用意していましたが、直前でネブラスカオフィスに提出先が変更になりました。ただ提出後に結局テキサスオフィスにたまたま転送されたようです。オフィス間での転送はよくある話のようです。審査の進行状況は USCIS Case Status Service Online で調べられます。
Biometric の予約、I-140 と I-485 の許可通知は I-797 という書式で郵送されてきます。
2006/06
書類の発送後、早くに biometric 情報採取のための予約日時が書かれた手紙が届きましたが、手紙を受け取った次の日の朝が予定日でした… 消印を見ると 5 日ほど前の発送でした。指紋の採取と顔写真撮影が目的です。どちらもデジタルデータとして保存されます。指紋採取の際には特に何も手に付ける必要はないですが、職員が指を一本ずつ持ち、スキャナーの上に置いていきます。10 本すべて採取されます。うまく読み込まれない場合には、指をきれいに拭いたりしながら何度か繰り返すことになります。ここで撮られた写真が永住権のカードに使用されます。
最後に職員の仕事ぶりについて評価する紙が置かれていたためか、皆非常に丁寧で驚きました。
2006/06-2006/09
その後は連絡を待つだけになります。2006 年 7 月に I-140 が許可され、大学に通知が届きました。その後 9 月に自分宛に I-485 許可通知が届きました。書類の手続きはテキサスで行われていましたが、永住権のカードはケンタッキーから来たので、I-485 許可の手紙とカードが同時に届きました。
書類を提出する際に、大学職員からは手続きに半年ほどと言われましたが、3-4 か月で済みました。同時期に申請した知り合いは少し期間が早かったので、現在の書類審査はかなり効率的なようです。
永住権取得後、制限がない SS# カードを SSA オフィスで申請することができます。例えば H-1B で申請した場合には "Valid for Work Only With INS Authorization." との記述が入っているはずなので、念のため新しい物に替えてもらっておいた方がいいでしょう。配偶者などで SS# を持っていない場合には、新たに申請することができます。アメリカ入国後すぐに申請する場合と異なり入国記録を調べる必要がないので、1-2 週間ほどでカードが届くと思います。
日本以外の国で永住権を持っている場合、日本国内の鉄道・空路が格安で利用できるサービスがいくつがあります。ただし日本国内では買うことはできず、予め海外で購入手続きをする必要があります。
永住権があればアメリカの入国はかなり簡単になります。日本の空港でチェックインする際には、パスポートと永住権のカードを一緒に見せます。アメリカの入国審査では、同じくパスポートと永住権のカードだけ提出します。税関申告用カードの記入は必要ですが、I-94 はいりません。ただしアメリカ国外に長期間(3 か月以上という話もありますし、1 年間以上という話もあります)滞在していると入国審査で面倒なことになる場合もあるようです。
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