ハデス / H A D E S / `ΑΙΔΗΣ

クロノスレアとの息子で冥界の神。髭の生えた壮年の、あるいは白髪の男性として描かれ、アトリビュートは笏。また地底の神として大地の生産性と結びつき、富を意味するプルトンの名前で呼ばれることもあり、豊饒の角を持つ。 ゼウスデメテルとの娘ペルセフォネを誘拐し、母の懇願でしかたなく返すことになったが、その前に冥界のザクロを一口食べさせていたため一年の三分の一は彼と過ごすことになった。 ヘラクレスが難行の最後に冥界の番犬ケルベロスを連れていこうとしたとき、素手で戦うことを条件にこれを許可した。またタンタロスやシシュフォスティテュオスイクシオンなどの罪人に過酷な罰を与えた。

常に登場する場面

  • ペルセフォネを誘拐するハデス

しばしば登場する場面

  • 冥界に閉じこめられたテセウス
  • ケルベロスを生け捕るヘラクレス

まれに登場する場面

  • 麦の栽培を伝えに旅立つトリプトレモス
パトロクロス / P A T R O K L O S / .

メノイティオスの息子でアキレウスの親友。トロイア戦争では彼の従者として参加した。アキレウスアガメムノンが仲違いしたとき、主人とともに陣営に引きこもったが、敵軍に追いつめられたギリシア勢を放っておけず、アキレウスの鎧を借りて出陣した。アキレウスが戻ってきたと錯覚したトロイア軍はパニックに陥って一気に撤退したが、深追いしすぎたパトロクロスは敵の大将ヘクトルに討たれて死んだ。その遺体をめぐって両軍激しい戦いとなり、アイアスメネラオスの活躍で何とか連れ帰ることができたが、鎧は奪われてしまった。この悲報にアキレウスも出陣を決意し、ヘクトルを倒すとパトロクロスのために葬礼競技を催した。

常に登場する場面

  • パトロクロスを治療するアキレウス

まれに登場する場面

  • テティスから鎧を受け取るアキレウス
パリス / P A R I S / .

トロイア王プリアモスヘカベとの息子でアレクサンドロスとも呼ばれる。彼が産まれるとき予言者は彼がトロイアの滅亡を招くことを告げたため、羊飼いにイデ山中に捨てさせたが、哀れに思った羊飼いに育てられた。成長してトロイアで行われた葬礼競技に参加した彼はほかの王子たちを破って優勝してしまった。王女カッサンドラは彼がむかし捨てられたパリスであることを見抜き、家族として迎えられた。

 ペレウステティスの結婚式に招かれなかった争いの女神エリスの投げ入れた「最も美しい女性に」と記されたリンゴをめぐって三人の女神が争ったとき、ゼウスはパリスのその審判役に命じ、ヘルメスに率いられて女神たちがイデ山までやってきた。ヘラは世界の覇権を、アテナは戦いでの勝利を、アフロディテは最も美しい女性を妻として与えることを約束した。パリスはアフロディテを選び、のちまで彼女の支援を得るとともにほかの二人の恨みを買った。

 パリスは女神に率いられ、女神の息子アイネイアスとともにスパルタへ向かい、メネラオス王に歓迎され、王が出かけている間に妻ヘレネを誘拐した。メネラオスは何度も使いを送って返すよう命じたが成果がなく、ついにギリシア軍を率いて攻め寄せトロイア戦争に発展した。

 いくつかの戦いののち二人の一騎打ちで勝負を決めることになったが、まさに殺されそうになったパリスをアフロディテが救い、決着のないまま戦いが再開した。無敵の強さを誇ったアキレウスに対して放った彼の矢はアポロンに導かれて唯一の弱点であった踵を射抜いてこれを殺した。しかし彼自身もフィロクテテスの射る矢に討たれて死んでしまった。

常に登場する場面

  • トロイア王家に迎えられるパリス
  • パリスの審判
  • ヘレネを誘拐するパリス
  • パリスとメネラオスの戦い
  • アキレウスを射るパリス
パルテノパイオス / P A R T H E N O P A I O S / .

アタランテメラニオンとの息子。アルゴスの武将としてテーバイ攻めに参加したが、テーバイの武将ペリクリュメノスに殺された。

しばしば登場する場面

  • テーバイ攻めの準備
  • テーバイ攻め
ハルピュイア・複ハルピュイアイ / H A R P I E / .

タウマスとエレクトラの娘たちで、猛禽類の鳥の体に女性の頭を持ち、しばしばセイレーンと混同される。それぞれの名前はアエロ、オキュペテ、ケライノ、ポダルゲで、突然人が姿を消したときは彼女たちの仕業だといわれた。 トラキア王フィネウス王の食卓から食べ物をかすめ取っては汚物で汚し、彼を悩ましていた。アルゴナウタイの一行が彼のもとを訪れると、ボレアスの息子で翼を持つカライスゼテスが彼女たちを追い払い、彼女たちはクレタ島に逃れた。

しばしば登場する場面

  • フィネウスを助けるカライスとゼテス
ハルモニア / H A R M O N I A / .

アレスアフロディテとの娘でテーバイ初代の王カドモスの妻。二人の婚礼には多くの神々が訪れたが、彼女に贈り物として与えられた首飾りと花嫁衣装はその子孫たちに不幸な運命をもたらした。

常に登場する場面

  • ハルモニアの婚礼準備

しばしば登場する場面

  • 竜と戦うカドモス
パン / P A N / ΠΑΝ

その両親については様々な説があるが、ヘルメスの息子とするのが最も一般的である。牧畜の神で、山羊の角あるいは頭部を持ち、山羊の尻尾と蹄を持つ。ニンフに育てられた彼は好色で、しばしばニンフを追い回した。

 また音楽家でもあり、シュリンクスと呼ばれる笛を発明するとアポロンと競争したが破れた。このときパンを味方したフリュギア王ミダスアポロンによって耳をロバの耳にさせられてしまった。

パンドラ / P A N D O R A / .

人間に災いをもたらすために生み出された最初の女性。ヘファイストスが泥をもとに作り出し、アテナによって生命と衣服を与えられ、アフロディテによって美が与えられた。ゼウスプロメテウスの弟エピメテウスに彼女を送り、兄の忠告を無視して彼女を妻として迎えた。神々は彼女に人間に対するあらゆる災いを詰め込んだ壺を与え、彼女がこれを開けると中からは争いや苦悩、悲しみ、病などが飛び出し、唯一箱には希望のみが残った。

常に登場する場面

  • パンドラの誕生
ピグミー / P Y G M Y / .

アフリカに住む小人族で、彼らと白鳥との戦いがホメロスによって語られている。

常に登場する場面

  • ピグミーと白鳥の戦い
ヒッポダメイア / H I P P O D A M I A / `ΙΠΠΟΔΑΜΕΙΑ

ピサ王オイノマオスの娘。娘の夫に殺されるという予言を受けた父は求婚者に対して戦車で娘を奪い、追う自分から逃れられたら結婚を認めるという条件を出し、そのすべてを殺していた。 リュディアからやってきたペロプスは王の御者ミュルティロスを買収し、その車輪を外れやすくしておいた。ペロプスがヒッポダメイアを連れて逃げると王は後を追ったが車輪が外れて戦車が大破し、その下敷きとなって、あるいはペロプスに殺されて死んだ。ペロプスは秘密を知っているミュルティロスまでも殺した。 ペロプスと結婚したヒッポダメイアはアトレウス、テュエステス、ピッテウスなどの息子をもうけた。

常に登場する場面

  • ヒッポダメイアを連れ去るペロプス
ヒッポメドン / H I P P O M E D O N / .

アルゴスの武将の一人としてテーバイを攻めたが、敵の武将ポリュドロスに殺された。

しばしば登場する場面

  • テーバイ攻めの準備
  • テーバイ攻め
ヒッポリュテ / H I P P O L Y T E / `ΙΠΠΟΛΥΤΗ

アマゾン族の女王。ヘラクレスが難行の一つとして彼女の帯を取りに来たとき、当初は素直に渡すつもりだったが、ヘラの策略によって戦いとなり、ヘラクレスに殺されてしまった。 別の説ではこの戦いに生き残り、のちにテセウスが姉妹のアンティオペを誘拐したときにこれを追ってアテナイまで攻め寄せたともいわれている。

常に登場する場面

  • ヘラクレスとアマゾンの戦い
ヒュアキントス / H Y A K I N T H O S / .

スパルタ王アミュクラスとディオメデとの息子。美少年で、アポロンと西風の神ゼヒュロスとに愛されたが、彼はアポロンを選んだ。そのためゼヒュロスの送った風に乗ってアポロンの投げた円盤が流されて彼の頭を直撃し、彼は死んでしまった。

常に登場する場面

  • ヒュアキントスを誘拐するゼヒュロス
ピュティア / P Y T H I A / .

デルフォイで神託を告げる巫女の呼び名で、ギリシア最大の聖地であるデルフォイの神託は神話においても実際の歴史においても重要な役割を果たしている。

常に登場する場面

  • デルフォイで神託を聞くアイゲウス
ヒュドラ / H Y D R A / `ΥΔΡΑ

テュポンとエキドナから産まれたレルネに住む怪物で、百の首を持つ竜。首を切り落としてもそこからまた新しい首が生え、その血液には猛毒が含まれていた。難行の一つとしてヒュドラ退治を命じられたヘラクレスは切り落とした首を甥のイオラオスに焼かせて二度と生えないようにして殺し、その血を自分の矢に塗って毒矢にした。

常に登場する場面

  • レルネのヒュドラを退治するヘラクレス
ヒュプノス / H Y P N O S / .

ニュクスの息子でタナトスの兄弟であり、眠りの神。背中に翼を持ち、しばしばタナトスよりも若い姿で描かれる。トロイア戦争ではタナトスとともにサルペドンメムノンなどの英雄の遺体を戦場から運び出した。

常に登場する場面

  • サルペドンの遺体運び

しばしば登場する場面

  • メムノンの遺体運び
ヒュペルビオス / H Y P E R B I O S / .

テーバイの武将の一人としてアルゴスとの戦いに参加した。

しばしば登場する場面

  • テーバイ攻め
ピュラデス / P Y L A D E S / .

フォキス王ストロフィオスとアナクシビアとの息子。ミュケナイを逃れてフォキスに預けられたオレステスと親友になり、オレステスの父の敵であるクリュタイムネストラアイギストスの殺害と、タウリスにあるアルテミス像の奪取に協力した。

しばしば登場する場面

  • エレクトラと再会するオレステス
  • タウリスのイフィゲネイア
ヒュロス / H Y L L O S / .

ヘラクレスデイアネイラとの息子。ヘラクレスが瀕死の状態にあって自ら薪の上に横たわって火を付けるよう彼に命じたが、決心が付かず、通りかかったフィロクテテスが代わりに火を放った。父の死後ヒュロスは兄弟とともに父の宿敵であったエウリュステウスに追われてアテナイに逃れたが、従兄弟のイオラオスと協力して宿敵を倒した。

常に登場する場面

  • ヒュロスの誕生

まれに登場する場面

  • ネッソスと戦うヘラクレス
ヒラエイラ / H I L A E I R A / .

メッセネの王レウキッポスの娘。リュンケウスの妻となる予定だったが、ディオスクウロイの一人カストルに誘拐されてその妻となった。

常に登場する場面

  • レウキッポスの娘たちを誘拐するディオスクウロイ
ファオン / P H A O N / .

レスボス島の船乗りで、アフロディテに愛された。

常に登場する場面

  • ファオンとアフロディテ
フィネウス / P H I N E U S / .

ポセイドンあるいはテュロス王アゲノルの息子。トラキアのサルミュデッソスの王で予言者。前妻の息子を妻イダイアに騙されて罰し、盲目にしたために神に罰せられ、自らも盲目になるとともに、その食卓を常にハルピュイアに襲われて食事が取れなくなった。コルキスへ向かう途中のアルゴナウタイが彼のもとを訪ねると、ボレアスの息子たちカライスゼテスハルピュイアたちを追い払い、その礼としてフィネウスはアルゴナウタイたちの進むべき道を教えた。

常に登場する場面

  • フィネウスを助けるカライスとゼテス
フィロクテテス / P H I L O K T E T E S / .

マリスの王ポイアスとデモナッサとの息子。ヘラクレスヒュドラの毒で死んだネッソスの血で染めた衣服を着たために体中が焼けて死にかけ、薪の上に横たわっていたところに通りかかると、ヘラクレスに頼まれて火を放ち、そのかわりにヘラクレスの弓矢を受け取った。 マリスの王として彼もトロイア戦争に参加したが、往路テネドス島に立ち寄ったときに毒蛇にかまれ、その傷口が悪臭を放ったため仲間は彼を島に置き去りにして出発した。 十年経ってもトロイアを落とせなかったギリシア軍は神託を伺うとそのためにはフィロクテテスの参戦が不可欠であることがわかった。オデュッセウスが使いとしてフィロクテテスのもとを訪れたが、自分を置き去りにした彼らを恨んでいたためこれを拒んだ。しかしアキレウスの息子ネオプトレモスの、あるいは神となったヘラクレスの説得によって参戦を決意した。 トロイアに着いた彼は傷を癒されると、アキレウスを殺したパリスに矢を放ち、これを殺した。

常に登場する場面

  • 蛇の毒に犯されるフィロクテテス

しばしば登場する場面

  • 薪の上に横たわる瀕死のヘラクレス
フィロメラ / P H I L O M E L A / .

アテナイ王パンディオンの娘。トラキア王テレウスと結婚していた姉妹プロクネのフィロメラに会いたいという望みを叶えるためにテレウスはアテナイにやってきたが、フィロメラが美しかったためにトラキアに向かう途中で彼女を犯してその舌を切り取って閉じこめた。フィロメラは自らの不幸を織り込んだ布をプロクネに届け、事実を知ったプロクネによって助け出された。プロクネは息子のイテュスを殺して切り刻み、テレウスに食わせた。テレウスは彼女たちを追いかけたが、プロクネはナイチンゲールに、フィロメラは燕に姿を変え、追いかけるテレウスはヤツガシラになった。

しばしば登場する場面

  • イテュスを殺すプロクネ
フォイニクス / P H O E N I X / .

オルミニオン王アミュントルとクレオブレとの息子。国を追われた彼はプティアのペレウス王のもとを訪れ、歓迎された。カリュドンの猪狩りに参加したのち、ペレウステティスの間に産まれたアキレウスの養育係となった。トロイア戦争が始まると、アキレウスに参戦するよう説得し、既に老年ではあったが彼もこの戦いに加わった。 アキレウスアガメムノンと不仲になって陣営にこもったとき、オデュッセウスとともに彼を説得しに行ったが、彼は親友パトロクロスの死まで戦いに戻ることはなかった。

常に登場する場面

  • アキレウスへの使節

しばしば登場する場面

  • アイアスとヘクトルの戦い
  • 贈り物を交わすアイアスとヘクトル

まれに登場する場面

  • ポリュクセナの犠牲
フォイベ / P H O I B E / ΦΟΙΒΗ

メッセネの王レウキッポスの娘。イダスの妻となる予定だったが、ディオスクウロイの一人ポリュデウケスに誘拐されてその妻となった。

常に登場する場面

  • レウキッポスの娘たちを誘拐するディオスクウロイ
フォロス / P H O L O S / .

ケンタウロス族の一人。ヘラクレスがエリュマントスの猪を生け捕りに向かう途中彼らの住むフォロエの街を訪れた。フォロスは彼を歓迎したが、ヘラクレスケンタウロス族共用の酒甕を無理矢理開けてしまったことからケンタウロス族との争いになり、ヘラクレスの毒矢によって死んでしまった。

常に登場する場面

  • ケンタウロスと争うヘラクレス
ブシリス / B U S I R I S / .

ポセイドンとリュシアナッサとの息子でエジプトの王。旱魃が続いていたために予言者の言葉に従って旅人を捕らえてゼウスに犠牲として捧げることにした。そこにヘスペリデスのリンゴを取りに向かうヘラクレスが通りかかったために彼を捕らえようとしたが、逆に捕らえられて祭壇に犠牲として捧げられた。

常に登場する場面

  • ブシリスを退治するヘラクレス
プリアモス / P R I A M / .

トロイア王ラオメドンとスカマンドロス河神の娘ストリュモとの息子。フリュギア王女ヘカベとの間にヘクトルパリス、デイフォボスやトロイロスといった息子、カッサンドラポリュクセネといった娘を得たほか、多くの妾の子供もあわせて男女五十人ずつをもうけた。

 パリスが産まれるときにこの子どもがトロイアを滅亡に導くことになることを知ったので羊飼いに捨てさせたが、密かに育てられ、成長したのちに再開して予言を忘れて彼を迎え入れた。パリスがスパルタ王妃ヘレネを誘拐するとこれを取り返すためにギリシア軍が攻め寄せてきた。彼は年老いていたためにトロイア軍の指揮は息子ヘクトルが取っていたが、アキレウスに殺されて遺体までも奪われてしまった。プリアモスは息子を取り戻すために神に守られながら単身アキレウスのもとを訪れ、財宝と引き替えに遺体を持ち帰った。

 しかしトロイアも木馬の計によって陥落し、目の前で幼い孫アステュアナクスを殺され、彼自身もアキレウスの息子ネオプトレモスに殺された。

常に登場する場面

  • トロイア王家に迎えられるパリス
  • ヘクトルの出陣
  • ヘクトルの遺体返還
  • アステュアナクス殺害

しばしば登場する場面

  • アイアスとヘクトルの戦い
  • 贈り物を交わすアイアスとヘクトル
  • ヘクトルの遺体を引き回すアキレウス

まれに登場する場面

  • トロイロスの待ち伏せ
フリクソス / P H R I X O S / .

オルコメノス王アタマスとネフェレとの息子。姉妹ヘレとともに継母のイノの虐待を受けて殺されそうになったが、黄金の羊の背中に乗って逃れた。ヘレはのちのヘレスポントスと呼ばれる場所で海に落ちたが、フリクソスはコルキスにたどり着いた。彼は羊を神に捧げて皮を剥ぎ、その皮を木に掛けて竜に守らせた。しかしコルキスの王アイエテスによって殺されてしまった。

常に登場する場面

  • 羊に乗って逃げるフリクソス
ブリセイス / B R I S E I S / ΒΡΙΣΗΙΣ

トロイア近郊リュネッソスに住むブリセウスの娘でミュネス王の妻。アキレウスは彼女の父と夫を殺して彼女を妾として連れ帰った。しかしアガメムノンが自分の妾クリュセイスをその父に返還しなくてはならなくなったとき、そのかわりとしてアキレウスからブリセイスを奪った。これに腹を立てたアキレウスは陣営に引きこもってしまった。彼の親友パトロクロスが討たれたときにアガメムノンと和解してブリセイスはアキレウスのもとに返された。

常に登場する場面

  • ブリセイスを連れ去るアガメムノン

しばしば登場する場面

  • ヘクトルの遺体返還
プロクネ / P R O K N E / .

アテナイ王パンディオンの娘。トラキア王テレウスとの間に息子イテュスを産んだ。テレウスは姉妹フィロメラに会いたいという彼女の望みを叶えるためにアテナイに赴いたが、フィロメラが美しかったためにトラキアに向かう途中で彼女を犯してその舌を切り取って閉じこめた。フィロメラが自らの不幸を織り込んだ布から事実を知ったプロクネは姉妹を救出すると息子のイテュスを殺して切り刻み、テレウスに食わせた。テレウスは彼女たちを追いかけたが、プロクネはナイチンゲールに、フィロメラは燕に姿を変え、追いかけるテレウスはヤツガシラになった。

常に登場する場面

  • イテュスを殺すプロクネ
プロクリス / P R O K R I S / .

アテナイ王エレクテウスの娘でケファロスの妻。夫は曙の女神エオスに愛されて誘拐されてしまった。プロクリスとケファロスは強く愛し合っていたので、エオスはやむなくケファロスを返した。しかし女神は二人に強い猜疑心を植え付け、互いを疑うようにさせた。プロクリスは狩りに出かけた夫を草むらの陰に隠れて観察していたが、これを獲物だと思って投げた夫の槍に刺されて死んでしまった。

常に登場する場面

  • ケファロスの槍に刺されるプロクリス
プロクルステス / P R O K R U S T E S / .

ポセイドンの息子で、エレウシスとアテナイの間にあるエリネオスで旅人をベッドに寝かせ、その長さよりも背が低いと無理矢理体を引き延ばして殺し、背が高いとはみ出た部分を切り落として殺していた。しかしテセウスがアテナイに向かう途中に彼と出会い、彼がこれまでしていたのと同じやり方でプロクルステスの首を切り落として殺した。

常に登場する場面

  • プロクルステスを退治するテセウス
プロメテウス / P R O M E T H E U S / ΠΡΟΜΗΘΕΥΣ

ティタン神族のイアペトスとテミスとの息子。予知能力を備えていた彼は、ティタン神族の中で唯一ゼウスに味方した。彼は粘土から人間を作り出したが、彼らが悪い行いを繰り返すためにゼウスはこれを滅ぼそうとした。しかしこれはプロメテウスの策略で防ぐことができた。またゼウスは人間に害をもたらすために最初の女性パンドラを創造し、彼の兄弟エピメテウスに与えた。プロメテウスの忠告に従わずにエピメテウスは彼女を妻に迎え、彼女が神から与えられた壺を開けるとあらゆる困難や罪悪がばらまかれた。

 また彼は食べ物を生のままで食べ、寒さに凍えていた人間たちを哀れに思い、ヘファイストスの鍛冶場から火を盗み出し、ウイキョウの茎に隠して運び、人間に与えた。これに腹を立てたゼウスは彼を捕らえて岩山に縛り付け、鷲にその内蔵を食らわせた。長い年月を経たのち、プロメテウスはゼウスがもしテティスと結婚すればその子供によって王座を追われるだろうという秘密を明かし、そのかわりとして解放された。ヘスペリデスのリンゴを探していたヘラクレスが通りかかったその鷲を射殺し、彼を解放したのであった。プロメテウスはその礼にヘスペリデスの園の場所と、彼の兄弟アトラスに取りに行かせるべきことを教えた。

常に登場する場面

  • 天界から火を盗むプロメテウス
  • プロメテウスを解放するヘラクレス