マイナス・複マイナデス / M A E N A S / .

ディオニュソスに従い、彼を崇める女性たちで、動物の毛皮をまとい、テュルソスと呼ばれる杖を持つ。サテュロスとともに描かれることが多い。 陶酔した彼女たちはしばしば荒っぽい行動に及び、ディオニュソスを信じないペンテウスを引き裂いたり、女性を近づけなかったオルフェウスを殺したりした。

常に登場する場面

  • ペンテウスの死
マルシュアス / M A R S Y A S / .

サテュロスたちの一人。アテナは笛を発明したが、吹いていると顔がゆがむためにこれを捨ててしまった。マルシュアスはこれを拾うとアポロンに音楽の競技を挑んだ。しかし敗れて生きたまま皮を剥がれて死んだ。

常に登場する場面

  • アポロンとマルシュアスの競演
マルペッサ / M A R P E S S A / .

エウエノスの娘。父が催した戦車競技の賞品とされ、これに優勝したイダスに妻として与えられた。しかしアポロンに見初められ、アポロンイダスは殴り合いの争いになったがゼウスに仲裁され、マルペッサの判断に任せることになった。彼女は自分とともに年老いていく人間のイダスを夫に選んだ。

常に登場する場面

  • イダスと格闘するアポロン
ミダス / M I D A S / ΜΙΔΑΣ

ゴルディアスとキュベレとの息子でフリュギア王。予言の能力を持つシレノスの知恵に預かろうとして彼を酔わせて捕らえ、賢者の言葉を教わった。別の説ではたまたま捕らえられたシレノスを彼が歓迎して解放したため、シレノスの主人ディオニュソスから一つ望みを叶えてやると約束され、彼はさわったものをすべて黄金に帰るように頼んだが、食事さえもとれなくなってしまって願いを取り下げた。 また彼はアポロンパンとの間で行われた音楽競技で彼一人パンを勝者としたため、アポロンの怒りを買って耳をロバの耳にさせられてしまった。

しばしば登場する場面

  • ミダス王に捕らえられるシレノス
ミノス / M I N O S / ΜΙΝΩΣ

ゼウスエウロペとの息子でクレタ王。彼は犠牲に捧げることを条件にポセイドンから与えられた牡牛を惜しんだためにポセイドンの怒りを買い、彼の妻パシファエはこの牛に恋してしまった。彼女は工芸家ダイダロスに頼んで張りぼての牝牛を造らせ、その中に入って牡牛と交わると、半牛半人の怪物ミノタウロスが産まれた。ミノスはダイダロスに迷宮ラビュリントスを作らせるとミノタウロスをその中に閉じこめた。 ヘラクレスが難行の一つとしてクレタ島から連れていったこの牡牛がアッティカ地方を荒らしているのを知ると、息子のアンドロゲオスを送ったが殺されてしまった。これに腹を立てたミノスはメガラとアテナイへ攻め込み、アテナイには毎年ミノタウロスの犠牲として七人ずつの若い男女を送ることを要求した。アテナイ王子テセウスがこの犠牲に選ばれたとき、ポセイドンの子供と称する彼をミノスは疑い、試しに指輪を海に投げ捨てた。するとテセウスは海に飛び込み、ポセイドンの妻アムフィトリテに歓迎されて指輪を返されるとともに黄金の冠まで与えられた。テセウスはミノスの娘アリアドネとダイダロスの協力を得てミノタウロスを倒すと迷宮を逃れ、仲間とともに島を脱出した。ミノスはダイダロスを責めて迷宮に閉じこめたが、ダイダロスと息子イカロスは蝋で固めた翼で脱出した。ミノスはダイダロスをシチリア島のカミコスで発見したが、その土地の王コカロスに殺された。死後ミノスは兄弟ラダマンテュスらとともに冥界の裁判官となった。

しばしば登場する場面

  • ミノタウロスを退治するテセウス
ミノタウロス / M I N O T A U R / .

クレタ王ミノスの妻パシファエとポセイドンミノスに送った牡牛から産まれた、牡牛の頭を持つ怪物。ミノスがダイダロスに造らせた迷宮に閉じこめ、アテナイから送られてる若者を犠牲として捧げていた。テセウスが犠牲としてやってくると、王女アリアドネの協力によってミノタウロスを殺し、迷宮を脱出した。

常に登場する場面

  • ミノタウロスを退治するテセウス
ムサ・複ムサイ / M U S E / ΜΟΥΣΑ

ゼウスとムネモシュネとの娘たちで、芸術や文化の女神。アポロンに仕え、ボイオティアのヘリコン山に住む。それぞれの名前はカリオペ、クレイオ、エウテルペ、テルプシコラ、エラト、メルポメネ、タレイア、ポリュムニア、ウラニアである。 彼女たちよりも優れていると奢ったタミュリスを盲目にして記憶を奪い去った。

常に登場する場面

  • 盲目にされるタミュリス

まれに登場する場面

  • ペレウスとテティスの結婚
メガレウス / M E G A R E U S / .

テーバイ王クレオンの息子で、アルゴスとの戦いに参加した武将の一人。彼がアレスに犠牲として捧げられればテーバイが勝利するという予言があったため、城壁からアレスの聖域である竜の洞窟に飛び降りて死んだ。

しばしば登場する場面

  • テーバイ攻め
メデイア / M E D E A / ΜΗΔΕΙΑ

コルキス王アイエテスとイデュイアとの娘で魔女。アルゴナウタイがコルキスへ黄金の羊の皮を取りに来たとき、イアソンに恋して彼に協力した。アイエテスは青銅の牡牛を倒すことをイアソンに求めたが、メデイアの魔力によってこれを倒すことができた。さらに羊皮を守る蛇を眠らせてこれを奪うとコルキスを脱出した。一行がクレタ島に立ち寄ったとき青銅の巨人タロスに攻撃されたが、メデイアがこれを眠らせて足にあった栓を抜くと血液が流れ出して死んでしまった。 イアソンの故郷イオルコスに着くと、彼らを遠征に向かわせたペリアスを罰することにした。彼女はペリアスの娘たちの前で切り刻んだ羊を釜で煮て生き返らせたばかりか若返らせ、彼女たちの父にも同じことをしてやろうと申し出た。彼女たちはペリアスを殺して切り刻んだが、メデイアの姿はなかった。 イアソンとメデイアはコリントスに逃れたが、イアソンが王女グラウケと結婚しようとしたので、王と王女を殺し、イアソンとの息子まで殺してアテナイに逃げた。アテナイではアイゲウス王の妻となった。テセウスが父を訪ねてやってくるとこれを殺そうとしたが失敗し、アテナイを逃れてコルキスに戻った。

常に登場する場面

  • タロスを殺すメデイア
  • 羊を煮るメデイア

しばしば登場する場面

  • テセウスを認知するアイゲウス
  • マラトンの牡牛を退治するテセウス
メドゥサ / M E D U S A / ΜΕΔΟΥΣΑ

フォルキュスとケトの娘で、ステンノ、エウリュアレの姉妹。本来は美しい女性だったが、ポセイドンアテナの神殿の中で交わったことに腹を立てたアテナによって髪の毛は蛇で目は大きく、口は大きくて牙の生えた醜い姿に変えられてしまった。姉妹のうちメドゥサのみが不死ではなかった。 メドゥサ退治を命じられたペルセウスアテナの助けを得て眠っていたメドゥサの首を切り落として逃げた。そのとき流れた血液から有翼の馬ペガソスと怪物クリュサオルが産まれた。ほかの姉妹は逃げる彼を追いかけたけれどもヘルメスから借りた羽の生えた靴を履き、アテナに守られた彼を捕らえることはできなかった。切り取られた彼女の首はのちにアテナの胸当てに取り付けられた。

常に登場する場面

  • メドゥーサを退治するペルセウス
メネステウス / M E N E S T H E U S / .

ペテオスの息子で、テセウスが冥界に捕らわれている間にアテナイの王位を奪った。冥界から戻ったテセウスを追放し、亡命したスキュロス島の王に彼を殺させた。ヘレネの求婚者の一人としてトロイア戦争に参加したが、帰国後にテセウスの息子デモフォンに王位を追われてメロス島に逃れた。

まれに登場する場面

  • テティスから鎧を受け取るアキレウス
メネラオス / M E N E L A O S / ΜΕΝΕΛΑΟΣ

ミュケナイ王アトレウスとアエロペとの息子でアガメムノンの兄弟。スパルタの王女ヘレネの求婚者の一人で、多くの競争相手の中で彼が夫に選ばれ、スパルタ王となった。しかしトロイア王子パリスがスパルタを訪れ、彼が留守にしている間に妻を連れて逃げてしまった。メネラオスは兄に頼んでギリシア中の英雄を集めてトロイア遠征に向かった。 彼はパリスとの一騎打ちで勝負を決することにしたが、もう少しで討ち取ることができたが、パリスアフロディテに救われた。パトロクロスか死んだときとアキレウスが死んだときにはアイアスとともにその遺体を守り通した。十年目にしてようやくトロイアを落とすと、裏切った妻を殺そうと彼女を捜したが、久しぶりに見た彼女のあまりの美しさに剣を落とし、妻として連れて帰ることにした。

常に登場する場面

  • パリスとメネラオスの戦い
  • ヘレネと再会するメネラオス
メムノン / M E M N O N / ΜΕΜΝΩΝ

ティトノスと曙の女神エオスとの息子でエティオピア王。トロイア戦争ではトロイア側に協力した。アキレウスと一騎打ちの戦いをしたが、ヘルメスが二人の魂を秤にかけると、メムノンが死すべき定めであることがわかり、アキレウスに殺された。彼の遺体は母親エオスによって、あるいはタナトスヒュプノスによって戦場から運び出された。

常に登場する場面

  • メムノンとアキレウスのプシュコスタシア
  • メムノンとアキレウスの戦い
  • メムノンの遺体運び
メラニオン / M E L A N I O N / .

アルカディアの青年。カリュドンの猪狩りに参加したのち、女傑アタランテに恋した。アタランテの父は競走で彼女に勝つことを妻として与える条件としていたが、求婚者を負かしては殺していた。メラニオンはアフロディテの協力を得て、黄金のリンゴを三つ与えられると、アタランテと競走している間にわざとこれを落とし、彼女が拾っている間に勝利した。

常に登場する場面

  • アタランテとメラニオンの競走

しばしば登場する場面

  • ペリアスの葬礼競技
  • カリュドンの猪狩り
メラニッポス / M E L A N I P P O S / .

アスタコスの息子でテーバイの武将。アルゴス軍と戦い、テュデウスと一騎打ちをして相手に致命傷を与えたものの殺されてしまった。死にかけたテュデウスはアテナに不死を願ったが、彼に恨みを抱いていたアムフィアラオスはメラニッポスの首を彼に投げつけると脳をむさぼり食ったために、嫌悪したアテナは彼から不死を遠ざけて殺した。

しばしば登場する場面

  • テーバイ攻め
メレアグロス / M E L E A G E R / .

オイネウスあるいはアレスとアルタイアとの息子でカリュドンの王子。アルゴナウタイに参加したのち、カリュドンを荒らしていた猪を退治するために英雄を集めた。女傑アタランテが傷を負わせて彼がとどめを刺した。彼は賞をアタランテに与えたがこれに腹を立てた叔父と争いになって殺してしまった。これを罰するために母は燃え尽きると彼の命まで尽きてしまうという予言のあった燃え木を燃やしてしまうと、メレアグロスは即座に死んでしまった。

常に登場する場面

  • カリュドンの猪狩り
モイラ・複モイライ / M O I R A / ΜΟΙΡΑ

ゼウステミスとの娘たち、あるいはニュクスの娘たちとされる運命の女神。クロト、ラケシス、アトロポスの三人であり、彼女たちの決定にはゼウスでさえも従わざるを得なかった。しかし神話で重要な役割を担うことは少ない。