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ステップバイステップ日本語教授法


ステップ8 練習のやり方

   授業では、さまざまな方法で練習が行われます。


8−1 基礎練習(文型ドリル)

新出項目がなめらかに発話できるよう、活用や形の練習を行います

   新出単語や活用形の練習のために、基礎練習(ドリル)を行い、新しい文型の形がなめらかに発話できるようにします。実際のコミュニケーションで使う前の準備として、なめらかな発音、正確な形が学習者の身につくよう口頭練習として文型練習(パターン・プラクティス)を行うのです。練習のために教師が出す合図を「キュー(cue)」といいます。(キューは【  】で示します)

   入門期ゼロスタートのとき、学習者への行動指示はジェスチャーでしめすか、「繰り返してくださいRepeat after me.」など、媒介語を補助として使います。「言ってください」「聞いてください」などの教室用語は、できるだけ早めに学習者が理解できるようにしましょう。(学習者への指示語は『 』で示します)


8−2 一般的なドリルのやり方

   最初に教師一人でキューと答えを演じて、何を答えるのか例を示し、リピートさせます。どの語がキューでどの語が答えなのか、学習者にはっきりわかるよう、体の向きを変えたり、キューを出すときは右手をあげ、答えるときは左手をあげるなど、しながら、繰り返します。学習者に発話させるための指示を『どうぞ』と言葉で言わずに、手の平を上にして学習者へ向けるジェスチャーも、しばしば行われます。

 T=教師
 L=学習者
 【 】キュー、
 『 』学習者への指示語
 「  」練習する日本語)

ドリル例)
T:(文字カード「ふるい」を学習者に示し、絵カード「古い本と新しい本」の古い本を指し示す)

T:  『聞いてください』「古い、私の本は古いです」(もう一度繰り返して)「古い、私の本は古いです」
(文字カード「あたらしい」を見せて、絵カードの新しい本を指し示す)
T:(文字カード「あたらしい」を見せて、絵カードの新しい本を指し示す)
  「新しい、私の本は新しいです」(繰り返し)

  『では、皆さんで言ってください』「私の本は新しいです」
  『どうぞ』(学習者全員に発話をうながす)
L全:「わたしの本は新しいです」

T:【古い】「わたしの本は古いです」『みなさん、どうぞ』(ジェスチャーでもよい)
L全:「私の本は古いです」

T:【安い】『L1さん、どうぞ』
L1:「私の本は安いです」
T:(L2,L3にもキューを出す)


8−3 反復(リピート)練習(repetition drill)

   新出単語などのリピート練習、モデル文のリピート練習

教師の発音を学習者が繰り返す。教師は発音、イントネーションのチェックなどを行う。

例1
新出名詞の練習(絵カードを見ながら)  
T:『言ってください』      
【コーヒー】『L1さん』(ジェスチャーでどうぞ)
L1:「コーヒー」
T:【こうちゃ】『L2さん』    
L2:「こうちゃ」

T:【コーラ】『L3さん』     
L3:「コーラ」


8−4 変形(転換)練習(transformation drill)

 活用など、文法規則の練習のために、語の形を変える練習。

 動詞の活用練習の場合、1〜3グループの動詞を数語ずつ選んで練習する。2グループから練習をスタートし、1グループ、3グループへ進む。

例2)動詞ナイ形の練習
                     みないで ください
                         @ でる  A たべる B つかう C くる 
                         D する  E べんきょうする 
T:【見る】「みないでください」
L全員:「みないでください」

T:【出る】(ジェスチャーでL1に指示)
L1:「でないでください」

T:【食べる】(ジェスチャーでL2に指示))
L2:「たべないでください」

2グループ動詞→1グループ動詞→3グループ動詞の順に練習していく


8−5 代入(置き換え)練習(substitution drill)

  文型をなめらかに言えるようにするため、文の一部を置き換えて言う練習

例3)ヲ格他動詞文の練習

T:「こうちゃ、紅茶を飲みます。    
  「コーヒー、コーヒーを飲みます」

T:『言ってください』【コーヒー】
L全:「コーヒーをのみます」

T]【こうちゃ】
L全:「 こうちゃを飲みます」

T:【ワイン】
L1:「ワインをのみます」

T:【コーラ】
L2:「コーラをのみます」


8−6 代入変形練習

   代入練習と変形を同時に練習する

例4)可能形とそれに伴う助詞の練習

T:「お酒を飲む、お酒は飲めません」
  「コーラを飲む、コーラは飲めません」

T:(絵または言葉でキューを出す)
T:【コーラ】『みなさん、どうぞ』
L全:「コーラは飲めません」 │

T: 【ビール】「L1さん、どうぞ」
L1:「ビールはのめません」  

T:(L2にむけてキューをしめす)【ワイン】
L2:「ワインはのめません」

T:【漢字を書く】『みなさん、どうぞ』
L全「かんじはかけません」

T:(L3にキュー)【ハングル】
L3「ハングルはかけません」

T: 以下、Bさしみを食べるC中国語を話す D料理を作る
   などのキューを学習者に与える


8−7  応答(QA)練習(question & answer/response drill)

   教師の質問に対して学習者が決められた文型で答える練習。

例5)他動詞とヲ格名詞の練習

(Tは絵またはことばのドリンクリストを見せて、ひとつ選ぶよう指示する)
リスト│@ビール Aワイン Bコーヒー Cこうちゃ DジュースEさけ Fコーラ│

T:「パーティで何を飲みましたか」
  「私はビールを飲みました」
  『みなさんで言ってください』
  「ビールを飲みました」
L全:「ビールをのみました」」

T:「パーティで何を飲みましたか、L1さん」
L1:「ジュースをのみました」

T:「L2さん、何を飲みましたか」
L2:「こうちゃをのみました」


8−8 拡大(拡張)練習(expansion drill)

  長い文をなめらかに言えるようにするための練習
日本語の場合、述部の後ろから徐々に長くしていくので、文の構造を理解するためにも有効。

例6)│練習文:きのう2じから4じまで、ともだちと、としょかんで、にほんごをべんきょうしました │

T:「勉強しました」
L:「べんきょうしました」

T:【日本語】
L:「日本語を勉強しました」

T:【図書館】
L:「図書館で日本語を勉強しました」

T:【ともだち】
L:「ともだちと図書館で日本語を勉強しました」

T:【2時から4時まで】
L:「2時から4時までともだちと図書館で日本語を勉強しました」

T:【きのう】
L:「きのう、2じから4じまで、友だちとと図書館で日本語を勉強しました」


8−9 完成練習(completion drill)

   文の後半・または前半を学習者が考えて完成させる練習

例7) 練習項目「ので」
│ @頭が痛い Aテストがある B友達に会う  Cお金がない D忙しい │

T:【雨が降っています】「雨が降っているので散歩しません」
 『皆さんでどうぞ』
L全:「雨がふっているのでさんぽしません

T:【頭が痛いです】
  『L1さん、言ってください』
L1:「頭がいたいので病院へいきます」

T:【あした、テストがあります】
L2:あした、テストがあるのでふくしゅうします

T:【お金がありません】
L3:「お金がないので、買えません」


8−10 小会話練習(mini conversation drill)

   短いモデル会話をもとに、指定された部分を置きかえる練習。

置きかえ部分の変形も行う。置き換える言葉が決まっている練習と、自由に学習者が置き換えの言葉を考える練習がある。後者の練習は実際のコミュニケーションに近づいた練習になる。例8の3)の練習では、学習者が言葉を考えて言う。

例8)字の部分を置き換えて言う)
 1)@天気がいい  A上野公園   2)@授業がない  A東京タワー
 3)@(        ) A(          )

A:あした暇だったら、どこか行きませんか
B:ええ、どこがいいですか
A:ディズニーランドはどうですか
B:いいですね。行きましょう


8−11 シナリオ(役割)会話練習(scenario practice)

 モデル会話を読み、役割を決めてシナリオ通りに言う練習

例9)
A:ヤンさんは日本語が上手ですね
B:キムさんも上手ですよ
A:いいえ、まだまだだめです。もっと練習しないと
B:じゃ、昼ご飯を食べる前にもう少し練習しましょう


8−12 発展練習(創造的練習、コミュニカティブな練習)

 文型練習のあと学習者が発話内容を決定する創造的な練習をします

   文型がなめらかに言えるようになったら、学習者が自分の状況に合わせて発話する応答練習をします。自分で答えを創造する練習やゲームをしながら文型が定着できるようにする練習など、学習者が主体的に取り組める練習を行います。
   教師は必要最低限の指示を与え、学習者の主体的な発話をひきだすようにします。


8−13 ゲーム (game)

 ゲームを楽しみながら学習の定着をはかります。

 ひらがなの書き方読み方を練習したあと、かるたとりゲーム、間接話法や伝聞の言い方を練習した後、伝言ゲームなど。

ゲーム例
 連体修飾を練習したあと、フルーツバスケットゲームをする。
発話者は「黒いくつをはいている人」「髪が長い人」などの指示を出す。発話者の指示に従って、該当する人は椅子を移動する。移動する人数よりいすをひとつ少なく置き、移動の後座れなかった人が次の発話者となる。


8−14 ロールプレイ(role play)

   ロールカードの指示に従って、練習した文型を応用して自由に文を作って発話します

ロールカード例

A:まいばん、となりでパーティがあって、たくさんの人がおそくまで
   話したり歌ったりしているので、よくねむれません。       
   となりの人に話しをしましょう
B:パーティが好きなので、それがめいわくになっていることに 
  気がつきませんでした。Aさんにあやまりましょう  



8−15 タスク練習 (task practice)

   さまざまな課題を解決しながら、練習した文型が言えるようにしていきます

「料理の作り方を説明する」「先生が指示する折り方を聞いて、折り紙を折る」などのタスクもあります。

タスク例 (〜ために、〜ように、を練習したあと)

 あなたの乗った船が沈み、あなたは小さなボートで近くの島に
 行きました。島には人が住んでいません。島にいくとき、5つ
 だけアイテムを持っていくことができます。なにを何のために
 持っていきますか、言ってください。

アイテム) ナイフ、ラジオ、マッチ、時計、鏡、電池、薬、
       シーツ、タオル、本、カメラ、ノートとペン、犬、
       ロープ、スコップ、花火、ヘルメット、ラム酒

ex:「ニュースをきくために、ラジオをもっていきます」



8−16 ディベート(debate)

  クラスを半分に分けて、ディベートする。

ディベート例
 次のテーマについてどちらの意見がいいか、話し合いなさい。
 「どちらがいいですか。@いなかに住む、A都会に住む」


8−17 プロジェクトワーク(project work)

  クラス全員で、またはグループでひとつの課題に取り組み完成させる。

ワーク例

 土曜日と日曜日を使って、クラス旅行に行きます。1泊2日で行けるところを探し、日程、予算、観光、などの計画を話し合って、旅行プランを完成しなさい。


主な日本語学日本語教育用語・日英対照表 

27<教室活動> │ < .classroom activities >
28 インフォメーションギャップ │ information gap
29 インターアクション(相互作用) │ interaction
30 エクスパンションドリル(拡張 /拡大/延長練習 │ expansion drill
31 応答練習 │ response drill
32 完成練習 │ completion practice
33 キューワード │ cue word
34 グループ・ワーク │ group work
35 誤用訂正 │ correction of errors
36 ドリル │ drill
37 ディベート 論争 │ debate
38 ディクテーション(書き取り) │ dictation
39 最小対立練習(ミニマルペア練習) │ minimal pair practice
40 シュミレーション │ simulation
41 精読 │ intensive reading
42 代入練習 │ substitution drill
43 タスク │ task
44 文型練習(パターン プラクティス) │ pattern practice
45 反復練習 │ repetition exercise
46 ペアワーク │ pair work
47 変形練習(転換練習) │ transformation drill
48 模倣 │ imitation
49 模倣記憶練習(ミムメム練習) │ mimicry and memorization practice
50 ロール・プレイ │ role play


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