その他
造形陶器 / Figured Vase

黒人や女性、ヘラクレスサテュロスディオニュソスなどの頭部を型取った陶器で、垂直の把手を持つオイノコエ型のものと、小型のアリュパロス型、左右に垂直の把手を持ち、両面それぞれに頭部を型取ったカンタロス型とに分かれる。
Cf. Rhode 22.213 (Perseus Project)

そのほとんどは赤像式の時代になってから製作されたものである。装飾はオイノコエ型やアリュバロス型の場合頭頂部に植物文などが描かれる程度で像が描かれることはほとんどない。カンタロス型の場合は頚部にしばしば像が描かれ、またその頭部は片面は女性で片面はサテュロスとそれぞれ別のものを型取っていることも多い。

大きさ:カンタロス型やオイノコエ型の丁寧なものはおよそ20−30cm前後。オイノコエ型の小型のものやアリュバロス型は10cm前後。

アストラガロス / Astragalos / ΑΣΤΡΑΓΑΛΟΣ

指節骨を型取った陶器であるが、用途は不明。指節骨は古代ギリシアでは後のヨーロッパ世界と同様サイコロのようにして使用されていた。黒像式には存在せず、五世紀の赤像式の例が数点存在するのみである。
Cf. London E804 (Perseus Project).

それぞれの面に画面が配置され、植物の文様なども描かれている。

大きさ:幅およそ15−20cm前後。

ボビン / Bobbin


二つの薄い円盤を短い軸でつないだ、糸巻きのような形状の陶器であるが、その用途は明らかでない。

黒像式には存在せず、赤像式でもその数は極めて少ないが、白地の例も見られる。円盤の両面を画面とし、装飾はほとんどない。

大きさ:幅およそ15cm前後。

オオン / Oon / ΩΟΝ


卵形の胴部に脚が付いたもの。黒像式では六世紀の終わり頃、赤像式では五世紀の終わり頃にそれぞれ生産されているが数は少ない。いずれも胴部にフリーズ状の画面を配し、その上下に簡単な装飾を持つ。

大きさ:およそ5−10cm前後。

 

スタンド / Stand

ものを乗せる台として用いられたと考えられる陶器の総称であり、その形式は多様である。黒像式ではディノスを乗せる台を除けば簡素な形式のものが多く、脚部の上に円盤状のものが乗った形式のものが見られる。一方赤像式ではスフィンクスを始め、像を型取った台も見られるようになった。

大きさ:大きさはその形式によって異なり、5cmほどのものもおよそ20cm前後のものもある。