今回は、前回に続きまして、1966(昭和41)年元旦の正午から夕方6時台までの7時間分の番組表「昼の部」ということで、子細にわたり見ていこうと思います。
まず、正午台ですが、BSNは正午から15分枠のニュースが入っておりまして、多分、現在は、民放では正午からのニュースというのはなくなっていると思いますが、当時は、民放も、まだ、それなりに、定時ニュース用に、時間配分が行われていたということでしょうか。続いて、15分からは、「武蔵野夫人」という30分枠のドラマが入っておりまして、これは、元旦から、いきなり、通常の番組が放映されていたような感じですし、その後、45分からの婦人ニュースというのも、「婦人議員勢ぞろい」ということで、それなりに新春風ではありますが、これも、やはり、通常番組のような趣きであります。一方、NHKは、BSNと同じように、というか、現在も、NHKの場合、この時間帯の番組編成は全く変わっていないわけですが、正午から15分間はニュースの時間で、15分から1時までは、いかにも元旦に相応しく邦楽番組を持ってきており、しかも、カラーということで、見事に「初春を言祝ぐ」という形になっています。NHK教育も、多分、土曜のお昼ということでは、現在も、同じ様な番組をやっているような気がしますが、正午から1時半までNHK杯の囲碁トーナメント、1時半か
ら2時までは「ことしの囲碁界を語る」ということで、この2時間については、囲碁一色の世界が繰り広げられております。
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さて、BSNは1時から、「1966年歌謡ビッグショー」と銘打ちまして、石原裕次郎、橋幸夫、吉永小百合、江利チエミの4人による歌番組が入っています。司会が玉置宏という辺りを見ますと、「ロッテ歌のアルバム」の新春特別バージョンだったのかもしれません。下の番組解説で、新聞の番組欄に掲載されていた「1966年歌謡ビッグショー」の解説本文をそのまま引用させていただいておりますので、そちらをご覧いただければと思いますが、「人気、実力、すべて日本の歌謡界を代表する」4人であることが強調されています。
一方、NHKは、これまた、今に至るまで綿々と続いている番組編成でありまして、「東西寄席中継」が1時から3時まで2時間にわたって放送されています。
2時台に目を転じますと、BSNは「10人抜きのど自慢優勝者大会」ということで、現在、40代以上の方は覚えていらっしゃると思いますが、当時、確か、水曜日か木曜日の夜だったと思いますが、参天製薬の提供で「サンテ10人抜きのど自慢」という番組が放送されておりまして、そのチャンピオン大会が新春特番として組まれたものと思われます。司会は青空千夜・一夜のコンビで、審査員は、番組表にもある通り、先日亡くなられた作曲家の吉田正氏や、市川昭介氏、音楽評論家の湯川れい子さんなどが名を連ねておりました。ゲストは橋幸夫ということで、橋幸夫は1時からの「1966年歌謡ビッグショー」に続いての登場ということになり、当時の人気が偲ばれるところであります。NHK教育は劇団四季の「永遠の処女」を日生劇場から録画中継をしております。実は、今週の水曜日に、小学校6年生の長女が学年全体で出かける観劇に行ってきたのですが、やはり、日生劇場で四季の公演を見て来たと言っておりましたので、四季は、すでに、30年以上にわたって日生劇場での公演を行ってきているということになります。ちなみに、私は、その日の夜、「ヒデキ、カンゲキ!」と
いうギャグを飛ばしてみましたが、全然、通じませんでした。当たり前か…。
3時台は、BSNが「ミッチ・ミラー・ショー」、NHKが「新春コンサート」ということになっています。若い人たちは知らないかもしれませんが、「ミッチ・ミラー」というのは、アメリカの男性合唱団であるミッチ・ミラー合唱団を率いていた人の名前でありまして、当時、日本でも結構、人気があったものでありました。
続きまして、4時台は、BSNが「ヤング・ヤング・パレード'66」という歌番組で、三田明,久保浩,梶光夫,山田太郎,美樹克彦,弘田三枝子,日野てる子,田代美代子といった名前が見えております。この「60年代通信」にも「60年代の歌謡曲」というコーナーがあり、「青春歌謡」の部で取り上げさせていただきたいと思っている歌手の皆さんの名前が並んでおります。何しろ、家内制手工業であるにもかかわらず、多彩なメニューで展開させていただいているホームページのため、今のところ、この中では、梶光夫しか取り上げさせていただいておりませんが、少しずつ対象をひろげさせていただこうと思っておりますので、長い目でみていただければと思う次第です。NHKは木下恵介のドラマ「破れ太鼓」でありまして、再放送マークが付いていますので、前年に放送されたものと思われますが、1時間40分の大型ドラマとなっています。。この「破れ太鼓」という作品は、後年、民放でも、確か、進藤英太郎の主演で製作されたと記憶しています。NHK教育は、元旦から3日まで、3が日連続の硬派大型企
画「テレビ討論」が、この時間帯に放送されました。ご関心のおありの方は、このページの番組表の下にある番組解説をご覧ください。
5時台に入りますと、BSNで「中村八大ショー」という音楽番組が放送されています。こちらも、番組解説で引用させていただいておりますので、ご覧いただければと思いますが、かなりハイブローな構成だったようです。どうやら、1時間枠のレギュラー番組だったようですが、当時、リアルタイムでは、この番組を見た記憶がないのが残念です。NHKは、「破れ太鼓」に続いて、5時40分から、この日、NHKだけで3本目となるカラー放送の人形劇「長くつ下のピッピ」が組まれています。
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そして、いよいよゴールデン・タイムに近づいてまいりまして、18時台は、BSNが「009!!大あばれとんま天狗」、NHKが「歌おうみんなで1966年」ということで、7時以降の盛り上がりを予感させるのでありました。
「009!!大あばれとんま天狗」というのは、いわゆる「とんま天狗」の新春特別バージョンなのか、それとも、この時期には、こういう番組タイトルになっていたのか、手元の資料だけでは、判断がつきかねています。この「とんま天狗」の番組中で放映されていた生CMは、すでに、「60年代のCM/姓はオロナイン、名は軟膏」で紹介させていただいておりまして、その中でも書かせていただいた通り、この番組は、1959年(昭和34)9月から1961(昭和36)年4月まで読売テレビ・日本テレビ系で放送されたということでしたから、この1966(昭和41)年の元旦に放送された番組は、その続編の一部だったのかもしれません。また、「同じ時間帯の人気番組『私の秘密』(NHK)を凌駕するヒット番組となった」という解説もあり、キー局での放映は、土曜日の夕方6時からだったBSNとは違う時間帯だったようです。ただ、少なくとも、私が見ていたBSNの場合、この土曜日の夕方6時というのは、「とんま天狗」や「琴姫七変化」から「巨人の星」「黄金バット」に至るまで、大塚製薬グループがスポンサーの時間枠として、子供たちの脳ミソに強烈にプリンティングさ
れていたのでありました。それと、この番組表の中の「とんま天狗」の出演者の中に「手塚しげお」という名前がありますが、この手塚しげおは、朝の部でNHKの9時からの番組「うたのお正月」に出演していた高橋元太郎と同じく、スリーファンキーズのメンバーの一人でした。
また、NHKの「歌おうみんなで1966年」という番組については、通常番組のお正月バージョンなのか、お正月の特番なのか、定かではありませんが、番組のタイトルからして、特番風な気もしますが、このころ、NHKには、「歌のメリーゴーラウンド」とかいう番組もあり、出演者の顔ぶれも同じ様な記憶がありますので、あるいは、この「歌のメリーゴーラウンド」の新春特別バージョンだったのかもしれません。
BSN(新潟放送) | NHK総合 | NHK教育 | ||||
12:00 | 00 | 日報[N] ◇15 武蔵野夫人/司葉子,平田昭彦,高千穂ひづる,三上真一郎,佐羽由子ほか | 00 | [N] ◇10 ローカル[N] | 00 | NHK杯争奪囲碁トーナメント(1回戦第1局)/名人林海峯対九段藤沢朋斎,解説:名誉八段長谷川章,ききて・観戦記者:三谷水平,棋譜読み上げ:四段木谷礼子 |
45 | 婦人ニュース「婦人議員勢ぞろい」/紅露みつ,市川房枝ほか | 15 | [色]祝いめでた/赤坂小梅,安藤由美子,浅利みき,伊東満,佐藤松子ほか「花笠踊り」「津軽山唄」「さんさ時雨」「安来節」 | |||
13:00 | 00 | 1966年歌謡ビッグショー/石原裕次郎,江利チエミ,橋幸夫,吉永小百合,司会・玉置宏,演奏・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ | 00 | 東西寄席中継/▽落語「かわり目」志ん生▽三味線漫談:二三夫▽漫才「私のファッション」英二喜美江▽落語「初音の鼓」円生(鈴本演芸場)▽漫才:かしまし娘▽漫才:柳次柳太▽奇術:一陽斎正一▽漫才:タンゴひかる(大阪・角座) | 30 | ことしの囲碁界を語る/名誉九段瀬越憲作,九段木谷実,九段前田陳爾,九段宮下秀洋,日本棋院総務部長林裕 |
14:00 | 00 | 10人抜きのど自慢優勝者大会/ゲスト:橋幸夫,審査員・吉田正,湯川れい子,市川昭介,内海重典,山本丈晴 | 00 | 劇場中継「永遠の処女」/ジャン・ジロドウ作,浅利慶太演出,影万里江,加賀まりこ,富士真奈美,藤野節子,立岡光ほか, 四季(東京・日生劇場で録画) | ||
15::00 | 00 | ミッチ・ミラー・ショー/「大脱走マーチ」「ダンディ少佐マーチ」「上を向いて歩こう」「ドンキー・セレナーデ」ほか | 00 | 新春コンサート(1)/N響,指揮・フルネ▽モーツァルト作曲「交響曲・リンツ」▽ドビュッシー作曲「小組曲」ほか | ||
16:00 | 00 | ヤング・ヤング・パレード'66/三田明,久保浩,梶光夫,山田太郎,美樹克彦,弘田三枝子,日野てる子,田代美代子 | 00 | ドラマ「破れ太鼓」(再)/木下恵介作,尾上松録,小暮美千代,田村高広,田村登司磨,田村正和,田村幸照,十朱幸代,井上孝雄,清水将夫,細川ちか子ほか | 30 | テレビ討論(1) 「日中関係はどうあるべきか」/京都大学教授猪木正道,外務省顧問松本俊一,東京大学教授衛藤瀋吉,国際問題研究家若泉敬,慶応大学教授石川忠雄 |
17:00 | 00 | 中村八大ショー/五十嵐喜芳,石井好子,越路吹雪,坂本九,田辺靖雄,九重佑三子,ジャニーズ,益田喜頓,牟田悌三 | 40 | [色]人形劇「長くつ下のピッピ」/劇団クラルテ,(声)中里ひろみほか | ||
18:00 | 00 | 009!!大あばれとんま天狗「009長崎潜入の巻」/大村崑,ルーキー新一,花村菊江,手塚しげお,左とん平,加島こうじ | 00 | [色]歌おうみんなで1966年/ペギー葉山,石崎吉嗣,石崎恵美子,ボニー・ジャックス,東京マイスター・ジンガーほか「お正月なら」「回転木馬」「ぞうさん」「チロルの子守唄」ほか | 30 | 自然の記録(1)「富士」 |
30 | ニュースコープ 田英夫 | |||||
50 | ローカル[N] ◇55[天] |
歌いながらがっちり腕を組む/芸能界の若手ホープ
☆1966年歌謡ビッグショー(B後1・0)
人気、実力、すべて日本の歌謡界を代表する石原裕次郎、江利チエミ、橋幸夫、吉永小百合の4人が、それぞれ得意のヒット曲を歌い、語り合いながら、最後にがっちりと腕を組みあって、力強くはつらつと66年の元日を祝福する歌謡ナンバーワン番組。石原裕次郎は65年には全国縦断リサイタルを行いその地位は不動のものである。江利チエミはステージで日本ミュージカルの第一級スターの地位を確保しているし、橋幸夫は歌謡界の青春スターの代表、吉永小百合は清純派スターのナンバーワンと、日本歌謡界のスターが登場し、元日のひととき豪華なショーを送る。
日本の進路を検討/外交、政治、、経済から
☆テレビ討論(N教後4・30)
初めての試みとして3日間にわたり、それぞれ2時間という長時間、外交、政治、経済の中からテーマを選んで、日本の進路を検討する。
戦後20年を過ぎた今日、その反省と教訓からなにが導きだされるだろうか。対立する2陣営の中で民主主義を支柱として高度成長をなしとでた日本はいま、すべての面で新しい決意を求められているが、その要望にこたえて指針を示そうというもの。各テーマと出席者は次の通り。
▽1日「日中関係はいかにあるべきか」/京都大学教授・猪木正道氏、外務省顧問・松本俊一氏、東京大学教授・衛藤瀋吉氏、国際問題研究家・若泉敬氏、司会は慶応大学教授・石川忠雄氏。
▽2日「政治と知識人の役割」/作家・武田泰淳氏、評論家・福田恒存氏、弁護士・戒能通孝氏、東京大学教授・京極純一氏、司会は政治評論家・萩原延寿氏。
▽3日「安定成長は可能か」/日本開発銀行理事・下村治氏、日本銀行調査局次長・吉野俊彦氏、横浜国立大学教授・長洲一二氏、東京大学助教授・内田忠夫氏、司会は慶応大学助教授・加藤寛氏。
八大の歌で世界旅行/九ちゃんや五十嵐喜芳出演
☆中村八大ショー(B後5・0)
「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」など中村八大が作曲、編曲したポピュラーの名曲の数々を聞きながら、遠い世界への旅行に視聴者を誘い込むという趣向で繰り広げる。
中村八大自ら番組の進行係を担当し、ピアノをひく。八人の歌手が、中村八大作曲、編曲の歌をじっくりと聴かせてくれる1時間の落ち着いた豪華ショー。
【出演】中村八大、五十嵐喜芳、石井好子、越路吹雪、坂本九、梓みちよ、田辺靖雄、九重佑三子、ジャニーズ、益田喜頓、牟田悌三。
(C)1998 Kiyomi Suzuki
皆さんも、画像を見たり、文章を読んだりして、甦ってきた記憶、確かめたい事実などありましたら、Eメールでお聞かせください。