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モザンビーク鉄道の旅 その4

列車が停車する村ではそんな悠長な話ではない。
  一日一度の現金収入のチャンス。

頭の上に、たらいを乗せた子どもが窓に駆け寄ってくる。バスにはおばちゃんも来るけど、列車には子どもしか来ない。

――走れること――

 それが彼らの絶対条件。

 
長距離列車の客にニンニクやキノコを売りつけるセンスはわからないが(値段が安く、買いだめする人がいるようだ)、その十歳前後の子ども達の表情は必死そのもの。

 停車する2分ほどの間に客を探して売る。地面から窓までは高さがあって、棒にくくりつけたニンニクを窓に突き出す。列車が走り出しても、裸足で線路の横、石の上を走ってくる。

 マンゴーだってとてつもなく安い。


バケツに一杯の小ぶりのマンゴー、25円

 ナンプラの道路わきに売っているものの十分の一。村と街の貧富の差を見た気がした。それでも列車が通るから彼らは収入を得られるのだろう。  

垣間見るだけの村の生活。ホントの事はわからない。


 停車中、ビニール袋を持った乗客がマンゴーの少女の元へ走っていく。

――これに詰めろ!早くしろ!―― ドサドサッ。いくつもこぼれる。拾う。

――五コント!―-

――釣りはあるか!――

――ないよっ!―- 近くの人に両替を頼むも、小銭は無い。

客は諦めてバケツにマンゴーを返して走る。出発だ。

少女にとってはエライ迷惑な話だ。一日一度のチャンス。

諦めない。諦められない!

必死の顔で走りながら窓の別の客にバケツを渡す。
  乗客は中身を床に出す。

――お金、お金!――

裸足の少女は必死に走って叫ぶ。五コント、手の中に入る。

――バケツ、バケツ――

乗客は窓から草むらに投げ捨げ、彼女は草むらに走って入り、拾う。
 
 やっとホッとした表情。

 そんな光景が幾度と無く繰り返され、そのマンゴーや他のフルーツのおすそ分けを食べながらゆっくりと進む。窓の外の景色を写真にとる。



 「今がチャンスだ」

 「こっち側の景色もいいぞ」

眠気も覚めたのか、しきりに教えてくれるので、撮ったフリして、ありがとう。



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