青年海外協力隊 (モザンビーク 理数科教師)
短期隊員との活動記録 『びりびり日記』 その13
一度中学校に戻って、買い物品などを置いて、けん玉を20本リュックに詰めて再出発。歩いて30分の場所にあるマテアニィニ小学校へのけん玉教室に向かう。大きな道路を歩けば楽に着くんだけど、せっかくなので細い地元の道を行く。藁葺きの家が並び、その庭にはバナナやらマンゴーの木がある。土曜日なので、おばちゃんも子どもも木陰で寝転ぶか、ボケ〜っと座る。家族のメンバーが薪をおこして料理の仕度を始めている・・・・・という「日常」を垣間見れる道へ。こんなとこ歩くのも久しぶりだなぁ。
生徒も多いので、そこら中から声をかけられる。
「先生」
「ケンダ〜マ」
「タモ〜ツ」
とかとか。残念ながら、向こうが一方的に知っているだけで、こちらはわからないことが多い。もちろん愛想よく「はいよ〜」って応えるけど。
木の少ない丘がうねっている光景を遠めに見ながら、坂道を下って下って、小学校が見えてくる。なんというか、「アフリカの小学校」と言って日本人が思い浮かべるような小学校。道から一段下がった場所に、赤茶色の砂でくすんだ校舎がある。教室数は5つ。一つは木枠に土と石で壁を作ってできた、小屋。低学年は、イスなしで地べたで勉強。高学年の部屋は机があるけど、人数分は無い。
ナマーシャで一番好きな場所。
いつも変わらない風景。変わらない子どもたち。
到着して、彼らがこちらを見つけるとサッカーして遊んでいた子どもたちが、
「タモーツ」
「ケンダーマ」
とか叫びながら、こっちに走ってくる光景も、いつもと変わらない。
この小学生は、5年生まで。モザンビークの小学生は、最終的には7年間あって、5年生と7年生のときに卒業試験がある。小学生でも落第制度はあるし、卒業試験に受からないと「小学校卒業」にもなれないのである。中学校入学資格は、7年生を出ていること。この学校を卒業したら、ここから坂道を登って一キロにある私立の小学校に行くか――私立は学費が高いのでいけませんーー、我が家の近くの小学校までの4キロを歩くか。
リュックを石だらけの赤い地面に置いて、けん玉をしたい子どもたちに渡す。
もう何十回ここに来ただろうか。最初は救いようも無いほどヘタクソだった子どもたちも、今ではかなり上手い。「もしかめ」という大皿と中皿をカッチカッチする技がここでの人気。持ってきた20本のけん玉を全部使って、その子どもたちと、6人の日本人が一緒になってけん玉で遊んで、練習する。
短期メンバーのうちのけん玉サークルではないメンバー水野君は、子どもと練習するのではなくて、一人で黙々と「もしかめ」の記録を更新するのに必死に頑張っていた。
1時間ほど練習したあとは、大会。そんな大げさなものじゃないけど、いつも通り競い合う場を設ける。皆で輪になって座り、ひとりひとり順番に立って「もしかめ」をする。回数で競争している。
輪になって座ると、それだけで楽しい。ここには、さっき書いたような「ダルサ」は無い。ボロボロの服やら、上半身裸の無邪気な子どもがはしゃいでいる。一番ちっちゃい子は、推定2歳。けん玉を掴んでいるだけ。一番の兄貴分が、
「次はお前。早くしろ」
失敗したら、
「座れ、おい。座れお前。」
と、メッチャエラそうに指揮してくれている。小さな子どもにだって、容赦はない。遠慮とか、そんな単語は存在しないのだ。
数を数えるのも声を出して、「イチ、ニ、サン、シ、・・・・」と数えている。自分が一番だという自信があるものの、だれかが良い記録をだすと、ちょっと悔しそうな顔をして。また同時にちょっとやる気に溢れた顔をして、最後の自分の番を待っている。
結局彼が100回近くやって、一番だったのかな。
