モクズガニ

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 モズクではない、モクズ・・・・。よく間違えちゃう。
 はさみ脚に毛がいっぱい生えていて、まるで藻クズのように見えるからモクズガニ。英名では手袋ガニというそうだ。
 モクズガニは「旅をするカニ」だ。生まれてから死ぬまで、ずっと旅をする。

 真夏の夜の利根川に、モクズガニがたくさん上ってくるという噂があり、行ってみた。
 数は多くなかったが、堤防の手前で、ひと休みしているモクズガニに出会った。
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平成17年6月26日 埼玉県行田市・利根川

↑ モクズガニの観察地周辺 
 ここは、ふるさとめざしがんばれサケ!@、A、Bでも紹介した、利根大堰。
 サケやアユも遡上する所でもある。
 
↑ モクズガニがいる堤
 水が少ないときは、長靴で歩くことができるけど、けっこう水の流れは速い。
 昼間でもじゅうぶん気をつけ、子どもは大人と一緒に観察しよう。
十脚目イワガ二科  大きさ 5.5cm〜8.0cm(甲羅) 分布 北海道〜沖縄 
 日本全国の川や河口付近で見られるカニ。各地で呼び方もさまざまあるという。(全国的にはカワガニ、関東ではモクゾウガ二、中国地方はズガニ、沖縄はウリガイなど) 脚に毛がいっぱいついているのが特徴で、水の中では藻がついているようにみえるため、この名がついた。生息域は、河口付近の海域から、上流まで広い。海や河口付近で生まれ、成長するにしたがって川を上り、交尾と出産のため、ふたたび川を下るという、旅をする生き物だ。中華料理で有名な上海ガニは親戚で、モクズガニも、食用として利用されている。近年、数を減らしており、地域によってはレッドデータに登録されている。
ウォッチングのコツ・・・観察は夏。下流では魚釣りをしてると釣れたりするし、上流では川底の石の隙間などを探してみよう。冬はじっとしているらしく、観察には向かない。下のレポートは利根川。夜に活動するので、浅瀬などを懐中電灯で探すと見つかる。だが、夜の川は大人でもとても危険。子どもはまねしない方がよい。
 沖縄では、サワガニ探し、徳島ではオオウナギ探しのときに何匹も見た。北海道ではフナ釣りをしていると時おり釣れた。

 ↑モクズガニがいた!

 川面を埋めるほどたくさんいるという噂は違ったようだけど、何匹ものモクズガニを発見。川のカニとしては大きく、毛ガニに近いサイズだ。
 彼らは海で生まれ、河口からここまで150kmあまりの旅をしてきたのだ。いったいどのくらいの時間がかかるのか・・・・・。ほんと、パワフルなカニだ。

← プラケースで観察

 水から出したら、右のはさみ脚がなかった。
 水中ではフサフサの毛も、水から出ると泥でもついているようで、あんまり目立たない。大きくなるほど毛は多くなるが、小さいうちは毛が少ないそうだ。

 食べたら美味しいそうだけど、最近、数が減っているそうだ。川や海が汚れてきたのが主な理由。
 食用になり、以前訪ねた福島県では、さかんに漁が行われていた。僕は食べたことがないが・・・。

 

←ちょっとはなれて撮影

 写真は上と同じ場所で個体。大きなコンクリートブロックの隙間がウォッチングポイント。発見時は写真の上の方のブロックの壁にくっついていた。

 ただし・・・夜の川はとても危険なので、子どもはまねをしないように

平成17年10月 埼玉県羽生市・さいたま水族館

写真はさいたま水族館の展示個体。はさみの毛がフサフサだ。ちなみに水槽は水がたっぷり。サワガニやアカテガニのように少ない水での飼育ではない。

 北海道にもいて、子どものころは魚釣りをしてるときによく釣れた。まるで根がかりでもしたかのように竿(さお)が重くなり、引き上げるのに苦労した。かなりの力持ちだ。
 飼育は・・・・脱走に気をつけること。ちょっとした隙間でも逃げてしまう。器用だし、力持ちだが、それだけではあるまい。彼らはきっと途中で旅をやめるわけにはいかないのだ。
 もしかすると今日も、あなたの街の片隅で、この小さな旅人がそっと休んでいるかもしれない。