↑ 浅瀬に乗り上げた。

気がついたら、対岸で浅瀬に乗り上げたサケがいた。元気がない。


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(2006.1.24 公開)

初冬の朝のやわらかい光の中で、何も語らずに静かに横たわるサケ。
こいつらは、僕も生き物であることを思い出させてくれる。

 周囲にはサケの抜け殻たちがいくつもころがっていた。
 生き方には質の違いがあったとしても、命には質の違いはない。
 擦り切れるまで使い切ってこそ命なのだ、と当たり前のことを噛みしめる僕。

 よく見ると、目には空気の泡がたまっている。

 水中撮影に挑戦した。水が思った以上に冷たい。そーっとサケに近づくが、大半のサケが逃げる中、時おりまったく逃げる気配のないサケに出会う。なるほど、体がぼろぼろだ。すっかり弱っている。
 

〜 サケの遡上 観察シリーズ 第三弾 〜

 利根大堰(とねおおぜき)の群馬県側の浅瀬に水しぶきが見える。大きな魚の背中を見つけた。サケだ。周囲をよく見ると何匹もサケがいた。埼玉県側に作られた魚道(ぎょどう)とは対岸になる。

 別の個体。もっとぼろぼろ。泡がたまっていた目は、じきに真っ白に濁る。

平成17年11月27日  群馬県千代田町 利根大堰(群馬側)

 浅瀬でサケがばしゃばしゃと、川底をたたいてのぼっていく。産卵地はずっと上流と聞いているが、産卵?に見えなくもない。広い堰だから、魚道を見つけられず、ここで産卵するサケがいるのだろうか・・・。

 群馬県千代田町から撮影した利根川。釣り人が何人かいたが、もちろんサケ釣りではない。右は、サケの遡上数の累計。

ふるさとめざし、がんばれ、サケ!  

← もがくサケ

 浅瀬に乗り上げてサケは、全身でもがきながら、何とか深場に戻っていった。ばしゃばしゃではない。ぱしゃ・・・・ぱしゃ・・・・と、である。

←傷だらけのサケ

 ここは利根川河口から約150km上流だ。広くて大きな利根川には、北海道の渓流のような難所は少ない。
 にもかかわらずこの傷だ。サケにとっての150kmは、僕らには想像もできないきびしい旅なのだろう。
 がんばれ、サケ! 
 ふるさとはまだ先だ。

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 この日、僕らは3回目のサケ遡上ウォッチングに来ていた。
 シリーズ最終章・・・・・・・。もう、多くを語る必要もないだろう。
 写真を見ていただければ僕らが見たものは伝えられるはずだ。

そして体はぼろぼろに壊れていく・・・。その時が来るまではまだ間がある。
がんばれ、サケ・・・。他にかける言葉が思いつかない。