←産卵のため、木に登るオス、メスのペア
モリアオガエルは普段は森で暮らしているが、産卵が近づくと池や湿地に降りてくる。雨の日の夜は池のまわりの道の上を、何匹ものモリアオガエルが歩いている。
そして産卵の直前、オスを背負ったメスたちが木を登る。左写真では下がメスで上がオス。
メスのおなかがかなり大きくふくれているのは、卵がいっぱい入っているだけではなく、大量の水を飲んでいるから。
モリアオガエル
無尾目アオガエル科(日本固有種) 大きさ 4cm〜8cm 分布 本州 |
森の中の池や湿地などにすんでいる。泡に包まれた卵を木に産み付けるの。虫を食べる。4月から7月にかけて繁殖。冬は冬眠する。メスがオスをおんぶして、水の上にある木の枝先で卵を産む。泡立てながら産むので2時間くらいかかる。体色は地域によっての違いがあり、緑色のものと、緑に茶褐色の斑点が入るものがある。よく似たシュレーゲルアオガエルと比べ、モリアオガエルのほうが大きく、目のまわり(虹彩)がオレンジ色なので、区別がつく。 |
ウォッチングのコツ・・・けっして少ない」カエルではないのだが、森の奥にいて、なかなか会うことができない。ウォッチングを狙うなら産卵の前後だ。保護している自治体も多く、本やインターネットで産卵場所を確認しよう。各地のビジターセンターなどでも生息していれば何らかの情報があるだろう。もちろん産卵を見たいが、ひと晩野宿する覚悟が必要。まずは産卵の数日前から池に集まったカエルを探そう。産卵地の周辺を歩き回ればけっこう見つかる。産卵の直前は池に入っている個体が多く、見つけやすい。場所によって産卵時期が違い、同じ場所でもその年によって10日前後はズレるので、できれば事前に過去の産卵日を確かめておきたい。 |
撮影 : 栃木県塩原町・大沼(平成15年6月12日、13日、14日)
撮影 : 栃木県塩原町・大沼(平成15年6月27日)
いよいよ孵化(ふか)が始まった。一匹のオタマジャクシが、今まさに生まれ落ちようとしている。
卵の中にたくさんのオタマジャクシが見える。500匹の兄弟たちだ。
でも、こんなにたくさんの兄弟がいても、生き残るのは1匹か2匹。下界の池ではイモリやフナたちが待ちかまえている。
←産卵終了
産卵し終わって休んでいるカエルたち。
真っ白だった卵が薄い黄色になり始めている。あわがかたまってきたのだ。卵の下のほうに白い粒が見える。卵だ。
卵の下には沼がある。孵化したオタマジャクシがそのまま水の中に落ちるしくみだ。
が、中には陸の上の枝に産まれている卵もある。孵化(ふか)が始まるころは梅雨時で水が増えるから、問題ないのかもしれないが・・・。
←木にぶら下がるたくさんの卵たち
産卵の数日後に見に行くと、枝から落ちた卵をけっこう見る。風や雨などで飛ばされるのだろう。
←産卵直前のカエルたち
木を見ると、やっぱりいたるところにモリアオガエルの塊が見える(左写真)。木に登ったメスにオスたちが群がっているのだ。たいていはメス1匹にオス3〜5匹くらいでグループを作る。
すぐ産卵、と思ったら、ここからが長かった。
AM2:00まで待ったが、産卵ははじまらない。ずっとかたまりのまま、ぐにゅぐにゅと動き続ける。けっきょく朝になってしまった。
産卵は、翌日6月13日の夜にはじまった。
←産卵開始
オスが足をばたばた伸ばし、あわをかきまぜる。
オスは自分のおしっこと卵をまぜているのだ。おしっこの成分のアンモニアが白いあわになる。
時どき、上からカエルが落ちてくる。
産卵は翌日の6月14日午前中もまだ続いていた(左写真)。まだ木に登る途中のカエルもいて、集団でのいっせい産卵ではあるが、時間には幅があるようだ。
産卵直前 : (平成15年6月12日)
産卵 : (平成15年6月13日、14日)
現地施設
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