←泳ぐイモリ


 池に放すとごらんのとおり。体をくねらせて上手に泳ぐ。手足は体にぴったりとつけている。歩くよりはずっと速い。

 もちろん呼吸は空気呼吸〈口からの呼吸〉。 生まれたての幼生はエラで呼吸するので、ずっと水中ですごせるが、成体は水面に出て呼吸しなければならない。
 その瞬間のイモリを探すのもウォッチングのコツ。

ニホンイモリ

←歩くイモリ

 撮影のため、岸で少し休んでもらう。すばやい動きではないが、じっとしてくれず、けっこう骨が折れる撮影だ。

←生息地の様子

 採集地は田んぼ。同じところにタイコウチやいろんなヤゴも多くいる。エサが豊富という証拠だ。近くのため池では、たまにイシガメを見る。


 写真を写している僕の背中側は里山がある。ここの田んぼの水は山からの贈り物。いい水辺はいい山とセットになっていることが多い。

有尾目イモリ科(日本固有種) 大きさ 7cm〜13cm  分布 本州、四国、九州
池や水田、湿地などに多く、流れのある大きな川にはまれにしか見ない。アカハライモリとも呼ばれ、腹が赤い。繁殖は春から初夏にかけて行われ、水草や水中の枯れ葉などに一卵ずつ産卵する。
ウォッチングのコツ・・・・北海道出身の僕にとっては、いともたやすく見つけられる生き物ではないのだけど、いるところにはごちゃごちゃいるので、挑戦してみて欲しい。里山周辺の田んぼや用水路、森林部の湿地や池などで探してみることをおすすめする。意外と山にある公園の池とかが穴場かもしれない。他の生き物もたくさんいて、水生植物も豊かで、周囲にいい森があるような水辺ならば出会う可能性は高い。モリアオガエルの産卵池でよく会うので、まったく手がかりのない人は、まずはモリアオガエルの産卵地を探してみてもいいかも。 

 イモリの幼生である。頭の付け根にあるフサフサがエラで、カエルのオタマジャクシにはない。サンショウウオの幼生にもエラがあるが、イモリのほうがちょっとスマート。

←真っ赤なおなか(オス)

 おなかの模様は個体差があるけど、これはイモリらしいおなか。


 この赤は相手を警戒させる色といわれているけど、本当に皮膚から毒性のある粘液を出す。毒性は弱く、実際に皮膚がかぶれたという話は聞いたことがないが、皮膚が弱い人は気をつけたほうがよいだろう。直接触ったあとは目などを触らないようにし、必ず手を洗おう。


撮影 : 千葉県木更津市(平成16年7月10日)

塩原温泉ビジターセンター 〒329-2921
栃木県那須郡塩原町大字下塩原前山国有林内
電話
 0287-32-3050
詳しくはビジターセンターHP
那須塩原の豊かな自然を紹介。新緑ウォーク、森のコンサート、秋の紅葉ウォーク、自然観察会そして冬のカンジキウォッチング等のイベントを開催
開館 午前9時〜午後4時30分
休館 毎週火曜日(祝日の場合翌日) 年末年始


 塩原の他の生き物
・・・モリアオガエルハッチョウトンボジムグリヒキガエル 

現地施設

←婚姻色が出ているオスのイモリ
 オスはしっぽのつけ根(股間)がふくれている。


 写真ではわかりにくいが、紫色の婚姻色(繁殖の時期にだけ表れる体色の変化)がおなかに出ているオスの個体。図鑑などでは「きれいな婚姻色」とか表現されているけど、病気にかかっているみたいで僕は気味悪い。

撮影 : 栃木県塩原町・大沼(平成16年4月29日)

←採集したイモリたち

 ちょうど産卵の時期でもあり、10分ほど探すと20匹以上のイモリがあっという間に採れた。
 
 ここでは平成15年と16年、モリアオガエルの産卵がほとんど見られなかった。イモリがよってたかってモリアオガエルのオタマジャクシを食べてしまったのだろうか。そんなことを考えながら、撮影後にイモリを池に放す。

 イモリはわりと自然が豊かな里山や森で見かける。生息地でよく見る生き物はモリアオガエルとタイコウチ(水生昆虫)だ。特にモリアオガエルが産卵する池では驚くほどたくさんのイモリがいたりする。


 塩原町ではモリアオガエルが産卵するポイントを4ヶ所知っているが、そのすべての場所にイモリがいる。自治体によっては産卵地が保護されているモリアオガエルの天敵として、けっこう嫌われ者のイモリである。

ぶんぶく ぶんぶく探検隊トップページへ
リンクフリーです

撮影 : 栃木県塩原町(平成16年5月30日)

 毎年、たくさんのモリアオガエルが産卵するこの池は、じつは両生類天国である。春にはヒキガエルやツチガエル、シュレーゲルアオガエルが見られ、数年前にはクロサンショウウオの卵も見た。イモリもたくさんいたのだけど、ここ2年ほど、少し減ったような気がする。

水底を歩くイモリ→
もどる