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ドイス「K]・アフリカ旅行記(モザンビーク観光情報など)






きっと 

六日。マプトに飛行機で帰る前日。夕飯はレストランに行き、チキンカレー。

ビールも一本。健康に、乾杯。

血の中にはマラリアとか住血吸虫が入っている可能性も否めないけど。

 

食後、行きつけのパン屋に水を買いに行く。あの兄弟いないかなぁ。

『パン買うのに金くれよ』

偉そうに言ってきたのは、違う子どもだった。
  きれいな腕時計にピカピカの靴。

こっちが欲しいわ。

朝食用のパンと水の小さいペットボトルを買って、振り向くと窓の向こうに兄ちゃんの方が見える。目と、白い歯で挨拶をしてくれる。ポケットからゴソゴソとすでに汚れたけん玉を出して、カッチカッチと見せてくれる。

 

「糸、切れたのか?」

短くなっている。宿に戻って、新品の糸を持ってくる。

 

そのうち弟のヴィアージンもやってきて、同じようにポケットからゴソゴソと汚れたけん玉を取り出してカッチカッチと見せてくれる。

けん先にさすのも練習したようだ。兄ちゃんの方が、上手い。

弟のほうは、こっち見て見て、と言いたげに腕を引っ張りながら、

「ン〜!ン〜!」としきりに言ってくる。

二人で、成功した数を競いだし、おれは何回だ、こっちは今何回目成功した、だのと手をバババッと動かしている。

二 人のそんな会話シーンを見ていた、隣のガソリンスタンドにいたおじさん数人が、バカにしたように笑っている。あの兄弟、そんな事はもう慣れっこなんだろう か。全く気にする様子も無い。相変わらず、今何回目入った、とジェスチャーを飛ばしている。こちらにもアピールしてくる度、親指を立てて返事を返す。

二人はあまり成功率のよくない「とめけん」を止め、得意の「もしかめ」を始める。あの腕時計の少年やその友達が寄ってきて、後ろから眺めている。

大人たちも何人か集まりだす。もしかめは楽に30回はできている。

ダダッ!不意に兄ちゃんのほうが走り出す。店の中から旅行者らしき白人のお姉さんが出てくる瞬間だった。左手でお腹を押さえ、右手を彼女にさし出す。悲しそうな顔も忘れない。あの顔は営業用か。


 戻ってきて、お金をみせて弟に自慢する。また、楽しそうな顔で、けん玉。

上手になっているけど、まだまだギコチナイ。

コツや、新しい技を教えて、一時間を共に過ごす。

 

帰り際、腕時計の少年が、

「こいつら、あんたから金もらうのを待っているんだよ」 

と言った。

「違うよ」

私が答える。「バーカ」とでも付けたかったけど

 ――そうなのか?あの兄弟はおれからお金を貰うためにこの数日間練習して、見せてくれたのか――

 一瞬そう思うと声に出なかった。

違うよ。ただ、けん玉がおもしろいからだ。きっと――

 


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