ドイス「K]・アフリカ旅行記(モザンビーク観光情報など)
ちゃお
五日。リシンガに戻ってきた。バスの中でバカ野郎達に付き合うと疲れる。
二時間半もあれば十分着くのに、五時間かけて戻って来た。
――運転手のおっさん、自分の買い物は休みの日にやってくれ。節約しろ。
――二十六人も乗せるな。ハイエースは元々九人乗りだ。
――イスは修理しろ。鉄がむき出しじゃ痛いだろうが。傾きも直せ。
――乗客@、金を持ってからバスに乗れ。途中で取りに帰るな。
――乗客A、貴重品は屋根に乗せるな。金を出すのにバスを止めるな。
――乗客B、外に出たらすぐに戻って来い。バスが出るのはお前が悪い。
――乗客C、鶏を乗せるな。せめてイスの下におとなしく入れてくれ。
――乗客D、魚を箱で買うな。臭いだろうが。
――乗客E、乗り逃げするな。運転手が怒って運転が荒くなるだろうが。
――後のおっさん、でかい声で騒ぐな。皆、窮屈なんだ。
――隣のおっさん、暑いなら厚着するな。汗だくで密着してくるな。
――ドア、はずれるな。
乗客の会話は大抵ニャンジャ語。
たまにポル語になった時のみ理解できる。
一人降りる度、屋根の荷物を出して料金でもめて、最低のシャパ。
でもま、皆、気はいいんだ。
シャパは、メタングーラを出た後シュアンガに行き、メタングーラに戻って、リシンガへと進む。乗客を獲得するためだ。
その前日までそこにいたのに、シュアンガの村を窓越しにみるとすでに懐かしいような気分になる。
市場に着いた時、けん玉を一緒にした子どもらが四、五人寄ってきて
「ケンダ〜マ」
と声をかけてきてくれる。
「もう帰るの?」
「帰るわ〜・・・あ、ちょっと待って。」
座席の下に置いたボロボロの袋から、最後の一本のけん玉を出す。
「毎日練習しろよ」
「うん、ありがと」
一番けん玉を欲しがっていて、でもあんまりしつこくは言ってこなかった彼。
顔のほりがちょっと深くて、眉間のシワがいつも取れな少年だ。
リシンガでもう一回けん玉しようと思って、とって置いたラストけん玉だけど、反射的に渡してしまった。
宿の側を通ったとき、別の子どもらがこれまた四、五人。
「ケンダマ〜」
アクセントは「マ」にある。
小さな村に、小さなけん玉仲間がたくさんできた。
シャパは行く。子どもも、私も手を振りながら。
「ケンダマ〜」 メタングーラに再び戻って来たときも、同じアクセントで声が飛んできた。宿で働いていた子ども。買出しのお手伝いだ。
「帰るの?」
「おう。」
「今度はいつ来るの」
「ん〜〜、わからん。でもまた来るよ」
適当に答えただけなにに、ニコッと笑ってくれた。
「ちゃお」
「ちゃお」
けん玉、大切にして練習もして欲しいな。いつかまた、会いたいなぁ。
ケンダマ、なんて声かけられるの、きっと世界中で一人だけだ。
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