青年海外協力隊 (モザンビーク 理数科教師)
短期隊員との活動記録 『びりびり日記』 その27
真っ赤な太陽が沈む光景を見届け、学校を後にした。
帰り道、学校の近所にすむマビリビリの校長先生の家に行って挨拶をする。
この校長も、酒のせいでもうイッチャッてます。
半分何を言っているのかわかんない。ふらふらだし。言う事といえば、
「ビールのめ〜」
って言って、瓶ビールを差し出してくれた。
この家、水のタンクを10本くらい積んで、近所の子ども達もどんどん乗り込んで、意味不明だけど自転車まで積んで、荷台は満員御礼。村では塩分を含んだ水しかでないらしく、この校長先生の家のそばから運ぶのが普通らしい。こうして車があるときに、とにかく色んなものを運ぶのだ。ギューギューの荷台では変な体勢で耐えつつ、ビールをこぼしながら飲んで、あの道を引き返していく。立ち乗りでビール飲むものじゃないね。
小林くんがビールをブハッと吐き出し、頭が泡だらけになる荷台。
いいねぇ〜、この絵。アフリカの夕暮れ。車の荷台でビールかけ。
仕事とは言え、こうして日本人が何人も田舎の学校に来てセミナーを開く。
こんな大イベント、無いよ。そりゃ誰だって飲むよな〜ビール。
かなり楽しいよね。こっちだって面白い。日本じゃないでしょ、荷台でビール飲んで凸凹道を走るなんて。
村によって、マビリビリの教育長の家に行く。だって、うちの校長がまだここで飲んでいるんだもん。まだ教育長には会ったことがない。
出てきた教育長は、デカイ。でもフラフラやん。
その後、うちの校長も家から出てきた。階段をフラフラしながら、壁に手をついてヘロヘロで出てきたよ・・・朝から今までずっと飲んでいたようだ。
大丈夫かな、校長が運転するんだよね?帰り道は。。。
「おう、ご苦労」
「仕事はどうだった?上手くいったか?」
とエラそうに聞いてくる校長も、考えようによってはカワイイじゃないか。
運転を校長に代わって(帰りの車はマビリビリの教育長が出してくれるという話はありえるはずもなく、荷台に乗り込む)、出発。
荷台には日本人3人とリカちゃん。リカちゃんは乗った瞬間に荷台に寝転がって、毛布を体にまとって、寝る。
この仕事してきたおれらを差し置いて、場所を占領して真っ先に寝れる感覚がエライよね。すごいわ。
「気を使う」という表現がこの国にはないのです。
あのフラフラの校長の運転の荷台に命を預けるのは正直不安もあるんだけど、他に選択肢がないんだから、仕方ない。ま、飲酒運転は当たり前のモザンビークで生まれ育った校長なんだから大丈夫だろう、一応は自分のリミットは知っているんだろうとあの校長を信じるしかない。
20分走って、携帯を忘れたとか騒ぎ出すアホ校長。
引き返し、再出発。
暗闇。暗闇よりも暗い黒人が道を歩くのは自分の目には確認できない。
でも校長は飛ばす。行きよりも早いスピードで、真っ暗な砂利道を突き進む。
早く帰りたいのはわかるけど、ちゃんと送り届けてね。
家に帰るまでが遠足・・。
揺れる荷台から空を眺める。
南十字星が見える。
天の川の白さ。ミルキーウェイと呼ぶにふさわしい白い星の数々を見ながら、車は走る。
ホコリがすごい。砂ボコリ・・・どこから降ってくるのかしらないけど、本当に空から降ってくるかのように落ちてくる。目に入るし、服の中にも入ってくるし、喉は痛いし・・・・
暗闇の中、道端にポツリ、ポツリと火が見える。
住人の夕食だ。
地面に薪を焚いて、その上に鍋を置く。きっと長年使ってきたボコボコの鍋だろうな。藁葺きの家の前で、その火と鍋を囲んで家族が食事をしている。
そんな光景を横目に見ながら車はナマーシャに向けて走る。
田舎の時間、田舎の夜。
長い一日だった気がする。
暗い道、白い空を走りながら、短かった短期隊員との活動の最後の時間を噛みしめる。。。
