頚部と胴部がくびれることなく曲線的な輪郭を描くアンフォラで、口縁部や把手の形式によってA型・B型・C型の三つに分類される。A型は角張った口縁部を持ち、把手の断面が方形になっているものである。Cf.
Philadelphia MS3442 (Perseus
Project)。B型も同じく角張った口縁部を持つが、把手の断面が円形になっている。Cf.
Harvard 1972.42 (Perseus
Project)。C型は丸い口縁部を持ち、把手の断面が円形になっている。
これらの中ではB型が最も古く、既に六世紀前半に現れている。A型は六世紀半ば頃に現れ、C型はその後半になって出現し、黒像式よりも赤像式の例のほうが多い。三形式とも生産され続けたが、いずれも五世紀の半ば過ぎには姿を消してしまった。
装飾は黒像式の時代においては胴部にパネル状の画面を配し、脚部近くの光線文を除けばすべて黒で塗りつぶすのが一般的で、A型の把手には蔦の文様が描かれた。また初期の例を除けば、パネルの上部には多くの場合ロータス・パルメット文が描かれた。赤像式も六世紀の間は黒像式と同じような構成で装飾されたが、五世紀にはいるとパネルを廃止し、装飾も描かれるとしても地平面を表すメアンダー文などに限って、真黒な画面に一人か二人の人物像が浮かび上がるような構成が一般的になった。
大きさ:A型は例外もあるもののだいたい60cm前後で、B・C型よりも大きい。B型は40−50cmのものが多いが、20cm台のものも多い。C型はおおよそ40cm前後。
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