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「だんご3兄弟」大ブレークのナゾに迫る〜前編


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 先日の「テツオの部屋」第5回のページで、テツオ君も言及しておりましたが、今月3日に発売された「だんご3兄弟」は、チャートの1位を疾走中でありまして、このまま行くと、空前絶後と思われていた「およげ!たいやきくん」のレコード売上記録さえも抜き去ってしまいそうな勢いです。
 そこで、「およげ!たいやきくん」の大ブレーク時、早稲田のバカ学生として、一人歌謡曲研究会を主宰していた私が、60年代真っ只中の「帰ってきたヨッパライ」と「黒ネコのタンゴ」も含め、日本歌謡史におけるバカ売れソング、特に、子供から大人まで、幅広い世代の支持を集めて大ヒットに結びついた作品の歴史をひもときながら、今回の「だんご3兄弟」大ブレークのナゾに迫ってみたいと思います。
 30年後の2020年代に、私のような好事家が「90年代通信」などというホームページを作って、「90年代の謎・なぞ・ナゾ」などというコーナーが出来たら、きっと、「だんご3兄弟」の大ブレークは、“90年代七不思議”のひとつとして、30年後にはオジさん・オバさんになっている現在の小学生たちの頭を悩ませるに違いないでしょうから、その皆さんのためにも、大ブレークの真っ最中を生きているオジさんとして、私なりの見解を示させていただこうと思います。
 異論・反論も大歓迎でありますので、このオヤジの言っていることはおかしいとお考えの皆さんは、どんどん、ご意見をお寄せいただければと思います。
 ということで、よろしくお願いします。

 まず、これだけ世間を騒がせている「だんご3兄弟」ではあっても、巷の喧騒とは無縁の生活を送っていらっしゃる方も、特に、この「60年代通信」をご覧になっていらっしゃる皆様の中には、少なくないのではないかと思われますので、一応、事実関係の整理をさせていただきたいと思います。
 「だんご3兄弟」というのは、NHK教育テレビの長寿人気番組「おかあさんといっしょ」の今年(1999年)1月の今月の歌として放送されました。
 ウチの場合、次男が4歳で幼稚園の年少組として、モロに「おかあさんといっしょ」世代の子供なわけです。
 ところが、長女や長男が幼稚園の頃は、ほとんど毎日のように「おかあさんといっしょ」を見ていて、ぴっころ・ぽろり・じゃじゃまるの3人には大いに馴染んでいた我が家ではありますが、最近は、「おかあさんといっしょ」を見る頻度も、極端に低下してきておりまして、ほとんど、「おかあさんといっしょ」の今月の歌として放送されていた時には、「だんご3兄弟」を見ていなかったようであります。
 それは、なぜかと考えますと、次男の場合、筋金入りの電車好きでありまして、テレビを見るということが、そのまま、レンタルビデオ屋さんや図書館から借りてきた電車のビデオをみることと同義となっているため、「おかあさんといっしょ」にチャンネルを合わせてテレビを見ることは極めて少ないというのが、最大の理由だろうと思われます。
 それでも、次男は、スプーン姫や志ん輔師匠のブタくんとヘビくんのコントなどは知っておりますので、時々は見ているわけですが、どちらかというと、私の趣味もありまして、グッチ祐三が唯一生身の人間として出演している「ハッチポッチステーション」をビデオに録って、繰り返し、見ているというケースの方が多い、というのが実情でありました。
 にも、関わらず、ウチの次男は、1月の時点から、「だんご3兄弟」を知っていました。
 なぜ、知っていたのかといいますと、次男が通っている幼稚園のお友達の一人のシンペイ君が「だんご3兄弟」大好き園児でありまして、そのシンペイ君という子供の家に遊びに行くと、シンペイ君が「だんご3兄弟」を歌い続けているため、そのまま、ウチの次男も、「だんご3兄弟」病に感染してしまったというわけであります。
 恐らく、「だんご3兄弟」病の初期の蔓延のしかたというのは、基本的には、そんなパターンだったのだろうと思われるわけですが、「おかあさんといっしょ」の今月の歌としては、放送直後から、視聴者の反響が大きく、ポニーキャニオン
が今月の3日にシングルCDを発売するにいたりました。


 そのポニーキャニオンのサイトにある「だんご3兄弟」のプロモーション・ページには、次のように書かれております。

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 「この曲、良すぎてたおれました」
 「うちの子がスーパーに行く度に、だんごをおねだりする」
 「家内が“だんご”と叫んでいる」
 「一度聞いたら忘れられ ない、魔性の童謡」
 「この前子供をつれたお父さんがこの曲を歌ってた」
 「だんごが食べたくなる」
 「たいやきくん・ちびまるこちゃんの次はこれ だ!」
 「カラオケ付きなら最高」 ………。
 こんな声が後から後から聞こえてきています。
 そんな声にお答えして、ついにシングルリリースが決定しました!
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 基本的には、宣伝用の煽り文ですので、その分は、割り引いて考えなければなりませんが、要するに、そういうことだそうであります。
 さらに、シングルCDの内容として、次のように説明されています。

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 「NHKおかあさんといっしょ」の1月のうた としてOAされていた曲です。
 面白可笑しい歌詞、親しみやすいメロディー、そしてタンゴのリズム。
 子供だけではなく、大人にもおおうけ!
 それもそのはず、作詞をしたのは「ポリンキー」「ドンタコス」等最高にインパクトのあるCMを手掛けた佐藤雅彦さんなのです。
 とにかく、1回聞けばこの曲の良さがわかりますよ!
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 ということで、NECの「バザールでござーる」などでも知られる、あの佐藤雅彦さんのプロデュースによる作品だったわけでありまして、そうすると、やっぱり電通あたりが裏で仕掛けたのではないかなと勘ぐりたくなりますが、でも、ウチの次男なんかの実例を身近に見ていると、仮にそんな仕掛けがあったとしても、幼稚園児にとっては、そんなことは全く関係なく、子供たちは「だんご」が大好きなわけでありまして、だからこそ、そのナゾを探りたくなるのであります。

 この「60年代通信」をご覧いただいている皆様の中には、海外にお住まいの方もいらっしゃいますし、「『だんご3兄弟』なんて、まだ聞いたことないもんね」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方でも、今、この場で、すぐに、「だんご3兄弟」を聴く方法があります。
 実は、この「だんご3兄弟」の発売元であるポニーキャニオンのサイトには、ワンコーラスだけではありますが、ちゃんとCDの音データも、そのままアップされておりますので、「だんご3兄弟」のPRページにアクセスして、シングルCDのジャケット画像の下にあるCDマークをクリックすると、CDと同じ音質で、「だんご3兄弟」の歌を聴くことが出来ます。
 「黒ネコ」や「たいやき」なんかの頃には考えられなかったようなことが、インターネットの普及に象徴されるデジタル・ネットワークの時代には出来るようになっているわけでありまして、本当に便利なものだと、愚かなオヤジは感慨にふけってしまったりするのであります。
 ご関心のおありの方は、是非、一度、このポニーキャニオンのサイトにアクセスして、その便利さを享受しつつ、「だんご3兄弟」をお聴きになられてはいかがでしょうか。ワンコーラスだけでは、なかなか、この曲の持つ味わいと申しましょうか、面白さは分かりにくいかもしれませんが、それでも、その雰囲気だけは、掴んでいただけるのではないかと思います。
 さて、それでは、次に、今月3日にシングルCDが発売されてからの動きについても、簡単におさらいしてみたいと思います。
 ポニーキャニオンの親会社であるニッポン放送の川内通康社長は、発売からちょうど1週間後の、今月9日に開かれた定例会見で、「だんご3兄弟」の受注が累計で300万枚を超えたことを明らかにするとともに、「目標は500万枚」と語って、「たいやき」を上回るとの見方を示しました。
 発売から2週間足らずの15日現在、出荷枚数は305万枚に達しておりまして、予約分の50万枚と合わせると、既に、355万枚が売れる計算となり、これから、お花見シーズンに入ることなどを考えても、川内さんがおっしゃっていた500万枚という目標は、すでに、射程圏内に入っていると見てもいいようであります。
 さらに、今月17日には、「だんご3兄弟」のビデオが発売され、初日だけで30万本を出荷しており、こちらも、破格の売れ行きを示しているようです。
 また、今月中旬からは、「だんご3兄弟」のキャラクター商品化権の許諾も始まっておりまして、版権を管理しているNHKソフトウェアが、8倍以上の狭き門を突破した企業に、順次連絡を行っており、来月には、「だんご3兄弟」のキャラクター商品が出回ることになりますので、CDやビデオとキャラクター商品との相乗効果も予想され、まだまだ、この大ブレークは続きそうな気配であります。
 考えてみれば、「黒ネコ」や「たいやき」の頃には、さすがに、キャラクター商品が出回るような時代ではありませんでしたので、そういう意味合いからも、「だんご」の場合、これまでにない展開となる可能性をはらんでいることになりそうです。

 今月15日付けのオリジナル・コンフィデンスの週間ヒットチャートでは、「だんご3兄弟」が初登場でいきなり1位にランク・イン。
 オリコンによりますと、この週間チャートは3月6日までの集計でありまして、「だんご3兄弟」は、3日の発売から6日までの4日間で、103万枚の売上を記録しています。
 ちなみに、オリコン史上初の「初登場1位曲」が、あの「およげ!たいやきくん」でありました。
 『読売新聞』(3月13日付夕刊)の報道では、今年1月に発売されたグレイの最新曲「ウインター、アゲイン」が、予約するとポスターがもらえるという特典が付いていたこともあって、百五十万枚の売上げを記録し、「今年のナンバーワン・ソングが早くも決まった」という声も出ていたものの、「だんご3兄弟」の登場で、あっさり覆されることになったそうであります。
 そのグレイをはじめ、スピード、マックス、イエロー・モンキー、キンキキッズなど、カタカナどころか、アルファベット表記の歌手やグループが並ぶ中で、漢字とひらがなの名前は、「だんご3兄弟」を歌っている皆さんと、宇多田ヒカルだけであります。と書きましたが、宇多田ヒカルは名前がカタカナですので、漢字とひらがなということでは、「だんご」の皆さんだけが、漢字とひらがなの名前ということになります。
 また、曲の題名と歌手の名前のどちらもが漢字とひらがなだけというのは、「だんご3兄弟」だけでありまして、その意味合いでも、オヤジ的観点からいうと、まさに痛快事というべきでありましょう。
 右上の画像を見ても、お分かりかと思いますが、この「だんご」がなかったら、このチャートは、日本のものなのか、外国のものなのか、見当もつかないような状況になっているわけであります。
 ちなみに、60年代の曲であれば、チャートインしたような曲は殆ど知っている私も、このオリコンの15日付けチャートに入っている曲は、「だんご3兄弟」以外、ぜんぜん、知りません。
 ということで、「だんご3兄弟」にまつわる事実関係のおさらいだけで、とんでもなく長くなってしまいましたが、これも、いつものことですので、お許しをいただきたいと思います。
 さて、一応、段取りの関係上、このページで、「だんご3兄弟」とともに取り上げさせていただこうと思っている2曲、つまり、「黒ネコのタンゴ」と「およげ!たいやきくん」についても、簡単に、それぞれの曲をおさらいさせていただかなければなりません。
 まず、「黒ネコのタンゴ」ですが、発売は1969(昭和44)年10月5日でありまして、ジャッキー吉川とブルー・コメッツのファンだった私の場合、この「黒ネコのタンゴ」は「海辺の石段」と同時期のヒット曲としてインプットされております。
 歌っていたのは、1963(昭和38)年生まれで当時6歳だった皆川おさむクンでありますが、あのタドタドしい声で歌っていた皆川少年も、すでに、30代半ばにさしかかっているわけでありまして、この「60年代通信」をご覧いただいている皆様の年齢層でいうと、ちょうど、コアの部分の皆様と同じ世代ということになります。
 手元の資料が不十分のため、この曲の発売の経緯について詳しいことは分かりませんけれども、このレコード・ジャケット写真の画像では良く見えませんが、一応、「黒ネコのタンゴ」の場合、“大人のための子供の歌”と銘打ってあったそうでありますから、レコード会社の意向としては、初めから、単なる子供向けの歌ということではなく、いわゆる歌謡曲のジャンルで、ある程度のヒットも想定して、発売されたものと思われます。
 私の記憶では、この「黒ネコのタンゴ」も、当時のヒット曲としては良くあったケースですが、確か、有線放送から火が付いて、大ヒットにつながったパターンだったはずです。
 この曲は、作詞・作曲のクレジットが外国人の名前になっておりますので、初めから日本市場向けにプロデュースされたものではなく、レコード会社の企画として、もともと存在していた外国曲に日本語の詞をつけ、「黒ネコのタンゴ」
というタイトルにして子供に歌わせることになったのだろうと想像されます。

  ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

   ララララララ ララ
   君はかわいい ぼくの黒ネコ 赤いリボンが よくにあうよ
   だけど ときどき 爪を出して ごくの心を悩ませる
   黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ ぼくの恋人は黒いネコ
   黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ
   ネコの目のように 気まぐれよ
   ララララララ ララ
   (ニャーオ)
 
  ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 この「黒ネコのタンゴ」も、「初登場1位」という形でこそないものの、発売から4週目の10月27日付チャートに58位で初登場し、翌週の11月3日付チャートでは13位まで上昇、チャートインから3週目の11月10日付チャートで1位を獲得しています。オリコン史上、ベスト10圏外からトップに躍り出たのは、この「黒ネコのタンゴ」が初めてのことでした。
 この後、翌年の1970(昭和45)年2月9日付チャートまで、「黒ネコのタンゴ」は連続14週にわたり、トップの座を維持することになります。
1969(昭和44)年11月10日付オリコン週間チャート
1位 黒ネコのタンゴ 皆川おさむ
2位 人形の家 弘田三枝子
3位 愛の化石 浅丘ルリ子
4位 あなたの心に 中山千夏
5位 池袋の夜 青江三奈
6位 真夜中のギター 千賀かほる
7位 西暦2525年 セーガーとエバンス
8位 いいじゃないの幸せならば 佐良直美
9位 花と涙 森 進一
10位 悲しみは駆け足でやってくる アン真理子
 さて、この「黒ネコのタンゴ」がオリコンの週間チャートで初めて首位に立った1969(昭和44)年11月10日付のベスト10にはどんな曲が名前を連ねていたかといいますと、右の表のような状況でありました。
 この年のレコード大賞を受賞することになります佐良直美の「いいじゃないの幸せならば」が8位に入っているほか、7位には、“In the year twentey-five twentey-five”の歌い出しが印象的だったセーガーとエバンスの「西暦2525年」がランクインしておりまして、和製ポップスあり、フォーク歌謡あり、演歌あり、洋楽ありということで、そのバリエーションは極めて豊富なものがあります。
 ちなみに、この年、1969(昭和44)年の日本レコード大賞で童謡賞を受賞したのは、スリー・バブルスの「うまれたきょうだい11にん」でしたし、翌年の1970(昭和45)年の日本レコード大賞の童謡賞は玉川さきこの「ムーミンのテーマ」であり、「黒ネコのタンゴ」は、童謡賞の対象にはなっておりません。
 「黒ネコのタンゴ」のレコード売上は累計で約230万枚に達し、単年毎でみても、1969(昭和44)年の年間チャートで5位に食い込んだのに続き、1970(昭和45)年の年間チャートでは、堂々1位に輝きました。これほどのビッグ・ヒットは童謡賞の対象にはなりえなかったということだったかもしれませんが、やはり、いわゆるポピュラーソングとして一定の評価をうけていたと見るべきなのだろうと思います。


 …ということで、この後、「およげ!たいやきくん」と「帰って来たヨッパライ」を取り上げさせていただき、再び、「だんご3兄弟」に戻ってまとめに入るという構成になっているのですが、このページ作りには、結構、時間がかかっておりまして、ここまでで、22日(1999年3月22日)の半日以上を費やしてしまい、現在、まもなく深夜の12時になろうとしておりますけれども、まだ、「たいやき」の半分くらいしか来ておりません。
 このペースで行きますと、このページを最後まで完成させるには、ほとんど徹夜状態となりそうな感じでありまして、せっかく、戻りつつある体調を、また、一気に崩してしまうことにもなりかねませんので、とりあえず、今日のところは、ここまでにさせていただいて、この続きは、来週末に引き継がせていただきます。
 したがいまして、この連休でアップするつもりだった、「今日は何の日」の「月光仮面」の続編や、「お便りコーナー」や「60'sえれじい」などで予告させていただいた「60年代のおもちゃ・遊び」の「ゲーム盤」のページなども、来週末以降のアップとなりますので、悪しからず、ご了承ください。
 よろしくお願いいたします。

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