フクロウ目フクロウ科 大きさ 38cm 翼開長99cm 冬鳥 北海道〜九州 |
10月〜4月に冬鳥として飛来。干拓地や河川敷の葦原、農耕地などの、広い草原で生活。夜行性で、夕方ごろから、活動をはじめ、羽音を立てずに狩りをして、ネズミなどを捕らえて食べる。羽角が小さく目立たない(コミミ)のが特徴。昼間は、草原で休んでいるが、昼間でもよく狩りをすることもある。 |
ウォッチングのコツ・・・時期は冬。干拓地や大きな川の河原など、広い草原にいるので、そういうところで観察に挑戦しよう。基本的には夜行性だが、日中でもよく飛ぶ。特に夕方と早朝は観察しやすいだろう。狩場はけっこう限定されているようなので、飛んでいるところを見つけたら、じっとその周辺で粘る「定点観察」が基本だ。止まり木や草むらに止まると、けっこうじっくり観察させてくれる。風の強い日はあまり飛ばないという話を時おり聞くが、確かにそうかもしれない。夜のウォッチングも可能だが、じっくり見るのは難しい。飛ぶ範囲も昼より広がっているようだし(経験的に)、車のライトで飛び立ってしまうので、近づけない。めちゃくちゃ人気者なので、生息しているところは、バーダーがカメラを並べていたりするから、そういうところを見つけて観察をはじめてみよう。 ※コミミズク 渡良瀬05〜06年冬 @ 参照 |
平成17年1月29日 渡良瀬遊水地 16:00
のん気そうな顔にみえて、そこは猛禽。今日も空からネズミを探す。
猛禽たちの餌の中心はハタネズミだという。ハタネズミは夜行性だけど、昼間も活動するらしい。コミミズクたちはそこを狙う。
平成17年1月29日 渡良瀬遊水地 16:00
冬の渡良瀬遊水地はまさに猛禽天国。
その猛禽を養っているのがたくさんのネズミたちだ。時には目の前で狩られるネズミたちだが、人間の目にはなかなか留まらない。近いので、足繁く通っているこの遊水地だが、僕はハタネズミにすら会ったことはない。ハタネズミは大きさ10cm前後、日本固有種で、各地で数を減らしてきている貴重な生き物だ。
コミミズクにいっぱい来てもらうにはネズミが増えればいい。そしてネズミが増えるにはヨシ原が守られればいい、ということになる。
風の強い日はコミミは飛ばない、なんてよく聞くが、本当みたいだ。
はじめは飛ぶのが下手なんだと思っていた。でも、コミミを狙って一人で堤防にいると、実にいろんな音が聞こえてくるのに驚かされる。ヨシが風でこすりあう音、遠くから向かってくる車の音、そして、ヨシの間を移動するヨシキリなどの小鳥の立てる音・・・・。
なるほど風が強いとこれらの音が聞こえない。だから風が出るとコミミは飛ばないのではないだろうか。
コミミズクは目と耳が良いらしい。土手などを低空でゆっくり回りながら、目と耳でネズミを探す。猛禽だから目が良いのはわかる。でも、音でネズミを(しかも飛びながら)探すなんて、本当にできるのだろうか。
コミミズクは狩りの合間にお気に入りのお立ち台に良くとまる。写真はよくとまるお立ち台での1枚。観察や撮影中は大きな動きは厳禁。もう少し近づこう、なんて思ったとたん、気配を感じて飛んでいってしまう。
← コミミ、アーップ!
コミミズクのコミミは小耳。羽角(うかく)と呼ばれる羽が耳の辺り(実際には耳ではない)に立つのだが、その羽が他のミミズク類に比べて小さいのだ。
でも、普段はその小さいお耳をなかなか見せてくれない。
もうひとつの特徴は目。虹彩(こうさい)が黄色いのがコミミズク。トラフズクやオオコノハズクは目がオレンジ色である。
(ちなみに写真はけっこうトリミングしています)
←今年もヨシ刈りが行われた
渡良瀬遊水地のヨシは、茎が太くて3mを大きく超える。その上質なヨシを編み上げて作られるヨシズは、高品質で有名だ。
かつては渡良瀬遊水地の周辺に300軒以上のヨシズ業者があった。春のヨシ焼きはヨシ原の樹林化を防ぐなど、、ヨシを守るために欠かせないものだそうだ。
ところで、今年は例年に比べ渡良瀬へのコミミズクの飛来が減ったそうだ。全国的に厳冬だったこと、地球温暖化などの影響などもあるのだろうが、バーダーたちのうわさによると、毎年行われている堤防の草刈のやり方にちょっとした変更があったことが大きいらしい。
変更とは、毎年刈った後の草をきちんと始末していたのに、今年は財政的な問題で草をその場に放置したままにしているから、猛禽たちがネズミを探しにくくなっているというのだ。
地球規模の問題もさることながら、地方の財政問題が自然環境に与える影響はいつもダイレクトだ。でも・・・・・・ということは、今年はいっぱいネズミが増えているに違いない。そのうちたくさんのコミミが戻ってくるはずだ。
公開:平成18年3月21日