陶器にはどうやって描いた?
ろくろで作り終わった陶器は表面をヘラのような道具できれいに磨いた後、まだ完全に乾いてしまわないうちに描かれました。まず画家は先のやや尖った棒あるいは炭でデッサンをします。こうしたデッサンの跡は陶器が完成した後も残っていることがあり、画家たちが入念な準備の後に描き出したことが分かります。
まず黒像式と呼ばれる技法について説明しましょう。はじめに動物や人物像の輪郭を描き、その内側を黒く塗りつぶします。その後で顔や衣服を先の鋭く尖った棒を用い、刻線によって表現するのです。
一方の赤像式と呼ばれる技法は、これと正反対の手法です。像の輪郭を描くところまでは同じですが、今度は内側でなく外側を塗りつぶします。そして内側を筆によって描いていくのです。この赤像式の発明によって黒像式の刻線では困難だった滑らかな曲線や太さの違う線、あるいは濃さの違う線を描くことができるようになりました。