ダナイス、複ダナイデス / D A N A I S / .

リュビア王ダナオスの五十人の娘たち。アラビアを支配していた叔父アイギュプトスに攻められて父とともにアルゴスに逃れた。その後を追ってアイギュプトスと、彼女たちと婚約していた五十人の息子たちがやってきたが、ダナオスは彼らに従うふりをして娘たちにそれぞれの相手を殺すよう命じておいた。長女ヒュペルムネストラを除く全員はこれを実行し、ダナオスは長女を捕らえて罰しようとしたが裁判で無罪が告げられた。その後については諸説あるが、彼と長女を除くほかの娘たちは長女の夫リュンケウスに殺され、娘たちは冥界で底の抜けた壺で泉の水を汲み続けるという罰を受けたとされる。

常に登場する場面

  • アルゴスに上陸するダナオスと娘たち
ダナエ / D A N A E / ΔΑΝΑΗ

アルゴス王アクリシオスとエウリュディケとの娘。アクリシオスはダナエの息子によって殺されるという予言を聞くと娘を青銅の塔に監禁してしまった。しかしダナエを見初めたゼウスは黄金の雨の姿となってダナエと交わり、ペルセウスが生まれた。アクリシオスはこの事実を知ると娘と孫を箱に入れて海へ流した。二人はセリポス島に漂着すると島の王の兄弟ディクテュスに救われ、彼女たちを養ってくれた。ポリュデクテス王はダナエを妻にしようとしたが成長したペルセウスが邪魔だったので不可能だと思われたメドゥサ退治に彼を送った。その間に王は彼女を捕らえて監禁していたが、戻ってきたペルセウスは王をメドゥサの首で石にしてしまうと、ディクテュスを王に据えてダナエとともにアルゴスに戻った。

常に登場する場面

  • ダナエと交わるゼウス
  • 箱に閉じこめられるダナエとペルセウス
ダナオス / D A N A O S / ΔΑΝΑΟΣ

ベロスの息子でリュビア王。アラビアを支配していた兄弟アイギュプトスに攻められて五十人の娘たちとともにアルゴスに逃れた。その後を追ってアイギュプトスと、彼の娘たちと婚約していた五十人の息子たちがやってきたが、ダナオスは彼らに従うふりをして娘たちにそれぞれの相手を殺すよう命じておいた。長女ヒュペルムネストラを除く全員はこれを実行し、ダナオスは長女を捕らえて罰しようとしたが裁判で無罪が告げられた。その後については諸説あるが、彼とほかの娘たちは長女の夫リュンケウスに殺されたとされている。

常に登場する場面

  • アルゴスに上陸するダナオスと娘たち
タナトス / T H A N A T O S / .

ニュクスの息子で死の神。眠りの神ヒュプノスの兄弟で、二人とも背中に翼を持つが、タナトスのほうが年長で髭の生えた姿で描かれることが多い。アドメトスの身代わりとしてアルケスティスが死ぬ運命となったとき、彼は彼女を迎えにいったが、アドメトスの友であったヘラクレスに妨げられた。トロイア戦争ではヒュプノスとともにサルペドンメムノンなどの英雄の遺体を戦場から運び出した。

常に登場する場面

  • サルペドンの遺体運び

まれに登場する場面

  • メムノンの遺体運び
タミュリス / T H A M Y R I S / .

フィラムモンとアルギオペとの息子でトラキアの楽士。ムサたちに音楽競技を挑んだが敗れ、盲目にされたのち音楽の才能まで奪われた。

常に登場する場面

  • 盲目にされるタミュリス
タルテュビオス / T A L T H Y B I O S / .

アガメムノンに使える伝令使。アガメムノンに命じられてエウリュバテスとともにアキレウスのもとからブリセイスを連れ去った。

しばしば登場する場面

  • ブリセイスを連れ去るアガメムノン
タロス / T A L O S / .

クレタ島に住む青銅の人間で、ゼウスからエウロペに送られた巨人である。頭から足まで一本の静脈があってその底は青銅の釘で栓がしてあった。彼はクレタ島の番人として島の周囲を一日三回巡回し、侵入者を追い払うという役目を持っていた。 アルゴナウタイの一行が帰国途中に立ち寄ったとき岩を投げつけて追い払おうとしたが、魔女メデイアが彼を眠らせると足の釘を抜いてしまったので死んでしまった。

常に登場する場面

  • タロスを殺すメデイア
デイアネイラ / D E I A N E I R A / .

カリュドンの王オイネウスとアルタイアとの娘でヘラクレスの妻。彼女の兄弟メレアグロスからその美しさを聞かされたヘラクレスは彼女を妻にしようとしたが、同じく彼女に求婚していたアケロオス河神とレスリングをして勝者がその権利を得ることになった。これに勝ったヘラクレスは彼女を妻とし、トラキアへ向かう途中エウエノス川を渡るときにケンタウロス族のネッソスが彼女を渡してやると申し出た。しかしネッソスは彼女を誘拐しようとしたのでヘラクレスヒュドラの毒を塗った矢によって殺されてしまった。その死に際ネッソスは自分の血を服に浸して彼に着せれば失われた愛も取り戻せるだろうと言って息絶えた。彼女はその通りに血を瓶に入れてしまっておいた。

 後にヘラクレスがイオレという女性を愛人にしていることを知った彼女はネッソスの言葉を信用してこれを実行した。これを身につけたヘラクレスヒュドラの毒によって全身が燃え上がり、死んでしまった。デイアネイラは絶望のあまり自殺してしまった。

常に登場する場面

  • ヒュロスの誕生
  • デイアネイラからネッソスの血染めの衣服を受け取るヘラクレス

しばしば登場する場面

  • ヘラクレスとアケロオスの格闘
  • ネッソスと戦うヘラクレス
ディオニュソス / D I O N Y S O S / .

ゼウスとテーバイ王女セメレとの息子で酒と演劇の神。アトリビュートはテュルソスと呼ばれる杖とカンタロス、ぶどうや蔦などで、聖獣は豹。髭の生えた青年として描かれ、多くの場合サテュロスマイナスたちを伴う。ゼウスの子供を身ごもったセメレに嫉妬したヘラは彼女をだましてゼウスの雷に打たれて死ぬように仕向けた。ゼウスはお腹の中からディオニュソスを取り出すと自分の腿の中に入れて育て、数カ月後に取り出した。ゼウスは彼の養育のためにヘルメスに命じてニンフシレノスのもとに預けさせた。

 テーバイ王ペンテウスは彼の信仰を認めなかったので、母や叔母などを含む彼の信者マイナスたちによって引き裂かれて死んでしまった。エレトリアの海賊たちは神と知らずに彼を捕らえて奴隷として売り払おうと考えたが、これに反対していた一人を除いてイルカに変えられてしまった。また彼はテセウスによってナクソス島に置き去りにされたクレタ王女アリアドネを見初めて妻とした。

 

常に登場する場面

  • ディオニュソスの誕生
  • シレノスに預けられるディオニュソス
  • ヘファイストスの帰還
  • ディオニュソスとイルカになった海賊

しばしば登場する場面

  • ギガントマキア
  • エレウシスの秘儀に入信するヘラクレス
  • イリスを襲うサテュロス
  • アリアドネを見捨てるテセウス
  • ペレウスとテティスの結婚

まれに登場する場面

  • アテナの誕生
  • ケイロンに預けられるアキレウス
  • パリスの審判
ディオメデス / D I O M E D E S / .

テュデウスとデイピュレとの息子でアルゴス王。トロイア戦争ではオデュッセウスとともに活躍した。

 父テュデウスの意志を引き継いで二度目のテーバイ攻めに参加し、勝利を導いた。トロイア戦争ではアイネイアスと戦って彼を傷つけ、彼を守ろうとやってきたその母アフロディテまで傷つけた。またグラウコスと戦ったときは互いの先祖が親しい関係にあったことを知ると贈り物を交換して別れた。さらにオデュッセウスとともにトロイア陣営に潜入して敵の偵察隊ドロンを殺し、トラキア王レソスを暗殺した。そして再びオデュッセウスとともに潜入してトロイアの守り神となっていたアテナ神像パラディオンを奪い、木馬の計によってトロイアを陥落させた。

 ほかの部将と違って彼は無事に故国へ戻ることができたが、王座を追われてイタリアに逃れた。

常に登場する場面

  • ディオメデスとアイネイアスの戦い
  • ドロンの待ち伏せ

しばしば登場する場面

  • パトロクロスの葬礼競技
  • パラディオンを盗み出すオデュッセウスとディオメデス

まれに登場する場面

  • ポリュクセナの犠牲
ティテュオス / T I T Y O S / .

ガイアの息子でエウボイアに住む巨人。ヘラにそそのかされてデルフォイへ向かう途中通りかかったアポロンの母レトを犯そうとした。しかしアポロンアルテミスの矢を受け、さらにゼウスの雷に打たれて死んだ。

常に登場する場面

  • ティテュオスを退治するアポロンとアルテミス
ティトノス / T I T H O N O S / .

トロイア王ラオメドンとニンフのストリュモンとの息子。曙の女神エオスに一目惚れされた彼は誘拐されて彼女の宮殿でともに過ごすことになり、メムノンとエマティオンの二人の息子が生まれた。エオスゼウスに彼を不死にするよう頼んだが、不老を願わなかったので徐々に老いていった彼はついに小さな蝉になってしまった。

常に登場する場面

  • ティトノスを誘拐するエオス
テウクロス / T E U C E R / .

サラミス王テラモンヘシオネとの息子でアイアスの母違いの兄弟。弓の名手としてトロイア戦争に参加し、いくつかの活躍をした。帰国後国を追われた彼はキュプロスにサラミス市を建国した。

しばしば登場する場面

  • イフィゲネイアの犠牲
テクメッサ / T E K M E S S A / .

フリュギアの王テレウタスの娘。父が戦いに敗れて彼女はアイアスの妾として捕らえられた。しかしアイアスアキレウスの鎧をめぐる争いでオデュッセウスに敗れ、取り乱した自分を恥じて自害した。

まれに登場する場面

  • アイアスの自害
テセウス / T H E S E U S / ΘΗΣΕΥΣ

アテナイ王アイゲウスとトロイゼン王女アイトラとの息子だが、ポセイドンの息子とされることもある。髭のない若々しい青年として描かれ、細い棍棒を武器とし、しばしば旅人の被るつばの広い帽子を被る。デルフォイからの帰り道にトロイゼンに立ち寄ったアイゲウスアイトラと結ばれると、自分の剣を巨大な岩の下に隠して、もし男の子が産まれてその岩を持ち上げられるほどに成長したら自分のところに連れてくるように言い残して去った。 青年に成長したテセウスは母から自分がアテナイ王の息子であることを知らされると岩を軽々と持ち上げて剣を取り出し、アテナイへ向かった。その道中で多くの海賊を退治した。エピダウロス付近では棍棒を武器に旅人を殴り殺していたペリフェテスをその棍棒で叩き殺し、棍棒はそのまま彼の武器となった。コリントス地峡では旅人を曲げた二本の松の木に縛り付けて、木をまっすぐに戻して体を引き裂いて殺していたシニスをこれと全く同じやり方で殺した。クロムミュオンではパイアと呼ばれる巨大な雌豚あるいは女盗賊を退治した。メガラでは旅人に足を洗わせて相手が油断している隙に崖から突き落としていたスキロンを逆に蹴落とした。 エレウシスではケルキュオン王が旅人と格闘しては殺していたが、テセウスはこれを倒すとエレウシスの王位を手に入れた。エリネオスでは旅人をベッドに寝かせ、その長さよりも背が低いと無理矢理体を引き延ばして殺し、背が高いとはみ出た部分を切り落として殺していたプロクルステスの首を切り落として殺した。 アテナイに到着するとアイゲウスと自分の身分を明かさないまま面会したが、彼の妻となっていた魔女メデイアはこの青年が誰かを知ると彼を恐れて殺そうとし、アイゲウスにこの男は国を奪いにきたものだと進言して殺させようとした。アイゲウスは毒の入った酒杯を彼に渡そうとしたが、彼が肉を切るときに用いた剣を認めると酒杯をたたき落とし、たくらみが発覚したメデイアは逃げていった。 次いで彼はヘラクレスがクレタから連れてきて、当時マラトンを荒らしていた雄牛を生け捕りにしてアポロンに捧げた。そして彼がアテナイにくる以前に、王子アンドロゲオスがこの雄牛を退治しようとアテナイにやってきて逆に殺されてしまったことを恨んだクレタ王ミノスがアテナイに攻め込んで勝利し、その代償として毎年七人ずつの若い男女を迷宮に住む怪物ミノタウロスの犠牲として送るよう命じられていることを知った。テセウスは自ら、あるいはくじ引きによってその一員に加わってクレタに向かうことになった。アイゲウスはもし生きて帰ってこられたら船の帆の色を変えるよう命じておいた。 クレタへ向かう船の中で彼がポセイドンの息子であるという噂を疑ったミノスが海へ金の指輪を投げ入れると、この噂を立証するためにテセウスは海に飛び込み、その海底に存在したポセイドンの宮殿を訪れると、その妻アムフィトリテに歓迎されて金の指輪を返されるとともに黄金の冠を与えられて帰ってきた。クレタに着いたテセウスを見た王女アリアドネは彼に恋してしまい、彼を救うために迷宮の設計者ダイダロスから無事迷宮から抜け出す方法を教わって彼に伝えた。テセウスは教わったとおりに糸巻きを手に迷宮を進み、ミノタウロスを倒すとほどいた糸をたどって脱出に成功し、仲間を救出してアリアドネを連れてクレタから出航した。 アテナイに向かう途中立ち寄ったナクソス島で、アリアドネディオニュソスと結婚する運命にあることを知ったテセウスは彼女を置き去りにして出発した。ようやくアテナイにたどり着いた彼らだが、帆の色を変えるのを忘れていたために息子が死んだと思って絶望したアイゲウスはアクロポリスの崖から飛び降りて死んでしまった。 王位を継承した彼は黒海沿岸に住むアマゾン族遠征に乗り出した。そして女王の姉妹アンティオペを捕らえて連れ帰ったが、これを追ってアテナイまでやってきたアマゾン族と戦いになった。しかしテセウスが勝利し、アンティオペとの間には息子ヒッポリュトスが生まれた。また彼の噂を聞いてマラトンまでやってきたテッサリアのラピタイ族の王ペイリトオスは彼を試そうと牛を盗み出したが、テセウスは戦うどころか彼が気に入って二人は親友になった。ペイリトオスの結婚式に招かれた彼は、同じく列席していたケンタウロス族と戦いになったラピタイ族を助けて勝利を導いた。 テセウスはミノスの娘ファイドラを妻として迎えてアカマスデモフォンという息子を得ていたが、ファイドラは義理の息子ヒッポリュトスに恋してしまい、彼女の乳母がその思いを彼に伝えたが拒絶されたため、テセウスにヒッポリュトスから誘惑されたと言い残して自殺した。テセウスは息子を呪って追放し、ヒッポリュトスはトロイゼンに向かう途中怪物に襲われて死んでしまった。 妻を失った彼はペイリトオスとともに新しい妻を捜すことになった。テセウスはスパルタの王女ヘレネを誘拐して妻とし、母アイトラに預けてペイリトオスの妻として冥界の女王ペルセフォネを誘拐するために出発した。その間にヘレネの兄弟カストルポリュデウケスが彼女を奪回し、乳母としてアイトラを連れて帰った。テセウスたちはハデスにだまされて記憶を失ってしまう忘却の椅子に座らされて冥界に閉じこめられてしまった。その後ケルベロスを生け捕りにきたヘラクレスにテセウスは助けられたが、ペイリトオスは救出できなかった。地上に戻ってみると母は誘拐され、王位は政敵メネステウスに奪われていることを知った。テセウスはスキュロス島に逃れたが、リュコメデス王に崖から突き落とされて死んでしまった。

常に登場する場面

  • アイトラを追うテセウス
  • 剣の取り出し
  • シニスを退治するテセウス
  • クロムミュオンの猪を退治するテセウス
  • スキロンを退治するテセウス
  • プロクルステスを退治するテセウス
  • ケルキュオンを退治するテセウス
  • マラトンの牡牛を退治するテセウス
  • テセウスを認知するアイゲウス
  • 海の宮殿を訪れるテセウス
  • ミノタウロスを退治するテセウス
  • 勝利のダンスを踊るテセウスとアテナイの若者たち
  • アリアドネを見捨てるテセウス
  • ラピタイ族とケンタウロスの戦い
  • アンティオペを連れ去るテセウス
  • ヘレネを誘拐するテセウス
  • 冥界に閉じこめられたテセウス
テティス / T H E T I S / .

海のニンフネレイスたちの一人で海の女神。ゼウスポセイドンが彼女に恋したが、彼女から産まれる子供は父を凌駕するという予言を知ったゼウスは神々の信頼の厚い英雄ペレウスに彼女を与えることにした。しかしテティスはこれに応じず、結婚するためにはペレウスは彼女を力ずくで捕らえなくてはならなかった。彼女は父と同じく変身の能力があり、ライオンや蛇、さらには火や水などに変身して逃れようとしたがペレウスはあきらめず、ついにテティスも同意した。二人の結婚は盛大に行われ、争いの女神エリスを除くすべての神が招待された。二人の間にはアキレウスが生まれ、彼女は息子を不死にしようとしたが、彼女の不注意によって、あるいは夫の中断によって踵だけは不死にならなかった。 アキレウスが戦いに参加すれば必ず死ぬ運命にあることを知った彼女はトロイア戦争の兆しが見えると彼を女装させてスキュロス島の王のもとに隠した。しかし勝利には彼が不可欠であることを知ってやってきたオデュッセウスに見破られてしまった。トロイア戦争で彼の親友パトロクロスが殺されると息子を慰め、奪われた鎧の代わりに新しい鎧をヘファイストスに頼んで造ってもらい、アキレウスに届けた。いくつかの戦いで彼女はアキレウスを支援したが、ついにパリスの矢によって息子は死んでしまった。

常に登場する場面

  • ペレウスとテティスの格闘
  • ペレウスとテティスの結婚
  • アキレウスの鎧を造るヘファイストス
  • テティスから鎧を受け取るアキレウ
  • スしばしば登場する場面
  • ケイロンに預けられるアキレウス
  • アキレウスとヘクトルの戦い
  • メムノンとアキレウスのプシュコスタシア
  • メムノンとアキレウスの戦い

まれに登場する場面

  • トロイロスの待ち伏せ
テテュス / T H E T Y S / .

ガイアとウラノスとの娘で、夫オケアノスとの間に河や湖などの神である数多くの子供たちをもうけた。

まれに登場する場面

  • ペレウスとテティスの結婚
テミス / T H E M I S / .

ウラノスとガイアとの娘で掟の女神。イアペトスとの間にプロメテウスが生まれた後、ゼウスと結ばれてホラたちとモイラたちを生んだ。地上に人間が増えすぎたためこれを減らそうと考えたゼウスに対して、トロイアで戦争を起こすことで多くの死者を出せばよいと提案し、これが採用された。

常に登場する場面

  • トロイア戦争を計画するテミスとゼウス

まれに登場する場面

  • ペレウスとテティスの結婚
デメテル / D E M E T E R / ΔΗΜΗΤΗΡ

クロノスレアの娘でゼウスの姉妹。本来は大地の女神であるが穀物や生産の神となった。アトリビュートは麦の穂や冠あるいは笏、ペルセフォネを探したときに使った松明などである。

 ゼウスとの間にペルセフォネを生んだが、ゼウスは密かに娘を兄弟で冥界の神ハデスの妻として与えようとした。ハデスは彼女を誘拐すると冥界へ連れていった。デメテルは松明を片手に何日も探し回り、ヘカテによって娘が誘拐されたことを知らされ、太陽神ヘリオスに一部始終を教わった。各地を探し回ってエレウシスにたどり着いた彼女はケレオス王の后メタネイラに親切にされ、王に神殿を建てて彼女を奉るエレウシスの秘儀を行うよう命じた。

 その後も一年間娘を捜し続け、その間大地は全く不毛となってしまい、ついにゼウスは娘を返すことにした。しかしペルセフォネハデスにもらったザクロの実を一口食べてしまったため、一年の三分の一をハデスとともに暮らすことになった。

 娘が戻るとデメテルはケレオスの息子あるいはガイアの息子ともされるトリプトレモスに穀物の栽培方法を教え、竜の引く戦車に乗せてその技術を全世界に伝えるよう旅立たせた。

常に登場する場面

  • 地上に戻ったペルセフォネ
  • 麦の栽培を伝えに旅立つトリプトレモス
  • エレウシスの秘儀に入信するヘラクレス

しばしば登場する場面

  • ギガントマキア
  • オリムポス入りするヘラクレス
  • ペレウスとテティスの結婚

まれに登場する場面

  • アテナの誕生
デモフォン / D E M O P H O N / .

アテナイ王テセウスとファイドラの息子で、テセウスメネステウスに王座を追われると兄弟のアカマスとともにエウボイアのアバス族の王エレフェノルのもとに逃れた。王とともにトロイア遠征に参加し、トロイアが陥落すると祖母アイトラを救出した。

常に登場する場面

  • ニンフに預けられるアカマスとデモフォン
  • アイトラの救出
テュンダレオス / T H Y N D A R E O S / .

スパルタ王オイバロスとバテイアとの息子。レダと結婚したが、妻は白鳥に変身したゼウスとも交わり、産まれた子供のうち娘のクリュタイムネストラのみが彼の子供で、ヘレネと双子の兄弟カストルポリュデウケスゼウスの息子とされた。このうちヘレネレダが産んだ卵の中から産まれた。 幾多の英雄が絶世の美女ヘレネに求婚したとき、イタケの王オデュッセウスは彼に対し、結婚相手はヘレネに選ばせ、それ以外のものたちにはその結婚から生じる危機から二人を守ることを誓わせるよう進言した。彼はこれを了承すると、ヘレネメネラオスを選んだ。彼はメネラオスに王位を譲った。

しばしば登場する場面

  • ヘレネの誕生
  • ディオスクウロイの帰還

まれに登場する場面

  • ヘレネを誘拐するテセウス
テラモン / T E L A M O N / .

アイギナ王アイアコスとエンデイスとの息子。国を追われてサラミス島の王となった。アルゴナウタイやカリュドンの猪狩りに参加し、ヘラクレスを助けてトロイア攻略やアマゾン族との戦いに加わった。正妻エリボイアとの間にアイアスを、妾ヘシオネとの間にテウクロスをもうけた。

しばしば登場する場面

  • ヘラクレスとアマゾンの戦い
テレフォス / T E L E P H O S / .

ヘラクレスとテゲア王女アウゲとの息子。彼はミュシア地方のテウトラニアの王となっていたが、トロイアへ向かうギリシア軍が誤って彼のもとに上陸し、アキレウスに足を傷つけられた。その後ギリシア軍はいったん帰国したが、傷がいっこうに癒えないために神託を伺うと、その傷は傷を与えたものによってのみ癒されるだろうと答えた。そのため彼は身をやつしてミュケナイを訪れ、アガメムノン王の一人息子オレステスを人質に取り、アキレウスを呼んで傷を癒すよう求めた。アキレウスは彼を刺した槍の先の錆を削って傷口に塗ると傷は癒え、その返礼としてテレフォスは彼らをトロイアまで案内した。

常に登場する場面

  • オレステスを人質に取るテレフォス
テレマコス / T E L E M A C H O S / .

イタケ王オデュッセウスペネロペとの息子。父がトロイア戦争に行っている間に母ペネロペに多くの求婚者が集まり、その宮殿に寝泊まりして横暴な振る舞いをしていた。トロイア戦争が終結しても父が帰らないので、アテナの助けを得て彼を殺そうとしていた求婚者たちの目を逃れて島を脱出し、ピュロスのネストル王、スパルタのメネラオス王を訪れて父の消息を訪ねたが詳しいことはわからなかった。アテナに促されて帰国すると、既にオデュッセウスが乞食に姿を変えて戻ってきていた。再会した二人は協力して求婚者たちを皆殺しにした。

しばしば登場する場面

  • 衣を織るペネロペ
トアス / T H O A S / .

クリミア半島のタウリスの王。ギリシア軍がトロイアへ出航する際に犠牲として捧げられたアガメムノンの娘イフィゲネイアはアルテミスに助けられてタウリスにある彼女の神殿で巫女となっていたが、トアスは旅行者を捕らえると生け贄にするようイフィゲネイアに命じてこれを渡していた。イフィゲネイアの兄弟のオレステスがやってくるとこれを捕らえて殺させようとしたが、互いの存在を認知した二人はアルテミス像を盗み出して脱出した。トアスは船でこれを追ったが殺されてしまった。

しばしば登場する場面

  • タウリスのイフィゲネイア
トリトン / T R I T O N / .

ポセイドンアムフィトリテとの息子で、上半身は髭の生えた男性として、下半身は魚の姿で描かれ、ネレウスなどのように手に魚を持つこともある。

常に登場する場面

  • トリトンとヘラクレスの格闘

しばしば登場する場面

  • 海の宮殿を訪れるテセウス
トリプトレモス / T R I P T O L E M O S / .

エレウシス王ケレオスとメタネイラの息子、あるいはオケアノスガイアとの息子とも言われる。デメテルに穀物、特に麦のの栽培方法を教わった彼は、彼女にもらった竜の引く戦車に乗って全世界にその栽培技術を伝えた。

常に登場する場面

  • 麦の栽培を伝えに旅立つトリプトレモス

しばしば登場する場面

  • エレウシスの秘儀に入信するヘラクレス
トロイロス / T R O I L O S / .

トロイア王プリアモスヘカベとの息子。彼が二十歳に達するとトロイアは陥落しないという予言の存在を知ったアキレウスは、馬に水を飲ませるために泉にやってくるところを待ち伏せして殺した。

常に登場する場面

  • トロイロスの待ち伏せ
  • トロイロスの遺体をめぐるアキレウスとヘクトルの戦い
ドロン / D O L O N / .

トロイアの伝令官エウメデスの息子。ギリシア軍とトロイア側とが膠着状態にあったとき、ヘクトルがギリシア陣営へのスパイを募り、その報酬に引かれてドロンがその役目を負うことになった。彼は動物の毛皮を全身にまとってギリシア陣営に向かったが、逆にギリシアからトロイアへ進入しようとしていたオデュッセウスディオメデスに捕まってしまい、陣営の様子や新たに加わったトラキア王レソスのことなどを白状してしまった。彼は身代金を払うことを約束して逃れようとしたが殺されてしまった。

常に登場する場面

  • ドロンの待ち伏せ