サテュロス / S A T Y R / ΣΑΤΥΡΟΣ

山野の精で、頭は禿げて馬の耳と尻尾を持つ。好色で酒好きであり、マイナスたちとともにディオニュソスに付きそう。マイナスニンフたちを襲おうとするが成功したためしがない。マルシュアスについてはその項を参照。

常に登場する場面

  • ヘファイストスの帰還
  • 天界から火を盗むプロメテウス
  • ヘラを襲うサテュロス
  • イリスを襲うサテュロス
  • アミュモネを襲うサテュロス

まれに登場する場面

  • アフロディテの誕生
サルペドン / S A R P E D O N / .

ゼウスベレロフォンの娘ラオダメイアとの息子でリュキア王。トロイア戦争ではトロイア側に加わって戦った勇士。ヘラクレスの息子トレポレモスを倒し、アキレウスのいないギリシア軍を追いつめるなどの活躍をしたが、パトロクロスに打たれて斃れ、その遺体はアポロンの命でタナトスヒュプノスによってリュキアへと運ばれて埋葬された。

常に登場する場面

  • サルペドンの遺体運び
サルモネウス / S A L M O N E U S / .

テッサリアの王アイオロスとエナレテとの息子。テッサリアを追われてエリス地方に自らの都市を建国した。しかし高慢な彼は自らをゼウス以上だと豪語し、ゼウスを真似て雷の音を立て、手にはゼウスの雷霆を真似たものを持っていた。ゼウスはこれを罰するためにサルモネウスを都市もろともに稲妻で破壊した。

常に登場する場面

  • ゼウスを真似るサルモネウス
シシュフォス / S I S Y P H O S / .

アイオロスとエナレテとの息子でコリントスの建国者。ゼウスアイギナを誘拐するのを目撃すると、アイギナを探していた父アソポスに情報を提供し、そのかわりとしてアクロコリントスに泉を湧き出してもらった。腹を立てたゼウスタナトスに命じて彼を冥界へ連れていこうとした。しかし狡猾な彼は逆にタナトスを縛り上げ、ついに冥界に送られても妻に遺体を埋葬しないよう密かに命じ、ハデスが妻に遺体を埋葬するよう命じてこいといって彼を地上に送るとそのまま地上にとどまって長寿を全うした。  しかしその罪は死後に罰せられることとなった。彼は斜面の上で永久に巨大な岩を転がし続けるという罰を与えられた。この岩は頂上まで持ち上げても必ず転げ落ちてしまうようになっていた。

常に登場する場面

  • 岩を押し上げるシシュフォス
シニス / S I N I S / .

コリントス地峡を拠点としていた盗賊で、旅人を捕らえて曲げておいた二本の松の木に縛り付けて、木をまっすぐに戻して体を引き裂いて殺していた。トロイゼンからアテナイに向かっていたテセウスは逆に彼を捕らえると、これと全く同じやり方で殺した。

常に登場する場面

  • シニスを退治するテセウス
シュレウス / S Y L E U S / .

リュディアに住む盗賊で、旅人を捕らえては自分の農園で働かせていた。しかしこの地を訪れていたヘラクレスは彼のもとで働くふりをして近づき、持っていた鍬で彼を打ち殺した。

常に登場する場面

  • シュレウスとヘラクレスの戦い
シレノス / S I L E N N O S / .

パンあるいはヘルメスニンフとの息子で、その姿はサテュロスと似通っていて、馬の耳と尻尾を持ち、頭は禿げている。しかし彼はより年長の、しばしば老人として描かれ、またサテュロスが山野の精であるのに対し彼は本来水の精であった。さらに彼には予言の能力まであった。  ディオニュソスが生まれると、ゼウスはその養育をまかせるためヘルメスに命じてシレノスに預けさせた。また彼の知恵にあやかろうとしたフリュギアの王ミダスに捕らえられ、彼に人生における教訓を与えた。

常に登場する場面

  • シレノスに預けられるディオニュソス
  • ミダス王に捕らえられるシレノス
スキロン / S K I R O N / .

ポセイドンあるいはペロプスの息子で、メガラからエレウシスへとつながるスキロン街道で海賊行為を働いていた。切り立った崖の近くで旅人を呼び止め、自分の足を洗うよう命じると、相手が屈んだ隙に崖から蹴落とし、崖の下に住む大ガメの餌にしていた。  しかしテセウスがトロイゼンから父の住むアテナイへ向かう途中に彼に出会い、彼が旅人を殺したのと同じやり方で彼を崖から落として殺した。

常に登場する場面

  • スキロンを退治するテセウス
スフィンクス / S P H I N X / ΣΦΙΓΞ

エキドナとテュポンから生まれた怪物で、ライオンの体と人間の女性の頭を持ち、背中には翼が生えている。テーバイ王ライオスの冒涜行為に腹を立てたヘラはスフィンクスを使わし、通りかかった人に謎をかけてこれに答えられないか間違えるとその人間を食べてしまった。ライオスが死に、王となったクレオンはスフィンクスを退治したものを王とすることを約束し、ライオスの息子だが自分の出生を知らず、またライオスを殺した張本人でもあるオイディプスはスフィンクスの出した「四足、二足、三足と年とともに変わっていくものは何か」という問いに「人間」という正解を答えた。この答えに絶望したスフィンクスは自ら身を投げて死んでしまった。

常に登場する場面

  • スフィンクスの謎を解くオイディプス
セイレン / S I R E N / ΣΕΙΡΗΝ

ムサの中の一人の娘で、その人数と名前は一定していない。鳥の姿に人間の女性の頭を持ち、メッシナ海峡付近の島に住む。彼女たちは通りかかる船に向けて甘い歌声を聞かせ、これを聞いた船人はその魔力に引かれて海に飛び込んで死んでしまった。  アルゴナウタイの一行が通りかかったとき、楽士オルフェウスが竪琴の音色でその歌声をかき消して難を逃れたが、ブテス一人は海に飛び込んでしまった。またオデュッセウスがイタケへ帰る途中に通りかかったときは、仲間に耳栓をし、自分はその歌声を聞いてみたかったのでマストに体を縛り付けさせ、もしその歌に魅了されてほどいてくれと頼んでも絶対に縄を解かないよう命じておいて、その歌を聴くことに成功した。

常に登場する場面

  • セイレンの島
ゼウス / Z E U S / ΖΕΥΣ

クロノスレアの息子でギリシアの最高神。多くの神や英雄の父となった。壮年の髭の生えた男性として描かれ、アトリビュートは雷霆と王者の笏、しばしば玉座に腰掛け、聖鳥は鷲。

 クロノスは自分の子供にその王座を奪われるだろうという予言があったため、産まれてくる子供を次々に飲み込んでいった。ゼウスが生まれたとき、母レアガイアに相談してゼウスの代わりにむつきにくるんだ石をクロノスに与えた。難を逃れたゼウスはクレタ島で育てられ、成人した彼は父を倒すためにオリムポスに向かった。

 まず知恵の女神メティスと協力し、クロノスに催吐薬を飲ませ、彼の兄弟たちを吐き出させた。そしてクロノスに幽閉されていたキュクロプスたちを解放した代わりに彼の最大の武器となる雷霆を受け取った。十年に渡る戦いを制すると、兄弟のポセイドンハデスとともにくじを引き、彼が天空を支配することになった。彼がクロノスらを幽閉したことに腹を立てたガイアギガスたちを差し向けてギガントマキアと呼ばれる戦いを起こしたが、ヘラクレスの協力で勝利した。またガイアは不死身の怪物テュフォンを生んで戦いを挑んだがゼウスの勝利に終わった。

 彼は姉妹のヘラを妻としてアレスエイレイテュイアヘベの子供たちをもうけたがそのほかにも多くの子供の父となった。メティスと結ばれて彼女が妊娠すると、その次に産まれてくる子供は彼を凌駕する存在になるという予言があったため彼女を飲み込んでしまい、お腹にいたアテナはゼウスの頭から生まれた。ティタン神族のテミスとの間にホラたちとモイラたちをもうけ、ムネモシュネにはムサたちを、エウリュノメにはカリスたちを生ませた。さらに姉妹デメテルとの間にはペルセフォネを、レトとの間にはアポロンアルテミスをもうけた。またマイアとの間にヘルメスをもうけたほか、ディオネとの間にアフロディテをもうけたともいわれる。

 テティスを見初めて妻としようとしたが、彼女の生む子供は父親よりも強力になるという予言があったため、彼女を人間のペレウスの妻として与えた。このほかにも人間の女性との間に多くの子供をもうけ、テーバイのセメレは彼の子供を身ごもったが、ヘラの策略でゼウスの雷で死んでしまったので、ゼウスは胎児ディオニュソスを取り出すと自分の腿の中に入れて育てた。アルゴスのイオを牛の姿に変えて交わってエパフォスを生ませ、ダナエには雨の滴となって近づいてペルセウスをもうけ、白鳥に変身してレダと交わりカストルポリュデウケスヘレネを生ませた。アンティオペとの間にアムフィオンとゼトスの息子、さらにはアルクメネとの間にヘラクレスをもうけた。トロイアの美少年ガニュメデスを誘拐して側に置いた。また時には厳しい側面を見せ、人間に勝手に火を与えたプロメテウスを縛り付けて内蔵を鷲に食らわせたり、ヘラを誘惑しようとしたイクシオンを火のついた車輪に縛り付けたり、ヘラをかばったヘファイストスをオリムポスから投げ落としたりした。

常に登場する場面

  • アテナの誕生
  • ディオニュソスの誕生
  • エウロペを誘拐するゼウス
  • ダナエと交わるゼウス
  • アイギナを追うゼウス
  • ガニュメデスを誘拐するゼウス
  • オリムポスでゼウスに仕えるガニュメデス
  • トロイア戦争を計画するテミスとゼウス

しばしば登場する場面

  • アフロディテの誕生
  • ヘファイストスの帰還
  • エリクトニオスの誕生
  • アルゴスを退治するヘルメス
  • キュクノスとヘラクレスの戦い
  • ヘラクレスとアレスの戦い
  • ギガントマキア
  • オリムポス入りするヘラクレス
  • ヒッポダメイアを連れ去るペロプス
  • レウキッポスの娘たちを誘拐するディオスクウロイ
  • ペレウスとテティスの結婚
  • メムノンとアキレウスのプシュコスタシア

まれに登場する場面

  • ケリュネイアの鹿をめぐって争うヘラクレスとアポロン
  • ケイロンに預けられるアキレウス
ゼテス / Z E T E S / .

北風の神ボレアスオレイテュイアとの息子でカライスの兄弟。兄弟ともに背中に翼を持ち、ヘルメスのように翼の生えた靴を履いた姿で描かれることもある。アルゴナウタイに参加した彼らはサルミュデッソスの盲目の王フィネウスの食卓から食べ物を奪い去り彼を困らせていた怪鳥ハルピュイアたちを追い払った。

 航海を終えた後彼らはペリアスの葬礼競技に参加して徒競走に勝利した。しかし航海の途中で彼らに見捨てられて置いてけぼりにされたヘラクレスに恨みを買い、二人とも殺されてしまった。

常に登場する場面

  • フィネウスを助けるカライスとゼテス
ゼヒュロス / Z E P H Y R O S / .

アストライオスとエオスとの息子で西風の神。北風の神ボレアスのように背中に翼を持つ。アミュクライに住む美少年ヒュアキントスに恋したが、同じく彼が気に入っていたアポロンに奪われた。そのためゼヒュロスはアポロンが投げた円盤に風を送ってヒュアキントスの頭に命中させ、彼を殺してしまった。

常に登場する場面

  • ヒュアキントスを誘拐するゼヒュロス
セレネ / S E L E N E / ΣΕΛΗΝΗ

ヒュペリオンとテイアとの娘でヘリオスエオスらの姉妹。月の女神で有翼の馬を駆って天空を回った。アトリビュートはその馬と頭に乗せた月であるが、神話に登場することは極めて少ない。

まれに登場する場面

  • オリムポス入りするヘラクレス