タカ目タカ科(冬鳥 11月〜3月)) 大きさ オス88cm メス102cm(翼開長221cm〜244cm)
 冬鳥 分布 北海道〜北日本(繁殖地はオホーツク北部) 
天然記念物 絶滅危惧U類(環境庁)
 日本で観察できる鳥としては最大。オス、メスともに同色。昼行性。大きくて黄色いくちばしが特徴。越冬地として知床半島などに飛来。肉食で、鋭いツメで獲物を捕らえる。木の枝上や崖に巣をつくる。知床・根室には飛来数が多く、厳冬期、たくさんの個体が飛来する。北海道以外では飛来数が少ない。夜は決まった木や崖にねぐらをかまえる。
 ウォッチングのコツ・・・北海道の道東地方では、冬季、たくさんの数が飛来するため、観察は容易だ。エサとなる魚を狙って、漁港の近くに現れる。木や電柱でとまっている姿もよく見られる。厳冬期は、氷下網漁と呼ばれる漁のおこぼれを狙う姿が、見られるという。この場面に出会うなら早朝から10:00までが良いらしい。
本州以南で観測するならば、日光、八ヶ岳周辺、対馬など毎年やってくるところがあるそうだ。
撮影 : 平成18年2月19日 北海道 根室市 納沙布(のさっぷ)岬 〜 春国岱(しゅんくにたい)

オオワシ
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 オオワシをみつけた!
 大きい!海岸線の見通しのよい道路の電信柱のうえに悠然ととまっているので、数百メートル離れた位置から確認することができた。
 
 「あそこにいた!」というが、じいちゃん先生、「おお?どこだ?」とのんびりとあわてている。ようやく気がつき、そろそろと車をよせて、みなそろってレンズを構えた。
 撮影は車中からだ。相手は相変わらずとまっている。不用意に近づいたり驚かせなければしばらく観察できる。
  

 この時季は判断が難しい。流氷は日々刻々とその漂着地をかえ、きつく流氷に覆われた地域ではエサとなる魚がとれないため、ワシ類の観察は難しくなるという。
 しかし、オオワシについては、氷下網漁という漁をやっているところや、海面が出ているところをめざせばチャンス大ということで、、野付半島から根室半島の海岸線に的をしぼった。
 野付半島は内湾が凍り付いて雪原になっており、港もほとんど凍っていた。オオワシを見つけることはできず、根室へ向かった。途中の走古丹(はしりこたん)付近で、オジロワシを見つけたものの、オオワシがいない・・・・・・。はたして、私たちはオオワシに会えるのか?

 ところで、電信柱のオオワシ・・・・
 もっと近くで撮ろうと、じいちゃん先生が、車からそろそろおり、どっこらしょとカメラを構えた。
 その瞬間・・・・じいちゃんにちらりと流し目をくれて、「ふわり」と彼は飛び立った。
 まさに優雅な王者の去り方だった。

 「おお・・・」とじいちゃん先生は驚いたが、「いまの撮れただろ?」といって得意げに笑った。

← 氷下網漁の様子(春国岱)
 チカ・コマイ・ワカサギなどがとれるそうだ。漁師のおじさんたちが照れくさそうに、写真撮影に応じてくれた。
 
 たくましそうなオオワシだが、人間の採る魚に依存する傾向にある。
 この氷下網漁が行われる早朝、たくさんのワシやカモメがおこぼれを狙って集まってくるという。 
 冬季の狩りはやはり鳥にとっても大変なのだろう。

←流氷の上に
 海岸から離れた流氷の上にオオワシの若鳥がいる。
 この先にエゾシカがのってさすらっているのも発見した。
 肉眼ではとても遠かった。あのエゾシカはどうしたろう。数十キロ先にある国後島に無事にたどり着いただろうか。

公開:2006.2.26

現地施設

根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター 〒086-0074 北海道根室市東梅103番地
0153-25-3047 
春国岱は、野鳥の宝庫として有名、オホーツク海と風蓮湖の間に横たわる細長い砂州で、海岸、草原、湿原、森林、干潟など多様な環境が存在する。ネイチャーセンターはその情報拠点。
とても丁寧に教えてくれるので、迷わず、センターによっていこう。
開館時間:9:00〜17:00 休館日:毎週水曜日、祝日の翌日、年末年始(12/30〜1/5) 入館料 :無料   
アクセス:JR花咲線根室駅、根室交通厚床行バス乗車。東梅バス停下車、徒歩2分、中標津空港から、根室バスターミナル行バス乗車−東梅バス停下車。根室市街より車で15分。

 ※詳しくはネイチャーセンターホームページ

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 ぽんぽこ2006冬の北海道遠征 第1報である。
 わたし(ぽんぽこ)は、じいちゃん先生夫婦(となかいだより見てね)、友人らくろばと、はるばる道東までやってきた。隊長は一人留守番である。
 隊長からは「オオワシ・オジロワシは冬なら必ず見れる」ということだったのだが、案外、見つからない。
 オホーツクが流氷で埋まる厳冬の2月中旬、根室の春国岱(しゅんくにたい)周辺には800羽のオオワシがやってくるという。
 オオワシに会えないまま、3日目の朝を根室で迎えたわれわれは、納沙布岬に向かった。
 納沙布岬はのさっぷと呼び、稚内の北西部にあるノシャップ岬と同じく、アイヌ語の「ノッ・シャム」を語源とする。ノシャップとは、「アゴのように突き出たところ」、「波のくだけるところ」という意味。北緯43°東経145°に位置する日本最東端の岬である。流氷の時期にはダイナミックに動く流氷が堪能でき、「流氷岬」とも呼ばれる。日本で最も早く朝日を見ることができる岬だ。
 スピードをゆるめて運転しながら、道沿いの電信柱や海岸線のテトラポットを探した。

↑ 流氷の納沙布(のさっぷ)

 風蓮(ふうれん)湖と、オホーツク海との間に横たわる細長い砂州(さす)が春国岱(しゅんくにたい)で、野鳥ファンのあこがれの地だ。春国岱と風連湖は、2005年11月にラムサール条約湿地として登録された。海岸や湿地、森林、草原など多様な生態系が存在し、たくさんの生き物たちがすんでいる。
 
 春国岱ネイチャーセンターの調査では、平成18年2月6日現在、オオワシ722羽オジロワシ106羽とある。世界的に数の少ないオオワシたちの貴重な越冬地、春国岱。このオオワシの姿をもとめ、世界中から人がやってくるという。
 オオワシたちの気配をはるかに眺め、後ろ髪をひかれる想いで、春国岱をあとにした。
 いつかまた、会いたい。

これは、納沙布岬をながめたあとに見つけた別の個体。
この日本の最果てのまちで冬を越したら、大陸北部へと帰っていき、そこで子育てをする。
知床や根室ではなじみの深いこの鳥も、世界で6千羽あまりしか生息していないという。

するとなにやら前方の電信柱の上にかなり大きい鳥がとまっている。ワシタカ類だ・・・。近づくほどにそのでかすぎる姿にパニック寸前。もしかして・・・


  じゃーーん! オオワシだ!!

 氷下網漁で有名なのは風蓮湖(ふうれんこ)。さっそくネイチャーセンターの人に聞いて、ポイントに向かったが、午前中がいいらしい。もうお昼なので、時間が遅いとは思いつつ、少しでも近づこうと、みんなで豪風が吹く、雪原を歩き続けた。すると、氷で真っ白く覆われた湖上に黒い点がたくさん見えてきた。オオワシ・オジロワシと思われる。でも、はるか、かなただ。

by ぽんぽこ
↑風蓮湖  黒い点はオオワシ・オジロワシの群れ

写真・文   By ぽんぽこ