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 無尾目アカガエル科(日本固有種)  大きさ 4cm〜8cm  分布 本州〜九州、佐渡島
 黒褐色から赤褐色の、山間部に生息するカエル。キャララ、キャララとなく。地域によって時季に差があり、2月〜6月に池や沼、湿地、渓流の止水、水田などで産卵、1000〜1900個の卵塊を産みつける。ニホンアカガエルとよく似ているが、背側線が目の後ろ側で折れ曲がっているので区別する。
 ウォッチングのコツ・・・普段は山の中で生活しているが、産卵となると、湿地や浅瀬を求めて、里に下りてきたりする。基本的には平野部にはめったにいないので、山間部近くの水田や流れにできた浅瀬などを探そう。かなり標高が高いところでも見ることができ、日光の戦場ヶ原などでも春はたくさんの卵を見ることができる。                  

ヤマアカガエル

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 メスのヤマアカガエル。産卵を終えた後で、お腹がぺっちゃんこ。体力が回復するまで、産卵地周辺で休んでいるのだろう。

平成17年5月23日   栃木県那須塩原市(なすしおばらし)

 栃木県那須塩原は両生・はちゅう類天国で、ぼくの大切なフィールドのひとつだ。ここは、栃木県北部の山間の地域で、森林に清流、そして田んぼと、昔ながらの自然豊かな里山が残っている。
 
 今回はそんな塩原にすむヤマアカガエルの登場だ。
 ヤマアカガエルは早春、冬眠から目覚めると、産卵のために水辺にやってくる。
 この日は、田んぼで産卵を終えたヤマアカガエルの撮影だ。あぜを歩くと何匹もの親ガエルがあわてて田んぼに飛び込んだ。田んぼの中はすでに生まれたオタマジャクシでごったがえし。いやいや、このあわただしさがなんとも言えないここちよさなのだ。

← 上から撮影

 同じ個体を上から撮影する。産卵後のお腹は骨と皮だけだ。
 ヤマアカガエルは湿地や田んぼなど、流れのない水場(止水という)に産卵する。時期は地域によって差があるが、2月から4月だ。

 早春に産んだ卵は、水の凍結で死滅してしまうこともあるそうだ。
 ニホンアカガエルとは姿も習性も似ており、同種とも産卵をすませた親ガエルは、温かくなるまでふたたび冬眠(春眠)する。
 
 ちなみにアカガエルは、「カエルのなかのカエル」といわれるそうだ。日本のカエル(43種)の中で一番種類が多い。23種3亜種もいる。

←ヤマアカガエルのお腹

 この黒い斑点はヤマアカガエルの特徴。ほとんどの個体はお腹の模様が鮮明だ。斑点がもう少し小さいものもいる。が、まったくの無地の個体もいるのでお忘れなく。
 
 学名も「おなかに模様がある」という意味らしい。

                    ↑ 横からの撮影。

 アカガエルとの違いは目の上から背中に延びる背側線のカーブ。目の後ろでV字にカーブしていればヤマアカガエル。直線ならばアカガエルである。
                                    ※ニホンアカガエルのページ参照

 このヤマアカガエルは卵の浮かんでいる小さな池の底に隠れていた。卵を見ると産卵はまだ本格的にはじまっていないようなので、一足早くやってきてメスを待っているオスだろうか。

平成18年4月8日   栃木県鹿沼市粟野

 ヤマアカガエルはアカガエルと比べると山の方に分布しているものの、里山では同種が混生していることもある。下の写真では左がヤマアカガエル右がニホンアカガエルである。夏はホタルが飛ぶ小さな清流の脇の水辺で、仲良く同居していた。
 

 ヤマアカガエル学名 Rana ornativentris)は日本固有種である。
 一方、「ニホン」と冠してあるニホンアカガエル学名 Rana japonica)の方は、中国の一部に同一種が生息しているらしい。
 和名、学名ともに、日本固有種はニホンアカガエルの方かと思ってしまうが、実はヤマアカガエルのほう。
 それにしても、この2匹、とっても仲がよさそうだが・・・果たして・・・?
 

平成18年4月30日   栃木県・八方ヶ原

 タゴガエルのお腹

このタゴガエルは栃木産の個体で、ヤマアカガエルの卵から数百mほど離れた辺りで見つけた。
お腹は黒っぽく見える。ヤマアカガエルのお腹とは明らかに違う。

参考 : タゴガエルのお腹(栃木県・八方ヶ原)

この写真も背側線のカーブがわかりやすい。

 周辺は豊かな里山。右はクロゲンゴロウ、左はコオイムシ。他に、タイコウチやイモリなど、水生生物の宝庫だ。一日いてもあきない楽しさだ。

公開:平成18年5月23日