ニホンアカガエル
無尾目アカガエル科(日本固有種) 大きさ 3cm〜7.5cm 分布 本州〜九州 中国の一部 |
赤褐色のカエルで、普通に見られる平地のカエル。キョッキョッとなく。地域によって差はあるが、真冬の1月ごろから500〜3000個の卵をうみつける。産卵をおえたカエルはふたたび、5月ごろまで水の底で春眠する。単独で生活し、暖かいときは冬でも活動する。冬季から早春にかけて水のたまった水田や湿地が減っているため、全体的に数を減らしている。 |
ウォッチングのコツ・・・里山周辺の田んぼや湿地帯で探そう。産卵期はなかなか観察しづらいので、5月以降の暖かい時期がいいだろう。よく似たヤマアカガエルとの区別は背側線が一直線であることで判断する。最近減っているようなので、産卵地を見つけたら大切にして欲しい。 |
平成18年2月25日 渡良瀬遊水地
体が赤っぽいからニホンアカガエル。日本ではポピュラーなカエルで、卵やオタマジャクシはよく見るんだけど、親は意外と会っていない。ここ3年間の僕のフィールドノートを見てみると、確かに撮影しているのは年に5匹前後。関東北部の里山で普通に見るトウキョウダルマガエルやツチガエルは、それこそ数え切れないくらい会っているのに・・・。
なかなか会えない理由のひとつは産卵の時期。2月前後の冬季が産卵期なので、なかなか目に付きにくいのだ。その時期に水辺にわざわざ出かけるなんて、たいていの人はしないだろう。さらに産卵の後にはふたたび冬眠してしまうのだから、なおさら会いにくい。
もうひとつの理由・・・・・・。実は最近、アカガエルは減ってきているらしい。
↑平成18年2月26日、渡良瀬遊水地にて。
そんな事情もあって、先日、久々にアカガエルを見たときはなんかうれしかった。産卵のため水辺にやってきていたのだ。寒くて眠くて、夏に比べると動きは鈍い。
撮影地の渡良瀬遊水地は、何ヶ所かアカガエルの産卵場所があり、卵やオタマジャクシは毎年たくさん見ることができる。同じ場所にはメダカがたくさんいる。
↑ 上写真と同じ個体。
里山から少し山間部に入っていくと、よく似たヤマアカガエルが生息していてまぎらわしい。見分けるポイントは鼻先から耳の上を通っている背中の線(背側線)。この線がまっすぐなのがアカガエル。耳の後ろでVの字に曲がっているのがヤマアカガエル。
↑ 同日見つけたアカガエルの卵
改めて見るとやっぱり不思議なカエルの卵。子供のころは手にとっては大騒ぎしていた。あたりまえだと思っていたこんな景色が、日本から確実に減っている。日本もなんとも悲しい国だ、なんて思っていたら、カエルの減少は世界的な出来事だという。
なんとも悲しい地球である。
↑ ちょっと一息・・・
平成16年7月10日 千葉県木更津市
上の資料では千葉県のアカガエルは絶滅危惧TA類ということになる。
撮影場所は里山周辺の田んぼ。イモリやイシガメ、タイコウチなどが棲んでいる。
この個体はちょっと小柄。雌雄の別はわからないけど、アカガエルはオスよりもメスのほうが大きくなるそうだ。
さらに別個体。目の後ろの背側線がまっすぐ。これがアカガエルの特徴。
最後に栃木県のヤマアカガエル。背側線のカーブがわかりやすい写真だ。
アカガエルとヤマアカガエル・・・・。この2種の違いがフィールドでわかるようになると、カエルワールドがぐっとおもしろくなる。
↑ ヤマアカガエル(栃木県塩原町5月)
↑ アカガエル(千葉県木更津市)
↑ 里山周辺の田んぼにて(千葉県木更津市)
公開:平成18年3月14日