卵を守るタガメのオス

2005年6月19日  茨城県北部

夏の風物詩、タガメの抱卵?をお届けしよう。

 淀みの中には、子タガメがたくさん泳いでいた。タガメの卵には間に合わなかったか・・・となかばあきらめかけた時、繁みの中にカマキリの卵塊のようなものが目に飛び込んできた。よく見るとやっぱりカマキリの卵。待てよ・・・。その奥にもうひとつカマキリの卵のようなものがある。れれれ・・・。タガメじゃん。しかも、しっかりと卵を守っている。僕が近づいても一切動かず、ひたすら卵を守り続けるオスの姿に感動。
 もうじき生まれてくる子タガメたち。無事に育って、あちこちでそのたくましい姿を見せて欲しい。

 タガメは、メスが卵を産んだあと、オスが卵を守る。外敵から守ることははもちろん、時おり卵に水をかけて乾燥から守るのである。そのままでは卵が乾いて孵らない。
 メスは、産卵後は腹が空いているため特に凶暴で、共食いをすることもあるそうだ。
 

 写真上は別角度から撮影した同じ個体。足場が悪く、水の中に落ちそうになりながら写す。先の写真と枝の角度が違うのは、カメラを水平に構えられなかったから。

 すでに孵化していた幼虫が、周辺にたくさんいた。
 黒っぽいのが1令幼虫、緑のが2令幼虫。成虫は先の1匹のみしか確認できず。産卵が終わって方々に散って行った後なのだろう。
 子は貧弱で、まだまだ水生昆虫の王者という風格はない。成虫になれない個体のほうが圧倒的に多いはずだ。
 夏の終わりにもう一度会いに来よう。

                   タガメの産卵地の様子

 最後に産地の様子を紹介しよう。田んぼのわき、写真では左側に用水路が見える。ここが産卵地。流れはなく、たぶん冬も同じくらいの水量だろう。土の中で越冬するタガメだが、こんな条件ではたくさんの個体が水中で越冬していることもある。
 周辺は、里山の間の狭い土地に田んぼをびっしりひき詰めたようなところ。きれいな小川と大小の用水路がそこを縫うように走る。タイコウチやゲンゴロウの幼虫までいて、農薬などには頼らず、手がよく入っている田んぼだとひと目でわかる。地元の人たちの田んぼへの愛情が育んだ、昔ながらの豊かな自然である。

もどる

ぶんぶく ぶんぶく探検隊トップページへ
リンクフリーです

タガメ  (平成17年4月27日公開)
タガメ2 (平成17年5月30日公開)
タガメ3 (平成18年9月30日公開)