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甲虫目 ゲンゴロウ科  大きさ 35〜40mm 分布 北海道〜九州  準絶滅危惧NT(環境庁)
 日本のゲンゴロウではもっとも大きい。ため池や沼にすみ、水中をよく泳ぎまわり、肉食で弱った魚や昆虫などを食べる。おしりの先に気門があり、時々おしりを水面に出して呼吸する。春から夏にかけて農薬などの影響の少ない田んぼなど、繁殖のために、いろんなところに出て行く。秋になると沼などに戻って成虫のまま越冬する。しかし、農薬の散布や環境の悪化により生息地を追われ、各地で数が激減した。コンクリートで護岸されたところではサナギが陸に上がれない。
ウォッチングのコツ・・・きれいな水、護岸されない池、沼、農薬汚染がない田んぼが生息地の条件である。なかなかそんな環境は身近に少なくなってしまった。ペットショップや水族館で見ることはあっても、野生のゲンゴロウを探すのは困難だ。尾瀬には地糖と呼ばれるたくさんの池が点在する。イモリがたくさんいる地糖もあれば、何もいないような地糖もある。それぞれ生態系が違うのだ。さすがに尾瀬に網をもっていくわけにもいかない。ツルツルした緑の丸い姿を、ひとつひとつていねいに探して歩こう。

平成17年10月13日 尾瀬(日光国立公園)  群馬県片品村

ゲンゴロウ


 紅葉の尾瀬を歩く ぽんぽこ&らくろば珍探検第2弾は、ゲンゴロウ。
 ここに来るまで、目当てはオコジョ、紅葉、そして赤トンボたちだった。
 隊長は前から、尾瀬のゲンゴロウをマークしていたらしいが、そんな話は忘れていた。
 山の鼻から尾瀬ヶ原の木道を歩きだす。前方には燧ケ岳、うしろには至仏山
 次第に離れていく至仏山を惜しみ、何度も後ろを振り返っては、後ろを歩く らくろばとぶつかりそうになる。
 湿原に転々と存在する池、地糖と言う。深い濃紺に輝く。浮かんでいるのは色づいたヒツジグサ、夏には可憐な白い花が地糖に浮かぶ。
 覗き込めば、底まで見える透明度だ。
 トンボ、イモリがいるかなーとのぞいてまわる。
 「あれ何?ビヨンビヨンって泳いどーよ」らくろばが言う。
 マツモムシだ。余裕で説明した。
 トンボもいた。水面に尾を入れて産卵中。
 おお、カルガモもいた。フリースを羽織らないと寒くなった尾瀬だが、生き物はたくさんいる。
 おお、イモリがたくさんいるなあ・・・とシャッターを押していたそのときだった。

あれ何?カメ?
また、らくろばが言った。

ん?カメ?ほう、それは珍しい!どこだどこだ。

「ほらあそこ、緑でツルツルしとう」
「・・・★・■ △!!!」
ゲ・ゲ・ゲ・ゲンゴロウやん!

「ゲンゴロウたい!わーっ」パニックである。
 ※博多弁訳「ゲンゴロウです。わー」

← イモリとゲンゴロウ

 ゲンゴロウまでは1.5mくらい離れている。300mmのレンズで狙うが、チョロチョロ動いて撮れない。
 大変だ。逃げちゃう逃げちゃうと焦っていると、何かおかしい。

 イモリがゲンゴロウをつついている。
 一度、水中に入ったゲンゴロウも、イモリとともに水面に出てくる。
 なんだこれは?
 
 水中に何か白いものが浮かんでいて、イモリが食べているように見えたが、なんだかわからない。
 
 そんなことより、隊長をして、いくら関東一円(オーバーか)を探しても見つからなかったゲンゴロウがそこにいる。

 すごい、すごい

 

 やっぱりなんかおかしい。どうみても、イモリがゲンゴロウをいじめている。ゲンゴロウもなんだかヨロヨロして弱っているように見える。
 噛みつかれているゲンゴロウ。おい、やめてくれ、準絶滅危惧種だぞ!

 うりゃうりゃと、つつかれ、いじめられるゲンゴロウ。助けたいが、どうにもならない。自然の営みだ。
 
 しかし、このイモリの顔のいじわるそうなこと。

 ビジターセンターで報告すると、応対してくれた指導員さんは、まだ池では見たことがないという。でも、尾瀬にはゲンゴロウが生息しており、まちがいないとのお言葉。

 イモリにしても、ゲンゴロウにしても肉食なので、逆の立場もありうるという。yassanさんに教えてもらいました)

 いやーびっくりした。
 
 尾瀬でゲンゴロウを見つけたのは初めてである。
 他の地糖でも用心深く、観察したが、他の個体は確認できず。

 それにしても・・・・
 
 「カメと間違うかいな、普通・・・」
 ※博多弁訳 「カメと間違うでしょうか、普通」

 らくろば
 「だって、緑で丸いけん、カメかいなって思ったっちゃもん」
 ※博多弁訳「だって緑で丸いから、カメかなあと思ったのです」

 そうか、なるほど、ミドリガメに見えなくも・・・いやない。
 
 
 

15:30 発見地点: 尾瀬ヶ原 牛首付近の地糖

翌日、別の地糖で見つけたイモリの大群

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現地情報

山の鼻ビジターセンター(尾瀬保護財団)

問い合わせ
371-8570
群馬県前橋市大手町1-1-1群馬県庁17階 TEL027-220-4431 
尾瀬保護財団

尾瀬を訪れる人たちへの様々な情報のインフォメーションセンターの役割を担っている。自然観察ガイドウォークもあり。
尾瀬沼の入り口には、尾瀬沼ビジターセンターがある。

開館期間:平成17年5月14日〜10月23日(H17年度)
開館時間:8:00〜17:00 入館無料
※ 詳しくは、尾瀬保護財団HPへ
(私がお気に入りの弥四郎小屋などの山小屋情報、尾瀬へのアクセスなどの観光情報も確認できます)