有鱗目クサリヘビ科(日本固有種) 大きさ 40cm〜65cm  分布 北海道から九州
 日本の森、林、畑などにいる。ニホンマムシとも言う。単独行動。夜行性。カエルやネズミなどをつかまえて食べる。強い毒があるが、少量なので死亡例は少ない。赤ちゃいろの体で、丸いめがねのような柄がある。
ウォッチングのコツ
 マムシは夜行性で、あまり見る機会は少ない。田畑の周囲では草むらの中、山では岩場、堤防などの隙間にいる。雨の日の夜、道の真ん中でひと休みしているマムシに会うことがたびたびある。
 ゆっくり行動するからと油断は禁物。攻撃となると早いので、注意が必要だ。
 

ニホンマムシ


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 マムシはいうまでもなく、毒があり、山で絶対会いたくない生き物のひとつだ。しかし、意外と見る機会が少ないヘビで、1年をとおしてまったく会えないことも多々ある。
 僕がマムシに会うのは、ほとんどが夜のドライブである。特に雨上がりが良い。

 「マムシは人に向かって飛んでくる」???

 「マムシが飛ぶ」と語る農家のおじいさんもやっぱり栃木の人だった。草刈中に大きなマムシを見つけ、40分間、草刈機をかまえたままマムシとにらめっこしたそうだ。「動いたら飛びかかってくるからな
 えー! 飛ぶの〜〜〜!!

 ・・・・でも後日、太田市のスネークセンターでスタッフのひとにきいたら、「そんな1mも飛び上がるなんてことはありません!」と笑われた。「そうなんですよ、そんなことはことはないと教えてあげたんですよ」ととっさに言ってしまったが、そう聞くまで何年も信じていた・・・・。

平成18年6月24日  福島県伊南村  

  写真のマムシは、雨上がりの林道で一休みしているところを撮影した。
 そっと近寄るが、相手はぴくりとも動かない。体もあまり大きくないから、ついつい近づきたくなるかもしれない。でもそれはダメ。ぜったいダメ。マムシの猛毒はとっても怖い。
 もし、夜の林道でマムシに出会っても、観察は車から降りずにしよう。 
 「マムシが空から降ってくる」???

 そう聞いたのは栃木県南部の町だ。そこにクワガタ採集に出かけたときのこと。
 子連れでクワガタを採っていた地元の男性の話によると、クワガタがたくさんいる雑木林はマムシがいっぱいいて、木をけっとばすと樹上からマムシが頭に落ちてくることもある(!)という。
 その人から服装のレクチャーを受ける。
 彼によると、麦わら帽子と首の手ぬぐいがふってくるマムシ対策。足元は踏んでも安全な長靴で、できれば胴長。ズボンはジーパンなどの厚めのもので、長そでの服軍手も必要!・・とのこと。
 なるほどと思い、早速実践したものの、真夏にそのスタイルは暑すぎて、クワガタを見つける前に、気を失いそうになったものだ。今のところ空から降って来るマムシには出会ったことがないが・・・・。でも、沖縄のやんばるや奄美ではハブ対策として大いに参考になった。

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  ○ マムシはふだん夜行性だが、夏場の妊娠中のメス、冬眠前後(春秋)の個体は、昼間
  に活動
するので注意しよう。

  ○ マムシに会ったら・・
  マムシは本来おとなしいヘビで、刺激しなければ大丈夫。見つけたら静かに離れよう
  草むらにひそんでいることが多いので足元には注意。
  林間や草原に入るときには長靴をはこう。

← マムシの特徴

 毒ヘビの特徴は首がきゅっとくびれて、頭がさんかくになっていること。マムシはその代表だ。

 マムシの体はまるっこく、短めで、全体にずんぐりしてみえる。
 しっぽの先も急にほそくなる。
 
 この時期、メスならば妊娠中の可能性が高い。マムシは8月〜10月に、5〜6匹の子ヘビを産む。卵生だけど、子どもはヘビの姿で生まれてくる(卵胎生)。子ヘビでも毒はしっかりある。

← ポイズンリムーバー(毒吸い器)

 奄美大島にいったときに、「ぜったい必要!」と地元のエコツアーの方に教えてもらった。スズメバチにも効くので、僕のフィールドワークの必需品だ。
 「(大島)支庁に売ってる」と言われたけど、場所がわからなかった。僕は『奄美観光ハブセンター』で購入した。3000円くらい、だったと思う。
 
 体内の毒を完全に吸い出すことはできないが、毒の量を減らすことができれば、致死率は確実に下がるそうだ。
 

同じ体勢で固まっているマムシ

さすがに逃げ出すマムシ

平成18年5月  栃木県佐野市・梅林公園  

 夜行性のマムシだが、ごく稀に真昼間に出会ってしまう。
 

← マムシのいたU字溝

 何をしていたかというと、オサムシ探し。U字溝の中の落ち葉や土をどかしていたら、いきなりとぐろをまいている彼に出会った。
 そうやって昼間休んでいるマムシを踏んだりすると噛まれてしまうのだ。

平成17年7月  福島県桧枝岐村  

 下の写真は尾瀬に向かう国道の上で発見したマムシ。車にひかれて死んでいたけど、痛みが少なく、まるで生きているような状態だった。

マムシにかまれたら・・・!!
 
○ マムシにかまれたら・・
 @ あわてないで楽な姿勢をとる!
   (毒のまわりは遅い。興奮したり動いたりすると毒のまわりが早くなる)
 A 噛まれたところよりも10cmほど心臓よりのところを布でしばる
   (きつくしばりすぎない)
 B 毒を吸い出す
   (口で吸ったひとは吸い出した後すぐにうがいをする。
   口の中に裂傷などがある場合はやらない。ポイズンリムーバーがあると心強い)
 C できるだけ早く、病院にいき血清治療をうける
   (毒による腎不全によって死亡する確率は1%未満。とにかくあわてずに対応しよう)   
フィールド必需品! ポイズンリムーバー!!
 
 かまれたらポイズンリムーバー。使ったことは一度もないから、効果のほどは実証したことはないけど、持ち歩いていると安心感がぜんぜん違う。保険みたいなもん、なのである。
※  ポイズンリムーバーがあれば確実に安全と言うわけではありませんので、ご注意を。
   かまれてポイズンリムーバーを使っても、必ず病院にいってください。
mao
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 ということで、今回は嫌われ者のヘビの中でも特に嫌われるマムシの紹介であった。
 命をかけるわけにはいかないから、上手に付き合おうなんて傲慢なことを言ってはいけない。きちんと距離を保つことが必要だ。そう、距離感があるからこそ、僕らは森で謙虚になれる。マムシも、知床のヒグマも、ヤンバルのハブも、人に忌み嫌われながら、人を森から遠ざける。
 人は生き物に対しての謙虚さを忘れてはいけない。それがマムシが教えてくれる距離感だ。

マムシに出会ったときの注意!!
 交通量はけして少なくない道路だから、ひかれて間もないのだろう。時刻は正午ごろ。ということは明るいうちにこの道を横断しようとしたはずだ。
 マムシは昼間でも移動することがあるのだ。
 写真は栃木県の公園で撮影。まだ小さい個体なので、昨年に生まれたものであろうか。
 しめった環境が好きで、雨上がりのU字溝の落ち葉の下で休んでいた。

轢死のマムシ・・・