ノウマ

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平成16年2月24、25日 宮崎県串間市 ・ 都井岬

 鹿児島の出水市を昼過ぎに発ち、都井岬に着いたのはちょうど午後6時だった。
岬の入り口には駒止めの門があり、通行料(エサ代)は400円という看板があった。もう日も沈んでおり、先に進もうか少し迷っていたら、係のおじさんが、「行っていいよ」と声をかけてくれた。
 門を抜けるとすぐ、薄暮の中に馬が現れた。「駒止めの門」とは文字通り「馬を止める門」である。都井岬には野生馬が生息している。この日はもう暗いので下見だけで済ませ、車中で早めに寝袋に入る。

朝、7時、車を走らせてすぐ、道でタヌキが死んでいる。昨夜、車の脇を歩いていったタヌキが車にはねられたのだろう。駒止めの門には係の人はおらず、自分で門を開けて岬の中に入る。馬はすぐ見つかるが、いろんな本で見た風景と少しイメージが違う。

 そうか、冬は草が緑ではなく、茶色いのだ。
 都井岬の岬馬(御崎馬)は野生の馬として有名だが、正確には「自然環境の中で長い年月放牧されているうちに野生化した馬」である。動物関連の本などでは「ノウマ」と表記されている。一見すればその精悍さは単に野生育ちというだけではない、日本特有の在来種の血統ゆえだと気づくだろう。

 さて、馬の撮影も終え、ニホンザルやソテツ自生北限地(国天然記念物)の撮影も済ませた僕は、都井岬ビジターセンター「うまの館」に戻る。ここには、馬の生息地の地図があり、冬は海岸線の道に多くいると書いてあった。まだ見ていなかったので早速行ってみる。
 その道は入り口が少しわかりにくかったけど、確かに馬がいっぱいいた。林の中で休んだり、廃墟となった旅館の跡で草を食べている。僕は廃墟の庭に車を入れ、馬を観察することにした。

 そこにいた3頭のうちの1頭が僕をじっと見ている。なんか嫌な予感・・・・。
 うおーーー! やっぱり?

←うま!

 馬はとぼけた顔でゆっくり近づき、僕の車をべろりとなめて、開いた窓から鼻を入れる。馬の呼吸に合わせて窓が曇る。ひたいから汗が流れ落ちる。でも、えさはあげない。

←うーーーー、うま!!

 ああぁ、窓によだれがつく。でも、ぜったいえさはあげない。
 ううううう・・・もう1頭来た。



 頼む・・・・・・、車をなめる前に歯を磨け。

  奇蹄目 ウマ科    宮崎県都井岬の御崎馬(みさきうま)は国の天然記念物
 ノウマとは自然環境の中で長い年月放牧されているうちに野生化した馬
 現在では、純粋に野生と言える馬はいない。日本には固有種が8種いて、各地で血統が保護されている
 宮崎県都井岬の御崎馬は、元禄10年(1697年)、高鍋藩が軍用場育成のために岬に馬を放ったものが野生化したもの。明治初年、地元の都井御崎牧組合に移管され、共有牧場として現在に至っている。
 御崎馬の特徴は、体高と体長が等しく胴が短い、改良馬に比べ、体高が20〜30cm低い、後躯が発達している、などがあり、まさに日本在来種特有の野生味のある体格だ。昭和28年に国の
天然記念物に指定された。
 昭和40年(1965年)ころ、一時は50〜60頭に減少したが、現在は保護により115頭にまで回復している。560haの広大な自然の中で、ほとんど人の手を借りずに繁殖し、たくましく生きている。
 ウォッチングのコツ
 都井岬に行けば、かならず会える。まずは都井岬ビジターセンターに立ち寄り、情報を手に入れよう。時期によって見やすい場所があるようだ。

現地情報

都井岬ビジターセンターうまの館

宮崎県串間市大字大納42-1
TEL0987-76-1546 

都井岬の豊かな自然、生き物情報の拠点
ノウマの情報はここで確認!
開館時間:9:00〜17:00 月曜休館 入館料:大人300円、小中学生200円
※ 詳しくは、都井岬ビジターセンターHPへ

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