ミヤコタナゴ、朱に染まれ!
コイ目コイ科タナゴ亜科 (日本固有種) 大きさ 5cm 分布 本州 (茨城以外の関東) 天然記念物(国) 絶滅危惧1A 類(環境庁) |
東京の小石川植物園で発見されたので、ミヤコタナゴという名がついたという。魚類としてははじめて国の天然記念物に指定された。関東の沼や田んぼに広く分布していたが、環境の悪化により、生息域がどんどん減っている。4月〜7月が繁殖期。オスは赤い婚姻色が現れる。マツカサガイに産卵する。 |
ウォッチングのコツ・・・ 栃木県大田原市の保護地では、冬のウォッチングが確実だろう。(詳細は下) |
真夏の暑い日、なんか急にミヤコタナゴに会いたくなった。
場所は栃木県大田原市のミヤコタナゴ保護地。ここの池ではミヤコタナゴが自然繁殖している。池の脇の観察舎から、アクリルガラス越しにたくさんのミヤコタナゴに会える!はずだったのだが・・・・。
なぜだか池は真っ白。・・・・・きっとアクリルガラスにミズゴケが付着しているに違いない。ふと脇を見ると網やら長い柄つきのタワシが置いてある。うーーん、後ろに監視用のビデオカメラが見えて気になる。が、ミヤコタナゴをあきらめられない。僕は意を決して柄つきタワシでガラスの内側のミズゴケを落とすことにした。5分くらい、かなり一生懸命ガラス掃除をする。監視員さん、僕はいたずらしているのではありません。ボランティア活動をしているのです。
そうして、ふたたびガラスの前に立つ・・・・・。が、池はまだ真っ白なのだ。 どうやら水そのものが白濁していたらしい。 むなしく帰宅・・・・。
この日、夏のリベンジでふたたび大田原市にやってきた。期待はしていないが、寒くなり池の水の透明度が上がっていれば、チャンスがあるかもしれない。チャンスがなくてもガラス掃除だけはしてこよう。ボランティアは継続が大切なのだ。
淡々とした気持ちで観察舎に足を運ぶ。
そして・・・僕は見た。ごちゃごちゃのミヤコタナゴの群遊!!である。
↑観察舎から見たミヤコタナゴたち とにかくきれいだった。
←ジュズカケハゼ
(スズキ目ハゼ亜目ハゼ科)
体の横の模様が数珠(じゅず)のように見えることからこの名がついた。湧水などきれいな水に棲む淡水性のハゼだ。環境省のレッドデータブックでは、関東の本種は「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている。
←アブラハヤ
(コイ目コイ科ウグイ亜科)
川の上流から中流に生息。湖沼にも棲む。体表がアブラのようにヌルヌルしているらしい。すばやく泳ぎ回るようだが、さすがにこの時期はぽけーっとしていた。
←フナ
フナも数匹いた。池の中では一番の大きいさかな。写真の個体はぶれていて見にくいが、下半身が短い。野生でこんなハンデを持ちながら、よくここまで大きくなったと感心する。
↑オスのミヤコタナゴ
関東では水族館などでも展示しているが、野生のミヤコタナゴがこんなにもきれいだということを初めて知った。適した環境で暮らしているからこそ状態も良いのだ。
↑ 保護池と観察舎(左の木造建物)
↑ 観察舎の内側
ガラス窓から池の中を観察できる。
← ↓ 05夏撮影
写真の腕も問題だけど、やっぱり実物の方がはるかにすばらしい。
ぜひ野生の本物を見て欲しい。
← 右上がメス
朱色に染まるのはオスだけ。メスはこんなに地味なのだ。
保護池の魚たち・・・・
僕はこの写真の撮影後、池の水面から水中写真に挑戦した。レンズを数センチ水につけて、シャッターを2、3度押す。そしてふたたび観察窓の前に戻って池をのぞくと、あんなにいた魚たちは1匹もいなかった。もちろん写真は薄茶色い水だけが写っていた。その日、監視ビデオに池に落ちそうになりながら変なことしてる男が写っていたら、それは僕・・・・。もう二度とバカなことはしません。
もちろん、ガラス掃除のボランティアも辞退させていただきました。
栃木県大田原市ミヤコタナゴ保護地 (滝岡、岡和久堀地内) 詳しくは、大田原市商工観光課へ 電話:0287-23-8709 メール:syoukou@city.ohtawara.tochigi.jp |