権(ごんの)狐(きつね)の住むといふ
ちひさき隅を訪ぬれど
いまは影なし姿なし
尋ぬるべくは古(いに)し日ぞ
権(ごん)の奏づるいたづらは
汚れなきゆゑなづむべし
弔う列に涙する
その心こそなづむべし
床に臥したる狩人を
見舞う幸をば運べども
気配あやしと飛び起きて
火筒を放つおろかさよ
権の奏づるいたづらも
深き切(せち)ゆゑなつかしき
ちひさき隅に花置きて
尋ぬる術も今はなし
1984.11.29(拙 作)