■倍率は約35倍、2.8%前後の難関試験
受験予備校のパンフレットを見ると、「一発合格」や「2〜3回目合格」が紙面を賑わしている。誰もが1〜2回目の受験で受かるのを目指し、司法書士受験予備校に通い始めることだろう。平成16年度の「新人研修受講者アンケート」によると合格者の平均受験回数は3.52回だ。(参考:
司法書士 合格者の受験回数)
司法試験は旧帝大や有名私立ばかりだが、司法書士試験は幅が広い。高卒、現役大学生、京大・東大卒、社会人ドロップアウト組、主婦…何でもありだ。言えるのは、難関の試験ということもあり、受験者の「脳みそ」は良い品質を持っている人が比較的多い。その中で2.8%前後、約35倍の狭き門を競いあうことになるのだ。(参考:
司法書士試験合格率)
受験予備校のパンフレットや説明会では短期合格した人たちの話しばかりだが、実際の合格者は短期合格の人ばかりでもないし、途中で勉強をやめる人も非常に多いということも認識しておいてほしい。
■初学者向けコースが終わる頃には、半数が辞めている!?
勉強を始めるにあたり、受験予備校の15ヶ月や20ヶ月コースなどに通う人は多い。当然、最初はみんなやる気満々で、一発合格を目指す人も多いだろう。例えばそのクラスが70人いたとしよう。単純計算すると、35倍なら一発合格者が2人でる可能性がある。でも、そのコースが全部終わる頃には、半分も残っていないクラスも多い。中途半端な気持ちで目指した人間は、ドロップアウトしていく。半分の35人が残っていたら、計算上一発合格は1人。しかし、実際の35倍の数字の中には、2〜3年試験勉強一筋の人たち等も入れた上での35倍なのだ。70人ぐらいのクラスでも、一発合格「0」は十分ありえる数字だ。
■1〜2年で、25問ぐらい取れるようになるのが落とし穴
受験者3万人中3000人ぐらいの人は、誰が合格してもおかしくはない。3000人ぐらいまでのレベルになったら、あとはイス取りゲームだ。上位100人ぐらいのレベルまできたら、頭一つ抜けて合格ほぼ間違いないレベルだろうか。
3000人レベルは、答案練習会(以下「答練」)で30点越えをタマにするぐらいのレベルぐらい(?)。その前の25問前後に、真剣に勉強すれば1〜2年で達するから、変に期待してズルズル勉強を続けてしまう。早く、25問前後を脱出してイス取りゲームに参加できるようになるのが大切なのだ。
■イス取りゲームに失敗して5年、なんてこともある
実際に私はイス取りゲームに入ってからが長かった。総合で0.5点足らず、2.5点足らず、3.5点足らず、総合点は大丈夫そうだったがまさかのアシキリなど。仕事をしながらの受験だったからか、なかなか頭一つ抜け出せれなかった(単なるいい訳にしかならないが…)。
■人生を狂わすことも十二分にあり得る資格
仕事をしながらなら、10回以上受けている補助者もたくさんいる。20回以上受けても受からず、あきらめて補助者で人生を終える人もいる。実際に合格者同期には、10年選手や20年選手がいた。そんな人は必ずと言っていいほど、多くの取り返せない犠牲を払っている。時間の浪費は当然のこととして、結婚が破綻とか、婚期を逃した、子供を諦めた、親戚からは変人扱いなどなど、人生を狂わされることも十二分にある試験なのだ。
しかし、難関試験だけあって、資格の中でも非常に強い資格だ。難関試験ということは参入障壁が高いから、他の資格や非資格業に比べたら「ぬるま湯」業界なのだ。真面目に仕事をしていて、破産するような司法書士は聞いたことがない。食っていくだけなら、極端な言い方をすれば、仕事を待っているだけで食えるぐらい業界だと思う。と言いながらも、食えない司法書士がいるのも事実だが、司法書士で食えない人間は、例えどんな仕事についても食えない人間だろう。社会人として立派に活躍していた人であれば、合格後に6ヶ月修行して開業、2年後ぐらいに年収1500万円なんてのも全然夢ではないのだ。
(参考:
司法書士の年収 How much?【A事務所の開業3年情報付】)
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