■司法書士報酬は完全自由化。ただし明示・説明の義務があります
かつては司法書士報酬規定でした、「司法書士会が司法書士に対して確定額として運用するよう指導することは独占禁止法違反する」ということで、平成10年7月に報酬額基準に変更されました。そして平成13年3月の閣議決定の規制改革推進3か年計画で、資格者間における競争を活性化する観点から、資格者における大臣認可による報酬基準を削除するとされたことで、平成14年法律第33号(平成15年4月1日施行)により司法書士報酬は完全に自由化されました。
自由化により利用者が不利益を被らないように、「司法書士は、あらかじめ依頼ををしようとする者に対し報酬額の算定の方法その他報酬の基準を示さなければならない」(司法書士法
規則22条)とされています。また報酬の明示ということで、報酬の金額又は算定方法を事務所の見易い場所に掲示するするなどして明らかにし、受任に際しては報酬について十分説明しなければならないとされています(司法書士会会則基準89条、司法書士倫理20条)。
■ボッタクリ司法書士に要注意!
報酬の自由化により司法書士報酬・手数料はピンキリです。不動産購入における売買・住宅ローン設定の登記では、5〜10万円の報酬・手数料の差が出ることもあります。相場より5〜10万円高い場合というのは、本当にその事務所が報酬基準が高いだけの事務所もあれば、不動産会社に支払う紹介料を上乗せしている場合もあります(ちなみに紹介料を支払うのは「不当嘱託誘致」(規則26条)違反)。
元々が高く、かつバックマージン(紹介料)を払っている司法書士に当たったら最悪。そんな司法書士の場合、当然に報酬の明示や報酬についての説明もありません。家を購入する人は引越の手配等で頭が一杯だったりで、登記費用にまで気が回っていない人が多い。それに家電製品や日常品とかと違い、司法書士費用を比較検討する情報が不足していますし、比較検討すべきものだという概念がない人が多いのにつけ込んでいるのです。「このお客さん、10万円乗せてバックして〜」の一言で商談成立なんて仕事をしている司法書士も存在するのです。
事前に見積もりを出してもらい費用・手数料が適正かどうか確認して、納得できるのであれば依頼するというスタンスに立つべきでしょう。司法書士の選択権は、原則「あなた」にあるのだということを覚えておきましょう。払ってしまった後でも遅くはありません。あまりにも費用がおかしいと思ったら、最寄りの司法書士会に相談してみてください。司法書士とのトラブルを解決するための窓口があり、中立的な立場で【紛議の調停】(司法書士法59条)というのをしてくれます。
■安かろう悪かろうにも注意!
安ければいいというものではありません。安いには理由がります。駆け出しで信頼も知識も経験も、そして仕事もないため安くしている。長年やっているが固定客をつかむことができず安くせざる得ない…などなど。司法書士の費用・手数料もピンキリですが、司法書士の質もピンキリです。高いから質がいい、安いから質が悪いというわけではありませんが、安かろう悪かろうのパターンが多いのも事実だと思います。たまに、高いわ悪いわの最悪のケースもありますのでご注意を。
安かろう悪かろうの例を示しておくと、例えば【会社設立】の場合、お客さまからの指示だけを聞いて設立登記をしてしまうケース。建設業などの許認可を取得するために必須の目的の記載の仕方がされていないとか、生命保険等の代理店をする場合の目的表現などなど。設立登記後、早々に変更登記をせねばならなくなり、結果的に高くつき、時間も労力も余分にかかるなんてこともよく聞く話です。「最初から、○○事務所にお願いすればよかったわ」と言われたことが多々あります。
【相続】では遺産分割協議において適切なアドバイスを欠いたことにより、再度遺産分割協議をやり直し、かつ相続登記もやり直す必要が出てきたり、【贈与】においても不適切な贈与の登記をしたことで払う必要のない贈与税を払わされたりというのもよくある話です。
【公正証書作成】においても、元となる契約書作成段階で細かい注意点を潰しきっていなかったため公証役場で指摘され、適当に捨印で対応。結果、契約者双方が納得できない内容になってしまった。再度、違う事務所で公正証書を作り直したので、費用が2倍かかってしまったとか。
■どうやって司法書士を選んだらいいの?
Aさんには最適な司法書士でも、Bさんには相性が悪いなんてこともあります。司法書士会などの役員なら大丈夫かって?それも当たり外れがあります。役員や各種活動とかだけをしてて実務から離れている司法書士も少なくありません。実務能力や一般の人との対話能力が欠けているため、それらの活動を中心にしている人だって存在します。
知人からの紹介や地元での評判、電話や事務所での対応の仕方、ホームページの内容などを見て、自分で吟味するしかありません。相談料がかかるかもしれませんが、医者と同様にセカンドオピニオンという手もあります。
この司法書士は違うなと思ったら、依頼を断る勇気は持つべきでしょう。それで揉めるようなら上記に記載した「紛議の調停」を申し立てたらいいし、法務局にも対応窓口があるので相談してみましょう。
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