Workshop for Nipponianippon Communicative Language& Culture Studies
コミュニカティブアプローチ
ポカポカ春庭のニッポニアニッポン語教師日誌2005

ニッポニアニッポン語教師日誌 日本語教室はあいがいっぱい04、05

| 日付5 |
ニッポニアニッポン語教師日誌 |
| 2005/12/02 |
動物園で日本語授業2005 |
| 2004/11/13 |
動物園で日本語授業2004 |
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2005/12/02
2005年は、「最初からこの日に行こうと決めておくと、去年みたいにお天気が悪くて中止、となるので、授業日がお天気のいい日だったら、ヒトコマ目は普通に授業をして、フタコマ目に動物園へ行こう」という、柔軟な企画にしておいた。
快晴の秋の一日。
学部留学生の日本事情の授業。ひとこま目で、学生の「自国と日本の交流史」の発表を行った。
「豆腐」の歴史を調べて、豆腐食文化がどのように伝播したかを調べた学生。授業のない日は、マクドナルドでアルバイトしている。
「日本の庭園」について発表した学生。飛鳥奈良時代の庭は、中国の神仙思想の庭園を取り入れて築庭されていた。中国の庭とよく似ている庭から、しだいに日本的な独自の庭園に変化していく過程について発表した。国では、幼稚園の先生をしていたが、日本への留学を実現した学生だ。
発表がおわったあと、留学生達に「こういうよく晴れた日を、日本晴れっていうんだよ」と、話す。みなさんの国では、マレーシア晴れとか、イラン晴れって言わないの?」と、聞いてみると、「マレーシア、よく晴れても、マレーシア晴れと言いません」だって。
「日本語文章表現の授業、『定義を述べる』について勉強しようと思っていましたが、変更します。今日のテーマは、『観察文を書く』にします。何を観察するかというと、動物です。
グループでひとつのテーマを決めて、よく見て、観察した結果をくわしく文章にしましょう。自分で見てないことを想像で書いたり、どこかの資料にあったことを写したらだめ。自分で見たことを書きましょう」
「動物、なんでもいいんですか」「アリやカラスでもいい?」と、学生がワイワイ始めたので、「こども動物園にいる動物に限定します。キリン、しまうま、らくだ、カンガルー、ワラビー、カピバラなどが、こども動物園にいますから、見にいきましょう」
というわけで、授業後半は、こども動物園散歩になった。
最初は、全員いっしょに、この動物園の目玉であるコアラを見る。いつもは寝ている姿を見るだけなのに、夕方になって訪れたおかげで、えさを食べたり、木から木へ移り変わったり、動き回るコアラを見ることができた。
小型のコアラで、とてもかわいい。
野生のコアラは、実際にはかなり凶暴なこともあり、うかつに人が手を出したりすると、噛みつかれることもあるのだというが、園内のコアラは、のんびりユーカリの葉を口に運び、のそのそと木を伝って移動する。
2005/11/29 火
ニッポニアニッポン語教師日誌>こども動物園で授業(2)美食コアラと瞑想カンガルー
ナミが「コアラ、人間よりいい暮らしをしている感じがします。コアラの部屋広いね。ぜいたく」と言う。
「人間はね、この狭い日本に1億人以上もいるけど、コアラがいる動物園は日本全部で10もない。8園だけだったかな。コアラは貴重だから、いい暮らしさせてもらってる。でも、優雅に暮らせても、コアラにはなりたくないな。ユーカリしか食事メニューがないんだもの」と、日本にいるコアラの数について解説。
この動物園のユーカリは、夢の島のユーカリ林の葉をトラックで運ぶのだと一昨年飼育員から解説を聞いた。
コアラはユーカリひとすじの美食家と言えるのだろうが、私は美食より大食に専念。
「私も、日本でただひとりの『餃子、15分で30個食べられる日本語教師』なんだけど、だれも貴重って思ってくれないから、給料安いよ。」と、愚痴をこぼす。
ナミの顔が明るくなっているので、歩きながら話を聞いてみると、「12月に通訳のアルバイトができることになりました。公的な仕事なので、通訳料がすごく割がいいから、来年の授業料は払えそうです」という。
「よかったね、通訳がんばってね」と、いうと、うれしそうな笑顔をみせた。
ヒョンさんも、「大使館から頼まれて通訳の仕事をしたら、こういう文書をもらいました」と、大使館発行の「依頼書」を見せてくれた。「そういう書類、大切にとっておきなさいよ。これからの仕事に役にたつことがあるかもしれないから」と、アドバイス。
コアラコーナーから、グループに別れて、好きな動物を観察することにした。
韓国人テスさん、朝鮮族自治区出身の中国人ローさん、北京出身の中国人リーさん、マレーシアのアリさん、という男性グループといっしょに、カンガルーコーナーを歩いた。
テスさんとローさんが話すときはコリア語(韓国語・朝鮮語)、ローさんとリーさんが話すときは中国語、アリさんとオーストラリアへ行ったこともあって英語が得意なリーさんが話すときは英語。4人いっしょに話すときは日本語。いろんな言葉が飛び交う。
普段の授業中は、「会話は日本語だけ」と、言っているが、ま、今日は気分も開放されて、おしゃべりがはずんでいるのでしょう。
オリのなかにいるのではなく、カンガルーが自由に園内を歩いている、その中の小径を見学者が歩くので、握手できそうに近くへ寄れる。
一頭のカンガルーが、手を前に交差してすっくと立ち、じっと動かない。
「先生、あれは、本物のカンガルーですか。それとも人形ですか」と、リーさんが聞きにくる。
あまりに動かないので、もしかしたら、烏よけの目的でカカシがわりにおいてある置物かしら、と私も動かないカンガルーを見て、首をかしげた。リーさんが思い切ってそばによると、ピクッと、耳が動いた。
「わあ、動いたよ。好、ハオ」と、リーさんは大喜び。
秋の陽射しのなかで、瞑想にふけっているかのようなカンガルーだった。こんなに背筋を伸ばしてじっと立ちつくすカンガルーを見たの、初めて。
今年流行した「立つ動物」のひとつとしてテレビが放映したら「瞑想するカンガルー」として、レッサーパンダの風太以上の人気がでるかも。
2005/12/04 日
ニッポニアニッポン語教師日誌>こども動物園で授業(3)カンガルーステーキ蠍唐揚げ
リーさんが「オーストラリアにいたとき、カンガルーの肉をたべたことがある。牛肉と同じ味だった」と話し始め、珍しい肉を食べた話、タブーの食べ物の話になった。
テスさんは「韓国は犬の肉を食べるって非難されるけど、日本は馬の肉を食べるよね」と言う。はい、確かに。私、馬刺大好き。
イスラム教徒のアリさんは豚肉が食べられない。トリや牛でも、食べていいのは神様アッラーにお祈りを捧げてから肉にしたものだけ。だから、日本の食堂ではサラダだけ食べる。
「先生は食べられないものある?」とアリさんからの質問。
「私は何でも大丈夫。タブーなし。ケニアではワニの肉たべたよ。鶏肉と同じような味でした。中国では、北京動物園の中にあるレストランで、サソリの唐揚げを食べたけど、あまり美味しくなかった。あのね、メニューにあった「蝎」の文字がわからなくて、自分でこの字は蝦の一種かなと判断して、えびの唐揚げのつもりで注文しちゃったの。ほかの料理より高かったから、美味しいのかと思って期待したのに、まずくてがっかり」と、失敗談を披露。
あとで、文字を思い出してみたら、「蛇蝎のごとく」という文字で、見ていたはずなのに、「蝎」単体でメニューにあったときは、「蠍」と同じと思わずに、「蝦」と同じと思ってしまったのだ。
ローさんは「サソリは、美味しくないです。でも、薬です」と教えてくれた。薬膳料理で、滋養強壮によい料理だったみたい。残してソンした。
ローさんは、都内のコンビニでアルバイトしている。バイトでびっくりしたことは、「賞味期限をすぎた弁当おにぎりなど食品類は、必ず捨てなければ就業規則違反になること。最初は捨てるくらいなら、もらって帰りたいと思った。持ち帰りが無理なら、せめてホームレスの人に分けてやりたい。
でも、万が一、賞味期限切れの食べ物による食中毒などが出たら企業全体のイメージダウンになり、その損害ははかりしれないと説明され、今では食べ物を捨てることにも慣れてきた。
食べ物を捨てなければいけないことのほかに、日本に来てびっくりしたもうひとつのこと、公園などに青いビニールシートの家に住んでいる人がいたことだった。日本は豊かな国と思って留学先に希望したが、日本の中に、家も家族もなく公園で暮らす人がいたというのは、本当に驚いたことだった。
故郷の人達、日本の家庭に比べて家財も電気製品も車もまだまだ追いついていないけれど、地域の人達が助け合って暮らし、ホームレスになって孤独に暮らす人はいなかった。
どういう暮らしが本当に幸福なのかと考えることがあるが、今はとにかく必死で働いて、必死で日本語を覚えていくだけ。
秋の夕方の陽射しが、いちょうの葉を黄金色に輝かせている。
あたりは、ハイキングコースになっている丘陵地帯。都心より、一週間くらい紅葉の色づきが早い、。ハイキングにやってくる人達、紅葉を楽しんで歩いている。
たわいのない四方山話をかわしながら、園内を歩く。
アルバイトと宿題におわれて、なかなかのんびりと散歩もできない留学生にとって、ひさしぶりに、「学校とバイト先と家」の三角地点移動のほかの場所を、のんびり歩くひとときになった。
「来週は、授業内に今日観察したことを観察文として書くからね。見たことを忘れないでね」と伝えて、授業はおわりとなりました。<おわり>

2004/11/13 晴れときどき雨
ニッポニア教師日誌>動物園で授業
先週約束したとおり、1時に図書館の前で待っていたが、誰もこない。雨が降ったりやんだりしていたので、皆通常授業だと思って教室にいったのかな、と思ってベンチにすわっていたら、ぼちぼちと集まってきた。教室でお弁当を食べてしまった人もいる。
雨のなか、こども動物園へ。徒歩で5分で到着。遠足の小学生保育園児が帰宅する時間。入り口で入場券買っているときは雨が強かったが、屋根のあるレスト広場へ行くころにはやんでいた。
最初私が引き馬にチャレンジ。「みんなも乗りなさいよう」と勧めてみたが、「こわい」と言う人、バドのように「内モンゴル草原で馬を走らせてきたんだから、ここで引き馬に乗ることないです」という人も。内モンゴル草原か。いいなぁ。
各自持参のお弁当を食べ、私はりんごとチョコレートを配り、「はい、食べながらレポート発表をやりましょう。」
ウ−さんの日本文化発表は「国名の由来」先週私が学生になぜ日本という国名ができたのかを概略話したとき、うーさんは欠席していた。話題がだぶってしまい、学生へのうけはイマイチ。しかし、一番日本語ができないウーさん、インターネット資料を切り貼りして、3頁のレジュメを作ってきた。「レジュメはA4一枚にまとめること」という「レポート発表の注意事項」を理解していないための3頁なのだが、いっしょうけんめいやったということでよしとしましょう。
それからコアラ舎へ行く。コアラは寝ていたが、一匹はときどき動くので、留学生達「かわいい」と大喜び。
コアラ舎の前で写真をとっていたら、飼育係のおじさんがユーカリの枝を持ってきて、葉っぱをとり、「においをかいでごらんなさい」と言う。強い特長のある香り。「ユーカリメンソールと言って、薬品にも使われている成分です」と教えてくれた。話し好きそうなので、コアラについて生息地やユーカリのことなどいろいろ質問した。
質問への答えの中で、留学生に理解がむずかしそうな言葉を私が「留学生にもわかる日本語に翻訳して伝える。ところどころに茶々をいれ、学生はどっと笑う。
コアラは、一生をほとんどユーカリの木のうえですごす。水を飲みに2週間に一度くらい木からおりるほかは、樹上生活を続けるというので、「落ちたりしないんですか」と私が質問。飼育係の答え「年寄りになって、身体が弱ると落ちることもあります。若いコアラでは、交尾期に雄が雌を追いかけて無理矢理迫ると、雌がいやがって落ちたりします」というので、「ほらね。コアラも若いと下手なのよね、何事も経験よねえ」とチャチャを入れる。留学生、経験ありの人は、げらげら大笑い。何をいっているのかわからず、ぽけっとしている学生も。
冗談と笑いの連続。飼育係に「詳しい説明をありがとうございました」とお礼をいうと、飼育係は「先生、お話、おじょうずですねぇ。全国を公演して回れますね」と言う。「お笑い芸人めざしてます!」と答えた。
わたし、女流落語家、女流講談師になればよかったと、思う。修行の道はつらかろうが、二十歳で入門したとしても、30年続けていれば、いまごろは真打ちになれたかもしれないのに。う〜ん、気づくのがおそすぎた。いや、私の場合万年前座か二つ目か。
ワラビー、カンガルーだちょう、エミューを見る。カンガルーの赤ちゃんがおなかに入っているのをみて、学生たちまたひとしきりはしゃぐ。
広場でハンカチ落としをして遊んだ。ぼうっとしているので、私は数回鬼になった。鬼は円周を走らなければならない。遊ぶのは大好きだが、疲れた。最後に私が鬼になったところで、おしまい。鬼の罰ゲームとして、お得意の前後開脚を披露。どこでもすぐ足を前後に180度開く芸を披露する。っていうか、これしかできないんだが。ホントは32回のグランフェッテくらいやって見せたいけどね。足が回らず目が回るだけ。
園内移動のミニトレインに乗って正門へ。キリンに「葛の葉」をやる体験をした。きりんは一番ちいさいのが小夏ちゃん。長い舌で葉っぱを食べる。
写真をとって、解散。雨でどうなるかと思ったが、楽しい一日になった。最後に「今日の作文宿題は、タイトル動物園でもいいし、コアラを見た日でもいいし、」と、言うと「えっ、そんなあ、書くんですかあ」とブーイング。「日本語の授業なのに、遊んだだけでおしまいになるわけないでしょ。宿題宿題!」




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