Workshop for Nipponianippon Communicative Language& Culture Studies


ポカポカ春庭のニッポニアニッポン語


ポカポカ春庭のワークショップ ニッポニアニッポン語
| 日付2006 |
ニッポニア日本語 |
| 02/09 |
「ニホンニッポンなのか」 |
| 02/11 |
ジツボン、ジッポン、ジャパン、リーベン |
| 02/09 |
日本の語源、源流 |

2006/02/09
a*****さんからの「日本の語源はなんでしょう」というおたずねについて。
「日本」の語源も諸説あります。
対外的には、聖徳太子が「日のいずる国、日の本である国」と、随に対して自国を称揚したのが最初といわれていますが、国内で「ひの国」「日のいずる国」「日のもと」などと言われ出したのがいつなのかは、わかりません。
「自分たちの住む国が、大国中国に対して、東側に存在する」という意識をヤマトの人々が持ち出してからの呼び名であることは確かでしょう。
それまで中国は、この大陸の東はしに位置する島国を「倭国(わこく)=ちっぽけな国」そこに住む人々を「倭人=チビ」と呼んでいたのですから、「日の本に位置する国」とは、気宇壮大な呼び名だったことがわかります。
「日本」という国号が、文献に初出するのは701年の大宝律令において。また、国外での初出は736年の長安で亡くなった留学生「井真成」の墓誌の中。
日ニチ+本ホン→ニチホン
複合語の音声変化、後項ホ→ポとなり、前項は促音化 ニッポンと発音していた。
しかし、促音の表記法が普及していなかったので、「っ」を表記せずに、仮名では「ニホン」と表記するしかなかった。
仮名の表記法そのままに「にほん」と呼ぶ人が出てきた。
本来はニッポンが正しい。
しかし、現在、「日本」の読み方は、どちらでもいいことになっています。
留学生から「ニッポンですか、ニホンですか」という質問があったときには、単独で使うときは「ニッポン」が主流、「日本語」「日本文学」など、他のことばと複合語をつくったときは、「ニホン」が主流、と答えていますが、実は一国の国号でありながら、厳密な規定はないらしいです。
「どっちでもいい」という曖昧テキトーなところが、私は好きです。ニッポンちゃちゃちゃ
<つづく>
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2006/02/11 土
「言語学復習」
「日」の発音、呉音では「ニチ」、日曜(にちよう)の日は「にち」です。漢音では「ジツ」で、平日(へいじつ)の日は「じつ」。
井真成の墓誌が書かれた当時の唐の発音では、「ヂツボン」だった、のではないかと私は推測しています。言語学の古代中国語音声研究をきちんとやってのことではないので、古代中国語音声学を研究している人に確かめたいと思っています。
(漢字の読み方発音のうち唐音というのは、唐の時代の発音ではなく、鎌倉室町期に中国と交易していたころの「宋」を中心とした発音です。唐の時代の音声は、漢音)
現代中国語の発音では「日」はリーです。ヂ[di]と、リ[ri]の発音は似ている(調音点が同じ)ゆえ、日本語でも「di」と[ri]は、ときどき交替します。(英語のプディン(グ)→プリンなど)
ヂツボン→ヂッボン→ヂャッボン→ジャポン→ジャパン(英語Japan)
ヂツボン→ヂーボン→ヂーベン→リーベン(中国語のリーベン)
!

2006/02/09 木
日本語でも、「語源さがし」は、厳密な学術書から「面白語源学」「とんでも本」まで、さまざまな種類の本があります。日本語の語源本、問題点がたくさんあるので、要注意。
一般に流布している「語源」は、「猫はネずみをとる子だからネコという」という類の「民間語源説」や、「師匠が走り回るほど忙しい年末だから師走」のような「語源俗解」が多く、古い文献をあたっても、なかなか本当の語源を調べ尽くせません。
a*****さんからコメントをいただきました。ありがとうございます。
「 平安時代の発音には興味が湧きます。沖縄に日本の古語が多く残っているというのも面白いです。元のひとつの言葉が民族・地域・時間を経て変わっていくのも面白いですね。「日本」の語源は、なんでしょう?北京語:リーペン、広東語:ヤップン、・・・ヤーパン、ハポン、ジャポン、ジャパンJapan・・・
ポリネシア語の意味や発音が原日本語に近いという説が興味深いです。
投稿者:a****** (2006 1/28 1:15) 」
「沖縄方言には、日本語の古語が残っている」というa*****さんのご指摘はその通りです。が、他の方言にも、古語の語彙や発音文法が残っています。
ことばのファミリー論(言語系統)の中で、日本語に関して確実にわかっていることは、「アイヌ語は日本語とは異なる言語である」「琉球語(沖縄方言)は、日本語と同系統の言語である」ということくらい。沖縄方言を「完全な日本語の一方言」と言ってしまってよいかどうかは、また別問題。
琉球語首里方言「u音」は、ほぼ規則的に東京方言の「o音」と対応し変化しています。このように、ほとんどの語が規則的な音韻変化をする関係にある言語を「同じ系統の語」とみなすのです。
「身体部位の語など基礎語に、南方系のオーストロネシア語族(ポリネシア語など)との共通点がある。」
「アジア北方系言語(アルタイ語系)と、共通する文法がある」
などこれまでの研究によってわかったことは、ごくわずかなてがかりであり、言語学的に定説となるような決定的な「日本語の系統」論はまだありません。
「日本語の源流は○○である」「○○語と日本語は祖先が同じ」という説を見かけたら、とりあえず言語学的には「マユツバ」説だとおもってください。
日本語は、言語学的にはファミリーに所属していない孤児なのです。
去年、国立科学博物館で開催された「縄文vs弥生」展を見にいきました。
このことについては、カフェ日記「いろいろあらーな」2005/08/26、27、28に書きましたので、ご参照ください。
縄文人、弥生人、周辺民族との関係について、出土人骨のDNA研究などで、知見が増えました。
しかし、言語については、文献資料が残された時代についてはわかることも多いのですが、縄文語復元などは、言語学的な所見に基づいているとはいえ、あくまでも推測復元なのです。
古代のことば、周辺民族の言語のうち、文献資料が豊富に残っているのは、中国語だけです。中国語は日本語とはまったく系統の異なる言語です。


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