Workshop for Nipponianippon Communicative Language& Culture Studies




ポカポカ春庭のワークショップ
ようこそ世界のことばたち
日付
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世界のことばめぐり
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| 2006/03/02 |
24ヶ国のことば |
ことばの世界へようこそ |
| 2006/02/27 |
80ヶ国のことば |
世界一周ことばの旅 |
| 2006/07/30 |
ポーランド語 |
チャイとヘルバタ |
| 2006/02/07 |
ギリシャ文字 |
ξグザイ |
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2006/03/02
各国語版、ことばの世界へ「ようこそ!」
留学生たちに日本語を教えるようになって18年。日本語学校で6年、大学の外国語学部、留学生センター、国際教育センターなどで教えるようになって12年になります。
世界中、百カ国以上の国からやってきた留学生たちに、日本語を教えるうち、留学生からもたくさんのことを教わりました。留学生から学んだことばや世界の文化について、忘れないうちにメモしておきましょう。
まずは、「ことばの世界へようこそ」という気持ちをこめて、「ようこそ」のあいさつを各国語でお知らせします。
ラテン文字(ローマ字)で表記できるものは、ラテンアルファベットで、ロシア語とモンゴル語はロシアンアルファベット(キリル文字)で、あとは、残念ながら、カタカナ表記。カナカナ表記だけの言語は、独自の文字を持っている言語です。
| 言語アイウエオ順 |
ようこそ |
アルファベット表記 |
文字 |
| アラビア語 |
アルハバン |
・ |
アラビア文字 |
| イタリア語 |
ベンベヌート |
Benvenuto |
・ |
| インドネシア語 |
スラマッ(ト)ダタン |
Selamat Datang |
・ |
| ウルドゥー語 |
クシュ アーマーディード |
・ |
ウルドゥ文字 |
| 英語 |
ウェルカム |
Welcome |
・ |
| 韓国・朝鮮語 |
オソオセヨ |
・ |
ハングル文字 |
| カンボジア語 |
ソームスヴァーコム |
・ |
カンボジア文字 |
| スペイン語 |
ビエンベニードス |
vienvenidos |
・ |
| スワヒリ語 |
カリブ |
Karibu |
・ |
| タイ語 |
インディートンラップ |
・ |
タイ文字 |
| チェコ語 |
ビーターメ バース |
vitame Vas |
・ |
| 中国語 |
ホゥアン イン ホゥアン イン |
・ |
歓迎(又欠 迎) |
| ドイツ語 |
ヘルツリッシェンヴィルコーメン |
Herzlichen Willkommen |
・ |
| トルコ語 |
ホシェ ゲルディニズ |
Hos geldiniz |
・ |
| にほん語 |
ようこそ |
・ |
・ |
| ビルマ語 |
ライライレーレーチョーソーバーデー |
・ |
ビルマ文字 |
| ヒンディ語 |
アーイエー |
・ |
ヒンディ文字 |
| フランス語 |
ビアンヴニュ |
Vienvenue |
・ |
| フィリピン語 |
マブーハイ |
Mabuhay |
・ |
| ベトナム語 |
ノンニエット ドン チャオ |
Nog nhiet don chao |
・ |
| ポーランド語 |
ヴィタイ |
Witaj |
・ |
| ポルトガル語 |
セージャ ベン ヴィンド |
Seja bem-vindo |
・ |
| モンゴル語 |
タフタエトリルノー |
Tabtaй topилho yy |
モンゴル文字キリル文字
|
| ラオス語 |
ニンディートーンハップ |
・ |
ラオス文字 |
| ロシア語 |
ス プリィエズダム |
C приеэдом |
・ |
私が世界中のことばに通じているわけじゃありません。ひさしぶりに訪問した母校の文化祭で買った冊子の中のコピーです。上記の言語のうち24のことばを教える専攻があるのです。
スワヒリ語は、母校の専攻学科にもありません。25年前にわたしが習って覚えたケニアの公用語です。
ケニアにいたころ、知り合いの家を訪問して「カリブカリブ(ようこそ、どうぞお近くに)」と、招き入れられると、とてもうれしかった。わたしにとっては思い出ふかい挨拶のことばです。
「ことばの世界へようこそ、カリブー!」
2006/02/27
世界に言語がいくつあるか、知ってます?
母語としてその言語を話す人がいて、生活と社会を支える言語として存在する言語が地球上にいくつくらいあると思いますか。
答え、「わかりません」
または、「おおよそ1500から15000の間」あれま、なんておおざっぱなんでしょう。
言語学者によって、数え方がちがうので、「いくつある」と言えない。たとえば、『恋のマイラヒ』の紹介で記したモルドバ語。モルドバとルーマニアは別々の国家なので、ルーマニア語と別の言語と考えれば、モルドバ語とルーマニア語で二カ国語、言語はふたつになります。
しかし、このふたつの言語の差が大阪弁と京都弁のちがいくらいしかない、と知ると、それじゃ一方は一方の方言と言ってもいいんじゃないか、ということになる。
でもね。モルドバ人は「ルーマニア語はモルドバ語の方言」というし、ルーマニア人は「モルドバ語はルーマニア語の方言」というので、ひとつの語として、まとめて数えることも難しい。
同じファミリーのより近いふたつの言語を方言とみなすか、ふたつの国の別々の言語とみなすか、むずかしいところです。
ポルトガル語で話している人とスペイン語で話している人は、互いに相手の話している内容が分かるといいます。
しかし、スペイン語とポルトガル語、国が違い、歴史的な経緯もあり、やはり別々の言語と数えることになるでしょう。
中国語は、文字に書くとひとつのまとまった言語であるとわかりますが、耳で聞いただけでは、南方の広東語・福建語などと北京語のあいだには、スペイン語ポルトガル語のあいだ以上の差が存在しています。それでも、上海語や福建語を中国語のなかに含めない、ということはできない。広東語も上海語も中国語に含めて数えます。
ポルトガル語とスペイン語をふたつの言語として分けて数える基準でいけば、中国のなかにはたくさんの言語が存在することになりますが、中国政府は「断固、わが国の言語は中国語である」と言うでしょう。
日本語でもそう。
琉球語を一つの独立した言語とみる学者もいるし、日本語の一方言である沖縄方言とみなす言語学者もいる。
地球上に、かって存在した言語(死語)と、現在生きて使われている言語をあわせて、学者によって1500くらいと数え、学者によっては15000くらい、と数える。
一般的に言って、おおよそ3000種前後ある、という程度のおおざっぱな数え方しかできません。
3000くらいある世界の言語の中の、80言語を集めた『世界一周ことばの旅』は、堅苦しい言語学の学術的な言語コレクションではありません。
数の数え方、挨拶の仕方を基本として、詩の朗読、自国の概要の解説、ふたりの話し手による対話、など、さまざまな言語文化を2枚のCDにまとめてあります。
言語学を教えていただいた千野栄一先生は多方面の活躍をなさった方です。チェコ語を中心にスラブ語研究の第一人者であったほか、言語学の楽しいエッセイをたくさん書き、ユーモアたっぷりに言語学のエッセンスを伝えてくれました。
千野先生の仕事のひとつ、CD『世界一周ことばの旅』の監修。世界中の言語のコレクション。
録音に参加したのは、各国からの留学生、大使館員、大学語学教師などさまざまな人々。それぞれの人の部屋で個人的に録音したテープなどもまじっていて、ことばの録音の後方に犬の鳴き声が入っていたり、車の発進音が入っていたり、それがとてもおもしろかったりします。
『世界一周ことばの旅』のCDには、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアなどのさまざまな言語が集められています。
残念なのは、南北アメリカ大陸のネイティブの人の言語がないこと。ネイティブアメリカン(インディアン)のことば、南アメリカの少数民族のことばなどは録音されていません。
東京近辺に在住している留学生を中心に録音されたので、偏りがあります。
それでも、録音された80の言語を聞いていると、世界のさまざまなことばの表現に、心豊かな思いがこみあげてきます。
千野先生の解説もついています。ぜひ一度聞いてみて。CDを貸出している図書館であれば、このCDを置いてあるところもありますので。
『世界一周ことばの旅』に出てくるアフリカのコイサン族(日本では映画のタイトルからブッシュマン、コイサンマンなどと呼ばれてきた)のコサ語、この言葉を聞くことができる音源は、今のところこのCD以外には見つけにくいだろうと思います。
コサ語、独得の発音があります。
吸い込む息を使った言語音があるのです。吸い込む音を使う言語、他に知りません。
それから、舌を上あごにくっつけてから、はじいて鳴らす音。
コサ語のクリック音(吸着音)を含むおしゃべり、楽しい響きです。
他の言語は、吐き出す息を利用し、のどや歯舌唇口腔などで音を加工して、さまざまな音声を作り出します。
日本語では、吸い込む息のとき作られる音は「言語音」として使われていません。
吸着音を私たちが使うのは、失敗したときや困ったときに舌を前歯の裏にあてて「チッ」「チェッ」「ツェ」と表現するときの舌打ち音のみ。
「不同意の感情表現」「失意の感歎表現」だけに用いられます。
私が「失敗しちゃったなあ、チェッ、残念」と思っていることがあります。クリック音で、チェッ!チェッ!
1988年以来この仕事を続けてきて、やれなかったこと。
日本語教師をしてきて、これまでに80ヵ国以上の国の留学生と出会ってきました。
でも、日本語を教えることに精一杯で、留学生の母語について、録音をとってこなかったことです。
教室内で、自国のことばや文化についてクラスメートに発表する機会をつくるようにしていますが、日本語での発表を重視してきたので、それぞれの母語で話しているところを録音してきませんでした。
ひとりひとりの母語を録音しておいたら、個人的な80言語のコレクションができあがったのに。
いや、80以上になったことでしょう。私が出会ってきた留学生は、たいてい、家庭のなかで話している母語と、社会生活で話す公用語と、大学や大学院での教育と研究に必要な英語、最低3つの言語は読み書きできる人が多かった。
今期、私が受け持ってきた学生。
パキスタンのフミ、母語のバンジャビ語と公用語のウルドゥ語と英語を話す。フィリピンのジョセは、母語はセブ島のことば。公用語であるフィリピノ語(タガログ語)と、学校教育での英語を話す。
スエーデンのヤン、スエーデン語ノルエー語英語を話す。
ネパールのギア、ネパール語ヒンディ語英語。マレーシアのアリ、タミル語マレー語英語。
私がかって滞在した国でも、そうでした。ケニアでホームステイしたキクユ族の家庭では、家の中ではキクユ語、町の市場にいけばスワヒリ語、かって先生をしていたご主人は英語も話す。それも私のブロークンイングリッシュとは大違いのクイーンズイングリッシュ。
中国長春市に滞在したときも、朝鮮族の人は、家庭では朝鮮語、社会生活では中国語、内蒙古の人は、モンゴル語と中国語。ほとんどの人がバイリンガルなのでした。バイリンガルを「特別な人」としてありがたがるのは、日本くらいです。
世界の多くの地域の人々は、生活上ふたつみっつの言語をあやつらなければ、暮らしていけない。
英語しか話せないアメリカ人と、日本語しか話せない日本人、このふたつの国の人は、語学音痴。
日本語だけで生活でき、大学院までの教育を受けられる私たちは、便利といえば便利だけれど、あまりにも「他の文化や言語に理解がない」とも言える。他の言語を知ることは、そのことばの背景に広がる文化を知ることです。
留学生との18年間のおつきあいのなかで、楽しく学んできた世界のことばについて、メモをしておきたいと思います。
日本で学ぶためにやってきて、日本で暮らしている留学生たち。「日本の生活」と各国語で書いてみましょう。
アルクが出している「JーLife 日本に暮らす外国人向けのフリーペーパー」の表紙に出ている各国語での「日本に暮らす」の訳語をコピーしてみます。
日本に暮らす/在日本生活/イルボネ ソ サンダ/Living in Japan / Nakatira sa Bansang Hapones /
Vivir en Japon / Morau no Japao / Vivre au Japon / Hidup di Jepang / Song o Nhat
/ Das Leben Japan / Vivere in Giappone / Traiesc in Japonia / Me te Japan /
Japonya'da Yasamak / ЖИЗНЬ В Ялонии / Ялонд амЬдрах

(2006/07/31)
留学生の作文から教わった、ポーランド語の「お茶」をめぐって。
ある日本語教科書(中級読解)に、世界のことばの比較が載っています。
世界中にある5000の言語がそれぞれのことばをそれぞれに用いているなかで、おどろくほど似ていることばが、各国語の中にある、という話題です。
それは、「お茶」を表す単語。
現在の植物学研究では、お茶の木の源流は中国の雲南省の山岳地帯に自生していたものだろうと言われています。世界中のお茶は、中国から海やシルクロードをたどり、世界各地へと広まっていきました。
おおざっぱに分類すると、摘み取った茶葉を蒸して発酵を止め、煎じて飲むのが日本茶。茶葉を発酵(酸化)させたものが紅茶。半発酵にとどめたのが烏龍茶。
中国語は方言差が大きいことは、再三述べてきました。
「お茶」を意味する中国語、地方によってちがいます。
「お茶」を意味する語は、福建語(フーチェン語)では「テ(te)」、広東語(カントン語)では「チャcha」です。
日本語の「ちゃ」は、お茶を日本にもたらした中国語からきています。
日本語の「ちゃ」は、広東語と共通する「チャ」が源流にあります。
奈良時代以前、中国南方から伝わった語が日本語に入ってきました。この時代に伝えられた語には、広東語や上海語と共通している発音のものがあります。
北京語でも「チャー」、朝鮮韓国語「チャー」、モンゴル語「チャイ」、チベット語「ヂャ」ベンガル語「チャー」、ヒンディー語「チャーヤ」、トルコ語「チャイ」ギリシャ語「チャイ」、アルバニア語「チャイ」、アラビア語「シャーイ」、ロシア語「チャイ」ポルトガル語「チャ」
これらは、広東語から伝わっていったものと考えられています。
一方の福建語の「テ」から伝播した系統。
マレー語「テー」、スリランカ(セイロン)「テー」、南インド「ティ」、オランダ語「テーthee)」、英語「ティtea」、ドイツ語、「テー(Tee)」、フランス語「テthe」、イタリア語「テ」、スペイン語「テte)」、チェコ(チェック語)「テ」、ハンガリー語「テア」、デンマーク語「テ」、ノルウェー語「テ」、フィンランド語「テー」
この「お茶」の伝播は、ものが交易を通じて広まると同時に、それを指し示す「ことば」がいっしょに世界中に広まっていったようすを示していて、とても興味深いです。
世界で「茶」を意味する語のうち、ポルトガル語では、広東語系のチャであるのに、ポルトガルのお隣スペインでは福建語系のテです。
これは、ポルトガルが広東省マカオからお茶を輸入したのに対して、スペインは、福建省アモイから輸入したオランダを通して、福建語(ミン南語)の「テ」「テイ」の系統が伝わったからです。
日本語の茶の発音。
呉音(奈良時代以前に伝わった漢字発音)で「茶」の発音は「ダ」です。
日本語では、「ダ」という発音がお茶を意味することはないので、奈良時代以前には、まだ、お茶を飲む習慣が定着しなかったことがわかります。
奈良時代に「薬湯」としてお茶が中国から伝わっていたらしいですが、一般にはひろまりませんでした。
「茶」の漢音(中国唐時代長安の発音)では、「タ」です。遣唐使の時代にお茶を飲む習慣が広まったなら、日本語でのお茶も「タ」と発音していたことでしょう。
「お茶」「茶の湯」などの「チャ」という発音は、漢音と唐音の中間の時期に広東語系の「チャ」が、茶の葉とともに伝わったと考えられます。
鎌倉時代以後、栄西ら禅宗の僧たちが喫茶習慣を伝えてから、人々が「薬湯」ではなく、日常の飲み物としてお茶を飲むようになったと言われています。
「喫茶店」「茶道」などというときの、「サ」という字音は唐音(鎌倉室町以後に伝わった漢字発音)です。
広東語チャ系統の語を持つ言語は、昨日記載した言語のほか、「チャ」:ベトナム語、タイ語、タガログ語、ネパール語、ペルシア語
「チャイ/シャイ」ブルガリア語、ルーマニア語、セルビア語、セルビア・クロアチア語、スロバキア語、ウクライナ語
福建語テー系統の語を持つ言語は、昨日記載した言語のほか、
「テー/ティ」イディッシュ語、ヘブライ語、ラテン語、スウェーデン語、フィンランド語、エストニア語、ラトビア語、アイスランド語、アルメニア語、インドネシア語、タミル語
中級日本語教科書に掲載されていた「お茶」という語をめぐる文章、放送大学教材に記載されていたものからの、抜粋引用です。(小林彰夫・宮崎基嘉『食物と人間』より)
さて、留学生から教えられた言葉。ポーランド語の「お茶」について。
この教科書の記述に対して、ポーランド語母語話者の留学生から異議申し立てがありました。
日本語教科書の各国語版「お茶」の単語表をみて、ポーランドのアンナが「先生、これはちがいます。ポーランドでは、お茶をこう言いません」と主張したのです。
教科書に載っていたポーランド語の「お茶」は、広東語系の「チャイ」です。
アンナの説明によると。
「ポーランドは歴史的にロシアとの関わりが強かったので、ポーランド語にロシア語からたくさんの語彙が入ってきました。
この、教科書に載っている、ポーランド語のチャイ(tsai)ということばも、もとはロシア語のシャイ・チャイ(czay)からきています。
ポーランドの人々は、チャイということばを聞けば、それが「お茶」を意味する語だと、皆わかります。わかりますが、それは自分たちの日常生活でのことばではありません。
ポーランドの人は、日常生活で、お茶を飲むときは「ヘルバタherbataを飲む」と言います。
ヘルバタのヘルバは、英語のハーブherbと同じ。語源は「葉」を意味する。「タ」は、英語のティteaと同じです。
英語のハーブティはお茶の葉ではない植物を用いたカモミール・ティなどをさしますが、ポーランド語では、お茶の葉を用いた飲み物がヘルバタです。
日常飲む「お茶」にあたるのは、こちらのヘルバタです。」
以上が、ポーランド語母語話者アンナの説明でした。
な〜るほど!
ポーランド語について知っている日本人はそう多くはないから、放送大学教科書に「ポーランド語ではお茶をチャイという」という記述があれば、そう信じてしまいます。
確かに、ロシア語の影響が強い公式文書などでは、お茶を「チャイ」と書いたものがあるのかもしれません。でも、それは、ポーランドの日常生活での「お茶を飲む」とは異なる、とアンナは言うのです。
外交などの公式な場での「チャイ」と、日常生活での「ヘルバタ」。ことばの微妙なちがいを、アンナに教えられました。

(2006/02/06)
ギリシャ文字(1)ぐざいとシグマ
ワープロソフトを利用していて、思いも寄らない文字に変換されるときがあります。
春庭bbsに正月に食べたものの話を書いていたときのこと。
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Re:美味しかったよ〜
by haruniwa
うちでは、おせち料理、一日目二日目は和風ですが、3日目は「おせち、そろそろ飽きたね」ってことで、洋風&エスニックデーになりました。
今年は、主菜がチーズフォンデュ、具材は、フランスパン、ブロッコリー、ジャガイモ、アスパラガスなどでした。
副菜はメキシコ風トルティーヤ。薄いお好み焼き(クレープみたいな)の中に、トマト、レタス、ローストビーフ、スモークサーモンを包んで食べる。
どちらも、おいしかったです。
2006-01-22
10:23:35
==============================
という、他愛ない話だったのですが、びっくりしたのは、チーズフォンデュの「ぐざい」と入力したら、いきなり「ξ」が出てきたこと。
見慣れない文字。キリル文字(ロシア文字)とはちがうな、たぶんギリシャ文字と推理して、確かめると、はたして、ギリシャ文字のひとつでした。
何種類かのアルファベットの中でも、ラテン文字(ローマ字)は日本語にも利用されています。
アルファベットの語源は、ギリシャ文字の「アルファ」+「ベータ」→アルファベータ→アルファベット。
アルファベットには、さまざまな種類があります。源流はシナイ半島で書かれはじめた文字。
原始シナイ文字→フェニキア文字→ギリシャ文字→ラテン文字(ローマ字)、キリル文字など。
日本人は、ラテン文字(ローマ字)だけをアルファベットと思っていますが、ロシア語のキリル文字も、ギリシア文字も、全部アルファベットです。
仮名文字に平仮名とカタカナがあるのと同じように、アルファベットにも、ラテン文字やキリル文字がある。
仮名文字がどちらも漢字をもとにして作られたように、アルファベットの各種は、どれも原始シナイ文字、フェニキア文字を元にして作られました。
ラテン文字のアルファベットは、日本語のローマ字表記で使うし、中学校で英語を習うと、英語の文字として、義務教育で読み書きします。
しかし、ギリシャ文字は、いくつかは日常生活でお目にかかるものの、グザイ「ξ」は、ぜんぜん知りませんでした。
ギリシャ文字のアルファαは、「プラスアルファ」という外来語として日本語語彙のひとつになっている。ベータβは「ベータカロチン」などでなじみがあります。
そのほか、私がなじんだギリシャ文字は、以下の程度です。
「ガンマ=γ」、電磁波のひとつ。癌コバルト照射治療ガンマ線でなじみ。医療関係者だけでなく、一般の人も「ガンマ線」と聞くと、なんだかすごい治療をしているんだな、と思う。
地図で見る河口三角州を、デルタ地帯と呼ぶのは、ギリシャ文字デルタの大文字が「デルタ=Δ」だから。小文字は「δ」。
電気でなじみのオーム「Ω」。オームの法則ってならったなあ。カンペキ忘れました。
ギリシャ文字のP・ρの読み方は「ロー」であって、「ピー」はΠ・πなので、ややこしい。
円周率のパイ「π」は、ギリシャ文字「ピー」の別名「パイ」だ。
円周率の3・14をいちいち計算しなくてよい「π」と書いておけばよいと言われたときは、面倒な計算が減ってうれしかったが、高校数学で「シグマ=Σ」が出てきてから、私の頭にとって数学は宇宙語になった。理解できる方々、尊敬しています。
ギリシャ文字(2)パイとファイ
日本製のロケットの名前。「カッパ=κ・Κ」「ミュー=μ・Μ」「ラムダ=λ・Λ」
パナソニック製のデジタルハイビジョンテレビの製品名は「タウ=T」これも、ギリシャ文字の読み方から。日常生活で見かけたギリシャ文字、もうこれくらいかな。
ギリシャ文字の読み方、4種類あります。古代ギリシャ語読み、現代ギリシャ語読み、英語読み、日本語慣用読み。
日本語慣用読みは、ギリシャ語読みを取り入れる文字と英語読みを取り入れる文字が混じりあっています。
「α・Α」は、古代ギリシャ語読みではアルパ。現代ギリシャ語読みだとアルファ。「δ・Δ」は、現代ギリシャ語読みだと、ゼルタだが、日本語慣用読みは、古代ギリシャ語読みと英語読みのデルタ。
「ι・Ι」は、英語読みアイオタ、現代ギリシャ語読みはヨタだが、日本慣用読みは、古代ギリシャ式のイオータ。「π・Π」は、ギリシャ式はピーだが、日本語慣用読みは、英語式のパイを採用。
「ξ・Ξ」は、ギリシャ語読みと日本語慣用読みはクシー、英語読みだとグザイ。
ギリシャ文字Ωは、日本語慣用読みは英語式で「オメガ」。現代ギリシャ語読みだとオーメガ。
昨日紹介した電気抵抗の「オーム」とは、Ωの文字の読み方ではなくて、人名です。
オームの法則を発見したドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オーム(Ohm)にちなみます。
電気抵抗単位としてオームの名を採用するにあたって、頭文字「O」は、数字の「ゼロ」と紛らわしく、単位記号なのか数字なのか、区別するために、ギリシャ文字Ω(オメガ)をオームと呼ぶことにしたのです。
a******さんからのコメント、ありがとうございます。
「 時計のオメガ Ω とオーム Ωと一緒ですね。・ω・
シグマは、○菱自動車のΣ がありましたね。
仕事で使う円の直径はパイというのにファイφを使うのが解せません。
投稿者:a*****
(2006 2/6 17:31)
」
ファイΦ・φは、見たことあったけれど、なんだったっけかな、そうだ、音声学でいう両唇摩擦音の国際音声記号だっ。思い出せてうれしい日本語教師。
日本語だと「ふ
/ f /
」の発音だと思い出したが、確認のためにチェックすると。日本語慣用読みは、英語式ファイ。ギリシャ語読みフィーの「φ」、さまざまな記号として利用されている。
・音声記号として、「φ」は「無声両唇摩擦音」をあらわす。
「そう、そう、やっぱりねっ。りょうしんまさつおん!」
・建築では、管の直径をあらわす。200φ=直径200mm「にひゃくぱい」と発音される。
「へぇ!そうなんだあ。建築関係のお仕事をなさっているa*****さんも、直径200mmを200パイと呼んでいるんですね。」
数学でπ(パイ)とは3.
1415926535 8979323846 2643383279
..........のことだから、もし「200パイ」が「200π」のことなら、200×3.14のことになってしまい、直径200mmのことじゃ、なくなってしまいます。
「φ」は、「直径」を意味する記号です。
昔の人は「ファイ」という発音が難しかった。「フィルム」と発音できないから、「フイルム」と発音したように、直径をあらわす記号「ファイ」を「パイ」と発音し、それが現代まで慣用読みとして引きつがれているのだと思います。
建築用語の「200パイ」は、「直径200」という意味です
ファイとぐざい
・φは、アスキーアート顔文字で、筆記具を持った手を表現するのに用いられる(例:φ(..))
「ふ〜ん、使ってみよっかな。私、毎日φ(..)しています」
・数学で空集合を表わす「
Oに斜め線」の文字の活字がない場合に、φを代用記号として使用することがある。又、しばしば黄金比の記号としても用いられる。
「空集合って何?黄金比って、聞いたことあったなあ、3:2?4:3?8:5?16:10?あれ、いくつだったっけ」
・電磁気学で、φは磁束密度を表す。
「磁束密度?なんじゃそりゃ」
小文字のφは、
・素粒子物理学で、ストレンジクォークとその反クォークからなる中間子 (ss
二つ目のsの上に-がある)を表す。
「? ??」
・量子力学では ψ とともに波動関数を表す。
「うわぁ、すごいことになってきた。ストレンジクォーク?波動関数?、、、、ううっ、わからん。」
φだけでも、なかなか頭に入りません。
さて、「ξ=グザイ」ですが、ギリシャ読みは、クシー。
数学や物理学をやっている人には、なじみの文字らしいのですが、私には見たことも聞いたこともない文字でした。
数学と物理は、私にとってもっとも縁遠い存在です。
チーズフォンデュの具材について書いたおかげで、「ξ」とめぐり会いました。
チーズフォンデュの具材、パンも野菜もいけますよ。食わずぎらいはいけませんね。って、これからも物理学を食う気はなし。
世界の文字、現在日常生活に使われている文字は28種類。
漢字ひらがなカタカナ、ラテン文字(ローマ字)のほか私が習ったことがある文字は、韓国朝鮮語のハングル文字、タイ文字、アラビア文字の3種類のみ。
書くところを目にした文字は、たくさんあります。私の知らない文字や忘れた文字を使う言語の留学生が自己紹介するとき、黒板に名前を自分の文字で書いてもらうことにしているからです。皆、誇らしげに自分の文字を書きます。
パキスタン留学生のウルドゥ文字、カンボジア留学生のクメール文字、ラオス留学生のラオ文字、ミャンマー留学生のビルマ文字、モンゴル留学生のモンゴル文字。モンゴルでは普段はロシア文字をつかっていて、モンゴル文字で書けるのは自分のなまえだけだったが、、、、、
ギリシャ文字を書くギリシャ留学生に出会ったのは、これまでにひとりだけでした。たしか、名前の文字に「ξ・クシー(グザイ)」は含まれていなかった。
ヘブライ文字を書くイスラエル留学生、ふたり。
ギリシャ文字、ヘブライ文字、そして、イスラエル国籍のパスポートを持って入国したパレスチナ人留学生が書いたアラビア文字、それぞれの文字に自分たちの母語と言語文化への誇りがあふれていました。
t*********さんからのコメント、ありがとうございます。
『 ギリシャ文字の読み、「アルファ、ベーター、ガンマ、デルタ・・・」の起源はヘブライ語で、「アレフ、ベツ、ギメル、ダレツ・・・」から借りた物です。
投稿者:t*********
(2006 2/6 20:34)
』
ことばと文字は、文化にとって大切な宝物。どの言語も、どの文字も大切にしていきたいです。
世界の文字については、 http://www.nacos.com/moji/ のサイト、充実しています。
じゃ、明日もせっせとφ(..)
しますね。
<おわり>

2003/05/13
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