陶器を作ったのはどんな人?
では六世紀から四世紀のアテネの陶器を例に説明しましょう。アテネでは陶器はろくろを使って陶器を作る陶工とそれに絵を描く画家によって作られました。もちろん一人で両方をこなす人もいたようです。こうした陶工や画家の中には自分の名前を陶器に記すものもいて、自分たちの仕事に誇りを持っていたことが分かります。
一般的には画家よりも陶工のほうが身分が高かったようで、陶工には裕福な人も多かったのに、画家の中には外国人や奴隷も多くいたようです。また大規模な工房になると経営者が実際の作業にはあまり手を出さずに、多くの陶工や画家を抱えて運営していたと考えられています。こうした画家や陶工たちの工房はアテネ中心部から西に外れたケラメイコスと呼ばれる地区に集中していました。
こうしたアテネの工房の多くが陶器の生産を専門の職業としていたと考えられているのに対して、輸出用ではなく主に地元地域で使うための簡素な陶器を生産するようなギリシア各地の小さな工房の多くは農作業の忙しくない時期にだけ陶器を作っていたと考えられています。