Wild Goat Style
イオニア北部地域でWild Goat
Styleが描かれるのはキオスと同じかやや遅れて、イオニア南部のWild
Goat Style II期にあたる[1]。その様式は大きく二つに分けられ、一方がクラゾメナイで製作されていたことはほぼ明らかだが、もう一方についてはまだ解明されていない。
両派ともにMiddle II期にあたる例は少なく、その多くはLate
Wild Goat Styleと呼ぶべきものであった。その最大の特徴は随所に黒像式の技法を取り入れた刻線描写が見られることで、コリントスを模した黒像式とWild
Goat Styleが同時に描かれることもあった。その場合、黒像式のほうが重要な部分に描かれ、その動物は明らかにコリントス式を真似たものだが、器形はまったく異なり、またイオニア南部のものとも少し違っている。オイノコエのほかにもオルペ、アンフォラなども作られた。またディノス(図1)も多く、特に半球状の鉢が数多く生産された。このほかにもプレートや浅鉢状の陶器も作られている。
図1
外面の一部に黒地に白で描かれた部分があるのも特徴であり、また空間充填文も南部のものに比べて密度が高い。連環文やロータス文、メアンダー文がよく用いられたが、南部のものよりも雑で、またロータスのつぼみの代わりにパルメットが描かれることもあった。
その出土地は多岐にわたり、アイオリス地方やエフェソス、サルディスなどのほか、アルミナやナウクラティス、トクラなどの地中海東・南岸地域、さらにはオルビアなどの黒海地方で出土しているが、本土および西方ではアイギナを除けば極めてまれである。
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イオニア地方北部については、Cook,R.M.
East Greek Pottery (1997)参照。 |
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