建材の調達と基礎工事


神殿を築くにはまず建材が必要となりますが、アテネのように近隣に大理石を産する土地は別として、多くの都市では地元で取れる石灰岩を用いてこれに大理石の粉を塗るか、大理石を輸入するかしなくてはなりませんでした。石材を切り出す方法としては、適当な大きさを決めてそのラインに沿っていくつか穴を空け、そこに乾燥した木のくさびを打ち込んでそれに水をかけ、その膨張によって割るという方法が用いられたのではないかと考えられています。切り出した石材は何十頭もの牛によって運ばれ、アテネにはペンテリコン山からの道に石畳が敷かれていました。

神殿の建設にはまず基段が据えられるのですが、アテネのアクロポリスなどのようにあまり広くない聖域では新しく神殿を建てようとすると基礎工事から始めなくてはならないことがよくありました。パルテノン建築のためにはアクロポリスの南斜面を埋め立てる必要があり、北側がほとんど地山に建っているのに対して、南側には十メートル以上の高さにまで石材が基礎として積み上げられています。