一家に1台しかないお茶の間のテレビの前に家族の団欒があった60年代。ビデオもファミコンもない時代に、テレビは純粋に、電波で送られてくる1回限りの映像を見るためだけの箱でありました。大人も子供も、その1回限りの映像を瞼に焼き付けるべく、一生懸命テレビの画面に見入ったものです。その最大のイベントが大晦日のNHK紅白歌合戦でありました。キラ星のごとき人気歌手たちが一堂に会する最高の音楽番組として、歌謡曲全盛時代でもあった60年代の紅白歌合戦は、間違いなく国民的行事でありました。
歌謡曲が往時の輝きを失い、ウォークマン全盛の今、音楽は個人の鼓膜に密着したイヤホンから聞くものとなって、空気を震わせる音の響きと感動を共有する機会も奪われ、世代を超えてヒットする歌は姿を消してしまいました。「お化け番組」と畏怖された紅白歌合戦も、かつてのようなトキメキを感じながら待ちわびるイベントではなくなってしまったのが、残念でなりません。
そんな紅白歌合戦に、今、改めてエールを送ると同時に、偉大な番組で私達を楽しませてくれた当時の関係者の皆様に感謝の気持ちをこめながら、紅白歌合戦の輝ける黄金時代を振り返ってみたいと思います。
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