伊賀の影丸
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再び、『週刊少年サンデー』に連載されたいた頃の「伊賀の影丸」に話を戻しましょう。上で紹介させていただいた『別冊プレイコミック〜帰って来たヒーロー特集・ビッグまんがBOOK』には、横山光輝の話も掲載されていますので、そのまま採録してみます。
「この『伊賀の影丸』は、手塚治虫先生の『鉄腕アトム』や、ぼくの『鉄人28号』のようなSF漫画(当時は冒険科学漫画などといっていた)に人気があった頃に『少年サンデー』に登場した作品です。依頼した出版社も、ぼくにSFを描いてもらいたかったようです。ところが、ぼくが忍者物を描きたいと言い出したので、最初は出版社側も難色を示したものでした。だが、発表してみると、意外に公表を博し、描いた僕も、ほっとしたものでした」
「伊賀の影丸」は、現在も、秋田書店から出ている単行本が古本屋で入手できますし、秋田漫画文庫なら、通常の書店でも購入できるのではないかと思いますが、一応、作品そのものについて説明しますと、物語は全体で9部作となっています。第1部から発表順に並べると、「若葉城のひみつ」「由比正雪の巻」「闇一族の巻」「半蔵暗殺帳の巻」「七つの影法師の巻」「地獄谷金山の巻」「邪鬼秘帳の巻」「土蜘蛛五人衆の巻」「影丸旅日記」ということになりまして、今、こうして書き出してみると、やはり、タイトルを見ただけでも、胸をときめかせながら読んだ当時のわくわくした気持ちが甦ってきます。
さらに、この『別冊プレコミ』によりますと、もう一本、少女版ともいうべき「胡蝶の巻」というのもあるそうで、16ページの短編ながら、百姓一揆にまつわる物語は、『伊賀の影丸』のインサイド・ストーリーとしても異色のものになっている」そうで、何とか入手して読んでみたいものだと思っています。
もう一つ、当時の記憶を引っ張り出して書かせていただきますと、「伊賀の影丸」が『週刊少年サンデー』に連載されている頃、確か、2カ月に1度くらいの頻度だったと思いますが、「伊賀の影丸」の総集編のような『別冊少年サンデー』というのがあって、雑誌の帯に影丸のシールがついていたり、巻頭に厚紙の影丸ゲームなどというのが付録としてついていたりして、時々、購入して、本を読むだけでなく、シールやゲームで遊んだりしたのを思い出します。今は単行本というのがありますが、少なくとも、昭和30年代には、まだ、連載漫画が単行本化されるというようなことはなく、こうした別冊なんかが、単行本の役回りを果たしていたわけです。光文社も、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」などの別冊を“カッパコミックス”とかいうネーミングで出しており、こちらも、雑誌の帯にシールがついていたのを覚えています。また、昭和30年代の後半には、集英社が出していた月刊漫画雑誌の『少年ブック』には、別冊付録の漫画を厚くしたような感じの“まんが新書”という新書版の付
録がついていて、他社の雑誌で掲載されていた漫画でも、過去に人気の高かったものを単行本風にまとめたものがあり、ここら辺が、単行本化への一つの布石となったような記憶もあります。
ちなみに、1966(昭和41)年11月から「伊賀の影丸」の後を受けて、同じく『週刊少年サンデー』に連載されたのが「飛騨の赤影」でした。これは、既に、この「60年代通信」ホームページ版の「60年代のテレビ」でも紹介させていただいている「仮面の忍者・赤影」のオリジナル漫画バージョンであります。漫画の方は、「伊賀の影丸」の後を受けて「飛騨の赤影」という、いかにも二匹目のどじょう風なタイトルでしたが、私自身も、依然に書かせていただいた通り、「赤影」については、『週刊少年サンデー』に連載された漫画よりも、特撮時代劇として画期的だったテレビドラマの方が印象に残っています。
「伊賀の影丸」は、さきほども書かせていただいた通り、我が家のように、平成の現役小学生である娘や息子も、熱中して読みふけるほどの漫画ですから、やはり、昭和を代表するというか、60年代を代表する名作漫画の一つであることは間違いないのだろうと思うわけであります。
『別冊太陽・少年マンガの世界U』は、この「伊賀の影丸」の少年マンガ史における役割を次のように意義づけています。
「忍者マンガをスタートさせたのはまちがいなく白土三平であったのだが、少年マンガに忍者を定着させ、ブームに火をつけたのは横山の『伊賀の影丸』だった。そこには味方の忍者と敵方の忍者が、さまざまな忍法を使って闘うゲーム的面白さがあった。ユニークなキャラクター、驚くべき秘術、スリリングな闘い、生き残るのは誰かという興味、まさに少年マンガにうってつけのスマートなエンターテインメントとして子どもたちを魅了したのだ」
「道具と技、体術を駆使する忍者は、忍術使いと違ってよりリアルなスーパーマンであり、スピード感あふれるアクションの連続と闘いの面白さは、少年マンガの行く道を示していた。のちに『少年ジャンプ』で繰り広げられる永遠のトーナメント制の闘いの原型は『伊賀の影丸』の中に見ることができる」
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