60年代のマンガ

少年忍者・風のフジ丸        

 月刊少年漫画雑誌『ぼくら』に連載されていた時代劇漫画「少年忍者・風のフジ丸」は、私の最も好きな時代劇漫画の一つでした。手元に資料がないため、正確な連載時期は不明ですが、連載と同時にテレビでもアニメ化されたのは、私が小学校4年生くらいの頃だったと思います。
 物語は、「竜煙の書」と呼ばれる忍術の極意が記された巻物をめぐって少年忍者“フジ丸”が活躍するという、比較的シンプルなものだったと記憶しています。フジ丸の得意技は、“木の葉隠れ”や“火炎の術”などで、先行していた人気忍者漫画「伊賀の影丸」と似た術を使いこなしていました。
 私が月刊の漫画雑誌を買い始めたのは、小学校4年の頃からで、最初は、この「少年忍者・風のフジ丸」を連載していた『ぼくら』を買っていたものです。

当時、月刊の漫画雑誌には、たくさんの付録が付いていたものですが、私は、なんで“竜煙の書”を付録に付けてくれないのかなと思っていました。“竜煙の書”が付録に付くのを夢にまで見たほどで、確か、この年だったと思いますが、お正月号で本当に“竜煙の書”が付録になり、大喜びしたのを覚えています。しかし、実際に、買ってみると、漫画の付録ですから、当然と言えば当然なのですが、“竜煙の書”というよりは“蛇煙の書”といった安っぽい感じで、がっかりしたのも覚えています。この「風のフジ丸」の連載が終わってからは、私が購入する月刊漫画雑誌は、「少年ジャイアンツ」や「ビッグX」などが掲載されていた月刊少年漫画雑誌『少年ブック』に変わりました。

 「風のフジ丸」のテレビ・アニメの主題歌は次のような歌詞で、ロカビリー歌手として一世を風靡した鹿内タカシが歌っていました。

 時は戦国嵐の時代 でっかい心で生きようぜ
 風吹きまくれ吹き荒れろ 微塵隠れだ 火炎の術だ
 悪い奴らを やっつけろ
 フジ丸 フジ丸 風のフジ丸 少年忍者

 で、全然、漫画とは関係ない話ですが、この主題歌を歌っていた頃の鹿内タカシのバックバンドを務めていたのが、後年、私がファンクラブにまで入ることになるブルーコメッツでした。鹿内タカシは、この後、米国に歌手留学し、ブルコメは、尾藤イサオなどのバックバンドを経て、歌手デビューを果たすことになります。



 で、もう一つ、このフジ丸にまつわる思い出話を書かせていただきますと、テレビ・アニメのスポンサーはフジサワ薬品という製薬会社で、テレビ版では主題歌の最後に、「フジサ〜ワ、フジサ〜ワ、フジサワやくひ〜ん」という決めのフレーズが入っていました。私が持っていた朝日ソノラマの「風のフジ丸」のソノシートなんかでは、ここのフレーズは「ふじま〜る、ふじま〜る、風のふじま〜る」と変えられていました。

 私の同級生が、ある日、この「風のフジ丸」のシールを持っていて、どうやって手に入れたのかと聞くと、フジサワ薬品の新聞広告に試供品提供の告知があり、それに葉書を出したら、試供品と一緒に送られてきたということでした。
 そこで、私も早速、フジサワ薬品の新聞広告を探し出し、「試供品をご希望の方は官製ハガキに『試供品送れ』と書いてお送り下さい」とか書いてあったので、買ってきたハガキに「試供品送れ」と書いて出しました。
 何日かして、フジサワ薬品から中身で膨らんだ封筒が届き、喜んで開けてみましたが、試供品しか入っていません。何かの間違いなんだろうと思い、もう一度、「試供品送れ」と書いて送ってみましたが、また、試供品しか送られてきません。何度かハガキを出したと思いますが、何度出しても、本当に、試供品しか送られてきませんでした。
 製薬会社の方も、何度も同じような拙い子供の字で「試供品送れ」と書かれたハガキが来たのを不信に思ったかもしれません。私も、素直に、「風のフジ丸のシールを送って下さい」と書けばいいものを、「シールは別にどうでもいいんだけどね…」という斜に構えたところもあるヒネた子供でしたので、結局、手元に残ったのは、訳の分からない試供品ばかりで、結局、「風のフジ丸」のシールを手に入れることは出来ませんでした。
 「少年忍者・風のフジ丸」は、そういう悲しい思い出と共に記憶されたマンガでありました。 

[このページをご覧いただいた皆様へ]
 このページをアップしたのは、1997年11月23日のことでありましたが、昨日(1998年9月28日)、SSさんから、テレビの「風のフジ丸」の番組の終わりの部分でやっていた「忍者教室」の先生の名前などについてEメールで情報と画像をいただきました。この「忍者教室」をめぐっては、「60年代の謎・ナゾ・なぞ」のコーナーでも話題になってきており、SSさんからのEメールは、この「ナゾ」コーナーの質問にお答えいただいたものです。「60年代の謎・ナゾ・なぞ」のコーナーは、こちらをクリックして下さい。










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