キャプテン・ウルトラ
品川区のITさん、お待たせしました。資料が別宅の押し入れの奥深くにしまわれていたりする関係で、材料を揃えるのに時間がかかってしまい、2月12日にEメールを頂戴してから、1カ月も経過してしまいましたが、今回は、「キャプテン・ウルトラ」を取り上げさせていただき、ITさんの記憶の中でモヤモヤし続けていた曖昧な部分や疑問の解消に役立てていただければと思います。
まず、番組の題名ですが、ITさんのEメールでは、「キャプテン・スカーレット」となっておりましたが、確かに、そういう題名の番組もありましたが、“バンデル成人”に言及されておりましので、恐らく、「キャプテン・ウルトラ」のことを思い浮かべながら、題名については、「キャプテン・スカーレット」と混同されているのではないかと推察されます。
話の進行の関係上、2月12日にITさんからいただいたEメールの関連部分を引用させていただき、それを踏まえた上で、今回の「キャプテン・ウルトラ」の話を進めさせていただこうと思います。
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「そのほか、お菓子関連で、当時一般的で今みかけなくなったのは、爪でこする形式のシールです。『キャプテンスカーレット』のガムの内袋(各ガムを包んでいる紙)のうちの一枚がこのシールで、茶箪笥にこすりつけて母に怒られておりました。『キャプテン』に限らず、ガムのおまけといえば、この『こすりつけタイプ』のシールでした。ああ、黄金バットのガムもありましたっけ。 ごめんなさい!なんだか記憶が暴走しはじめております・・・。
ところで、話が飛んでしまうのですが、実はこの『キャプテンスカーレット』関連の記憶が曖昧で、誰か教えてくださらないかと常々思っていることがあるのです。たしか『キャプテンスカーレット』だったと思うのですが、そこでの登場人物(?)で、頭と手足の先がキノコのようになっている宇宙人の名前を、どなたかご存じないでしょうか。たしか『バンデル星人』だったと思うのですが、確信がないのです。いつもこのあたりを思い出すたび、もどかしく感じております」
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ということで、まず最初に、「キャプテン・ウルトラ」と「キャプテン・スカーレット」の違いを整理しておく必要があると思いますが、「キャプテン・ウルトラ」は「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続く、いわゆる“ウルトラ・シリーズ”としてTBSによって企画されたものですが、「ウルトラQ」「ウルトラマン」が円谷プロの制作だったのに対し、以前、このコーナーの「仮面の忍者・赤影」でも紹介させていただいたように、「キャプテン・ウルトラ」の制作に当たったのは東映でした。ですから、いわゆる“ウルトラ・シリーズ”の系列からは外れるもので、ウルトラマン・フリークなどの間では、「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」の間の“つなぎ作品”というような言われ方をされておりまして、どちらかというと、冷たい扱いをされてきているのが実情です。
一方、「キャプテン・スカーレット」は左の画像を見ていただいても分かるように、あの「サンダーバード」と同じような外国の人形劇です。左の画像は、『週刊少年サンデー』(1967[昭和42]年10月29日号)の表紙を拡大したもので、テレビ放映に先駆けて、この号から写真と絵物語を組み合わせたようなマンガの連載が開始されています。
同じ号には、何れ「60年代のお菓子」のコーナーで取り上げさせていただこうと思っているシスコのキャプテン・ウルトラ・チョコレートの広告なども掲載されているほどで、「キャプテン・ウルトラ」と「キャプテン・スカーレット」は題名が似ている上に、時期的にも完全にダブッていたようで、幼ないITさんの記憶の中でイメージが重なってしまったのも無理からぬところかなという気もするわけです。
毎度のことながら、今回も、前振りが異様に長くなってしまいましたが、この辺りから、本題の「キャプテン・ウルトラ」そのものに入っていきたいと思います。
手元の資料によりますと、「キャプテン・ウルトラ」がTBS系列で放送されたのは、1967(昭和42)年4月16日から9月23日までの半年間だけでした。TBSのウルトラ・シリーズということでは前作に当たる「ウルトラマン」が1966(昭和41)年7月から1967(昭和42)年4月までの10カ月間だったのに比べると短いもので、私の印象としても、「ウルトラQ」や「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などに比べると、かなり薄いものとなっています。
私の記憶では、番組の作り自体も、例えば、特撮のセットや技術にしても、東映が昭和30年代に制作した「宇宙大戦争」などの雰囲気が色濃く漂っていたような気がしますし、円谷プロの作品とは、かなり異質なものを感じていたように思います。それと、今に思えば、放送が春から夏にかけてだったということですから、当時、小学校6年生で、野球部一筋の生活に入っていた私自身、この番組は最初の数回しか見ることが出来なかったというのが実情かもしれません。
そうした私の事情もありまして、番組のストーリーなどは、ほとんど覚えていませんので、例によりまして、『名盤復刻!朝日ソノラマ・特撮テレビ映画全集』(コロンビア・レコード)の解説書から、制作の経緯や物語についての説明を引用させていただきます。
「TBSは空想特撮シリーズ第2弾『ウルトラマン』を3クールで終了させ、昭和42年春より第3弾『キャプテンウルトラ』を東映東京制作所に依頼した。『キャプテン・ウルトラ』も『ウルトラマン』同様に特撮怪獣ものではあるが、21世紀後半の宇宙を舞台に宇宙警察パトロール隊のキャプテン・ウルトラ、万能ロボットのハック、キケロ星人、ジョーの活躍を描いた作品。愛機シュピーゲル号を駆って侵略者バンデル星人の操る怪獣や超メカと戦う。東映お得意のアクションをフルに活かした宇宙SFドラマで、シュピーゲル号が3機に分離、合体する「D3作戦」は、後の合体ロボットものの先取りでもあった。全24話中、前半の12本が「バンデル星人シリーズ」、後半が「怪獣ぞくぞくシリーズ」で合計24本製作され、後を円谷プロの『ウルトラセブン』に譲った」
主題歌や挿入歌、BGMなど番組の音楽は全て富田勲が担当していたということで、シンセサイザーと宇宙ものの組み合わせも画期的だったのかもしれません。解説書によると、米国のテレビ映画で日本でも放映され人気の高かった「宇宙家族ロビンソン」のイメージソングも富田勲の作曲によるものだったそうです。
右の画像は、バンデル星人のテレビ画面とソノシートの企画ページで、バンデル星人の素性を明らかにするため、ソノシートに収録されているキャプテンウルトラとジョーの会話を紹介させていただきます。
「ジョー、バンデル星人はどこから来たのだろう?」
「銀河系の何億光年も向こうにある宇宙から太陽系を征服するためにきたのです」
また、バンデル星人自らの言葉も出てきます。
「ワレワレノ、バンデル星ハ、マモナク、ホロビルノダ。ダカラ、地球人ヲミナゴロシニシテ、コノ太陽系宇宙ヲ占領シ、ワレワレハココニ、文明ヲキズクノダ」
左の画像は朝日ソノラマのソノシートですが、このソノシートは実写ものだったテレビのスチールではなく、全編、中西立太という人の絵が描かれて
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