◆PSU-Po2 練磨の果てに行き着く先とは −最強理論の考察コラム−

最終更新日:2012年1月1日

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PSU-Portable2

column1:はじめは誰もが「生きること」そのものだと思っていた

column2:これまでも、これからも。すべてが付け焼刃で構成された世界

◆倍率統率ゲームは作ってはいけない

ファンタシースターポータブル2が計算という練磨の果てに行き着く先

ファンタシースターユニバースと本質はあまり変わっていなかった

ファンタシースターZEROの贈り物により戦闘システムの改善が達成され白熱したファンタシースターポータブル2だが、実際にプレイして根本や本質が大きく変貌したかというとそうではなかった。たしかに敵とのバランス調整の取り方、インフレしていたパラメータの抑制、無意味とされてきた防御力の見直し、ガード動作や緊急回避を前提とした新モンスターの動きなどが導入され、アクションゲームとして改善されているのは確かだ。ここまでなら私も、ようやく”バランス”というものを体感し趣味の範囲で楽しむ事ができただろう。

ふたを開けてみると、ポータブル2になってから追加されたフォトンアーツの性能の高さ、またユニバースから受け継いだフォトンアーツの使い勝手の悪さが目に止まった。ユニバースから受け継いだフォトンアーツを使用してみると、敵や箱にヒットした際にキャラクターのみが0.2秒ほど止まるのだ。一般的に「ヒットストップ」と呼ばれる現象だが、この作品では大きなヒットストップをあたかも駆け引き要素の1つであると仕様まがいにしている。厄介な事だ。もともとヒットストップは演算処理の関係上仕方なく起こしていたり、格闘ゲームにおける演出として両キャラクターが止まるように挿入したりするものである。

たとえば敵の集団に対して1匹に連続ヒットするフォトンアーツを使うと、プレイヤーキャラのみにヒットストップが発生し他の敵キャラはグリグリ近づいてくる。これでは敵にヒットすればするほどフリーの敵キャラに攻撃を許す結果となり、アクションの難易度を理不尽に上げてしまう。ユニバースの頃はさほど気にならないレベルだったが、ポータブル2のヒットストップは顕著だ。この大きなヒットストップのため、ダガー用アーツの「モウブセイレンザン」やスピア用アーツ「ドゥース・マジャーラ」といった素早い連続攻撃アーツのテンポが悪くなり使用に耐えなくなった。銃のチャージショットやテクニックでは一切起こらないというのに。

さらに目についたのは新しいアーツの攻撃力の高さ、攻撃対象の多さである。ユニバースが出した結論をそのまま助長するかのような多段ヒット広範囲のフォトンアーツが増え、それ以外のアーツを過去にした。他のフォトンアーツを使う必要がないという、最初のユニバースがやっていた事をそのままトレースしている点は否めない。ナックル用新アーツ「ボッガ・ランパ」、スピア用新アーツ「ドゥース・スカッド」、ツインセイバー用新アーツ「ブレードデストラクション」あたりは顕著で、それぞれユニバースのボッガ・ロバッド、ドゥース・ダッガズ初期、レンカイブヨウザン初期に相当する。敵を圧倒的なパワーでなぎ倒す瞬間はそれなりに爽快であるが、この3年前のユニバースを違う服装、違うモーションでやらされている感じに私は少々萎えてしまった。武器の人気度からしてもこの3種は群を抜いており、他の武器が全く使われていない事が見てとれる。

モンスター側にも困った調整が施された。難易度が高くなるとこちらの攻撃に全く動じない、いわゆるスーパーアーマー状態が付与され、別の意味での難易度がぐっと上がる。これはPSOで言うところのアルティメットモード坑道と同じで、明らかに近接武器での戦闘を不可能とするダメ仕様である(格闘ゲームのボスキャラクターがスーパーアーマーだった場合の極端さを想像して欲しい)。PSOの頃は「坑道にさえ寄り付かなきゃいい」「近づかずに銃だけで戦えばいい」ですんだかわいいものだったが、ユニバース初期やファンタポー2では全てのモンスターに適用される。言って見れば森〜遺跡まですべてシノワブルーしか出てこないようなもんである。これを難易度と呼んで認めるか認めないかのは個人の自由だが、筆者としてはあまり攻守の駆け引きが崩れたアクションゲームは作って欲しくないのである(結果としてフリーズトラップを連打するような、どこかで見たようなチームプレイになるのだから)。使い勝手の悪いリングコマンドも手伝って、多勢に無勢の状況がろくに楽しめない。困った事をしでかしてくれたものだ。

ZEROのメッセージを勘違いしたPSU-Po2

新アーツの熱烈優遇にダメ押しをかけたのが、皮肉にもZEROから引っ張ってきたチェイン要素だ。チェイン要素とは通常攻撃を連続で成功させるとフォトンアーツの威力がアップするというコンボボーナスのような要素で、倍々ゲームによってインフレを起こしたユニバースのダメージ計算をなんとか打破するために導入された。だがこのチェイン、ハンドガン1発でもカウントするようになっている。レンジャーの取りうる戦法を考えると致し方ない事ではあるものの、その後フォトンアーツを直撃させた際の倍率補正が半端ではなかった。どうやら最終的なダメージに倍率をかけるらしく、もともとの攻撃倍率が低いアーツよりも、攻撃倍率が高いアーツを使用したほうがダメージの増加量が大きいのである。これではいつかの二次曲線の再来だ。

ZEROでチェイン要素が良システムとされたのは、すべての武器において「通常攻撃の3段目をヒットさせなければカウントされなかった」からだ。仲間全員が通常攻撃の3段目を出し切るまでに敵キャラクターがずっとおとなしくしてくれているわけがなく、ハンターが敵キャラクターの攻撃でダウンしたりした場合はレンジャーが遠くから銃で3段目を出し切って間を埋める必要があり、それが絶妙なチームワークを生み出していたために良システムとして完結した。実際、チェイン数は3程度であってもフォトンアーツの効果は大きく跳ね上がるような仕組みになっていた。

それに対してポータブル2では自分ひとりで通常攻撃を連発するだけで延々とチェインが稼げてしまう。ツインダガーで3段目を出し切るだけで6チェインまで増やす事が可能である。チェイン要素によって補正がかかった高威力フォトンアーツはバランスブレイカーと言えるほどに大きなダメージをたたき出し、時には通常攻撃の10倍近い数値(100→1000)をたたき出す事もたやすい。それにあわせてか、ザコモンスターの中には通常攻撃だけではろくに倒せないような体力を持つ個体が存在している。

かくして、この「新アーツ万歳、チェイン万歳」仕様によって、一般的なPSU-Po2の戦略は固まってしまった。有難くもPSOのチャレンジモードを再現したモードは存在するが、もはや戦闘での立ち回りを熟考する方がバカを見るような仕様になり、どんな戦術もチェイン稼ぎ武器と当たりアーツを引けば意味を成さない。どの敵にもナックル、ツインセイバー、スピアのみで攻め込み、必要な場合はトラップによる爆弾攻撃で一掃するスタイルを誰も超えられなくなっている。もっとセイバーやスライサー、ソード、ロングボウといった玄人好みの武器で戦いたかったが、そんな熱意も口をあけてただただ見ているばかりの光景が広がっていく。

以上の事をふまえると、ファンタシースターポータブル2が導き出した”最強”に対しての結論というのは、こうなるのだ。

  1. チェイン数が素早く稼げて
  2. 攻撃モーションが素早く(ヒットストップもひどくなく)
  3. 攻撃と命中倍率が高く
  4. 攻撃回数が多く
  5. あわよくば多くの攻撃対象にヒットする(フォトンアーツ)

あまり、変わっていない…。チェイン数はツインハンドガンやナックルといったインターバルの短い武器を使用すればいくらでも稼げるので、あとは緊急回避とガードを使いこなす事ができなおかつアーツの威力が高いナックルやツインセイバーに落ち着くのだ。キャラクターを育て上げ、それぞれの武器やアーツの特色を理解した上で、ユニバースと似たような場所に落ち着くというのは私としては非常に残念で忍びない。

ファンタシースターポータブル2 インフィニティの導き出した着地点

これまでも、これからも。すべてが付け焼刃で構成された世界

数々の苦難を乗り越えつつもようやく遊べるアクションゲームの体を取り始めた「ファンタシースターポータブル2」だったが、新要素のプレゼンの目的で備え付けられた「注目してほしいブラン・ニュー・アーツ」のおかげでバランスは落ち着いていなかった。ツインセイバーの新PA「ブレードデストラクション」及びアックスの新PA「アンガ・グルッダ」の強さが際立ち、トラップをばら撒いてはブレデスを放つブレイバー達が幅を利かせていたという。マイナーバージョンアップ版となる「ファンタシースターポータブル2 インフィニティ」では、それらのバランス調整を踏まえた最終調整が行われ、PSUシリーズの集大成として錦を飾る事に…なるはずだった。

インフィニティでは不遇とされたフォースに新しいPAが追加され、レンジャーにチャージショットの別バリエーションが追加され、ソード系の攻撃アクションのスピードがアップし、高難易度のモンスターの頑強設定(スーパーアーマー)に調整が入り、強すぎたブレードデストラクション及びトラップに調整が入り、大幅な仕様変更が行われた。しかしながらバランスが取れることはなく、これまでと同じように『古きを叩き新しきを讃える』形でしか落ち着くことができなかった。

目立ったのは新テクニック「フォバース」と「サゾンデ」の存在である。フォバースは自分の周りに攻撃判定のある炎をまとわせ、触れた敵にダメージを与える攻撃テクニックであり、実質まとわせるだけでチェインを稼ぐ事ができる。本来はチェインを稼ぎにくかったフォースのために用意されたはずのフォバースだったが、このテクニックの登場により、ハンターやレンジャーが武器を持ち替えながら戦ってチェインを稼ぐ必要がなくなり、短時間にすさまじい数のチェインを稼ぐ事ができるようになってしまった。チェインシステムが崩壊した瞬間である。

フォバースに加えて戦闘システムの崩壊への拍車を掛けたのが「サゾンデ」である。サゾンデは自分の前方に数秒間ダメージゾーンを発生させる、いわゆる「置き」系の攻撃を行えるテクニックで、あろうことか打ち上げ効果がついている。通常攻撃ではなかなか動きを止めることができない大型モンスターも、スーパーアーマーが無くなった関係で反撃のタイミングが不規則になった凶悪モンスター達も、あまねく宙へお手玉し続ける事ができる。ポータブル2無印の頃に猛威を振るったスタントラップなどとは比較にならないほどの無力化能力を持ったこのサゾンデは、プレイヤーとエネミーという関係性を「サルとオブジェクト」と呼んでも差し支えないほどに風化させた。

かくして『フォバースとサゾンデで攻めてチェインが溜まったら必殺技を撃つだけ』というゲームになってしまったインフィニティは、プレイヤーの向上心をなあなあにする末路を辿ってしまった。効率化の為に最強のキャラクターは何かといった議論はいくつかなされたようだが、プレイヤーの修練やエネミーの解析といった本来あるべき手順は踏まず、装備とアビリティをそろえて手順どおりに操作すればゲームを触ったことのない素人でも最強になれるような、いい加減なゲームになっていたように思う。逆に多彩なプレイスタイルを追求する楽しみを模索する事はできたが、PSOのようなストイックに技を磨き、敵の太刀筋を見切り、阿吽の呼吸を通わすようなチームプレイゲームからは遠のいていったと感じている。

なおインフィニティにおける最強の定義については諸説あるが、根強いのはPP消費軽減かつPA威力強化の効果を持った強力なロッドを装備した女性ニューマンフォース、または強力なショットガンとフォバースを併用した女性キャストレンジャーの2種だろう。いずれも新要素をふんだんに盛り込んだカスタマイズで異常な強さを実現できる。しかしながら、それが綿密な計算と数々の精神修行から産まれるものではない事実を加味すると、何か物悲しい感じがする。

2012年になって「ファンタシースターオンライン2」のテストが本格的に始まるなど、ファンタシースターオンラインを継承しようとする作品の開発は続くが、現在の開発チーム、運営チームの権力者の動向をうかがう限りではこの体裁をいつまでも続けるつもりのようだ。常に新しいものが勝ち、古いものは叩き続けて淘汰するこの残念な運営はこれまでも、これからも本当の良さや楽しさを見つけられずに迷走し続け、新しいメニューを出しては数日で飽きられながら、ファンタシースターオンラインのシリーズを中身の無いただの課金ゲーに変えてしまうだろう。