連邦主義に関する憲法改正法案国民投票（2001年10月７日）

　投票用紙記載事項（全訳）
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　　　　　　　　　　　　　　　［憲法に関する国民投票］

　あなたは、議会で承認され、2001年３月12日付の官報第59号に掲載された、憲法第２部第５章
　の改正に関する憲法的法律の文言を承認しますか？
　
　　　　　　　　　　　　　　　【はい】　　【いいえ】
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（投票者は「はい」「いいえ」のどちらか自分の支持する方に×印をつける）

（概要）
　1990年代のイタリア政治制度の様々な改革の中で、連邦主義の導入による地方分権強化への関心
が高まった。これは一つには新興政党北部同盟の分離主義的主張によるイタリア国家への政治的挑
戦、もう一つには欧州統合が目指す「補完性の原則」によるＥＵ・国・地方間関係の再編成の流れ
に発したもので、いまだ安定しない国内政治の左右両陣営へのオールタナティヴとして地方政府が
独自に改革を唱えるようになり、国民投票による政治制度改革を訴えるレファレンダム運動もこれ
を支持したことで、改革への流れが決定的となった。

　もともと1948年施行のイタリア共和国憲法は州の設置を規定しながら、その実際の設置は1970年
になるなど、連邦主義、地方分権の憲法的保障は遅れていたといえる。今回、国民投票にかけられ
る法律は中道・左派のアマート政権のもとで今年３月に議会で承認されたもので、憲法改正法案の
承認を求める国民投票の実施が決定されていたが、総選挙実施時期に重なったため実施は総選挙後
とされ、さらに５月の総選挙で中道・右派が勝利したことで、その帰趨が注目されていた。

　下野した中道・左派連合「オリーヴの木」の全政党（８党）は、レファレンダム運動を推進して
きた「セーニの協約」、「価値あるイタリア」、左右両極に対抗する第３極を目指す中道系の新党
「ヨーロッパ民主党」などの中道・右派寄りを含む広範な改革派勢力とともに「国民投票『賛成』
のための国民委員会」（委員長＝バッソリーノ・カンパーニャ州知事＝中道・左派、前ナポリ市長）
を組織した。これには参加しない中道・右派の州知事のほとんども地方自治の強化のため、賛成投
票に支持を表明した。

　これは中道・左派側には現連立政権の構成勢力の分断を図る手段として期待されており、実際に
連立与党の中道・右派連合「自由の家」内部では、ベルルスコーニ首相が率いる最大与党「フォル
ツァ・イタリア」は連邦主義自体は支持しており、ゴーリスト的中央集権を志向する国民同盟や、
もともとは連邦主義を推進しながら中道・左派主導の改革を嫌い、今回の国民投票では棄権を呼び
かける北部同盟、各自の判断に任せた旧ＤＣ系２党などの足並みが揃っていない。総じて、連立与
党は連邦主義は否定せず中道・左派の法案の不備を指摘し、論議を加熱させない黙認ないし黙殺の
姿勢が顕著である。

　1997年以降、国民投票は有権者の改革への飽きもあって投票率50％を切り、国民投票そのものの
不成立が続いていた。今回は個々の法律の廃止の是非を問うこれまでの国民投票とは異なり、史上
初の憲法改正法案承認の国民投票であるため、投票率により無効となることはない。


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