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SG-1000,SG-100II,SG-3000
                       〜SEGA AGEの誕生〜

Maker :SEGA
発売日:1983年7月(SG-1000,SC-3000)
    1984年7月(SG-1000II)
価 格:1万5000円(SG-1000)
       2万9800円(SC-3000)3万3800円(SC-3000H(ハードキータイプ))
       1万4800円(SC-1000II)
種 別:ROMカートリッジ式家庭用テレビゲーム機(SGシリーズ)
       家庭用ホビーマイコン(SCシリーズ)


 今から18年前、セガが初めて発売した家庭用ゲーム機がSG-1000である。
SG-1000はROM方式の家庭用ゲーム機だが、同時発売された姉妹機のSC-3000は
家庭用ホビーマイコンである。
実は、SG-1000に別売りのキーボードとBASIC-ROMを入れることによって、SC-
3000と同等の性能を持つマイコンにすることが出来る。
つまり、SG-1000はSC-3000からパソコンとしての機能を取り除いた廉価版でも
ある。

 ところで、SG,SCシリーズが発売されたのは1983年7月は奇しくも任天堂がフ
ァミリーコンピュータをリリースしたのと同じ年、同じ月である。
当時はマイコンブームで、家庭用ゲーム機よりもマイコンの方が将来性がある
と思われていた、任天堂がゲーム機に特化したのに対し、セガは手堅くマイコ
ンを意識しながらも、SG-1000によって家庭用ゲーム機としても遊べるように設
計したのだろう。

 SG,SCの両機種はゲーム機としてもマイコンとしても当時としては決してコ
ストパフォーマンスの悪いマシンではなかったはずである。
特に、SC-3000という2万9800円という価格設定はマイコンとしては驚異的に安
い部類に入る。
しかも、当時の家庭用マイコンの売上を左右していたソフトのラインナップも
ゲーム機であるSG-1000のソフト資産がそのまま流用できるというメリットは大
きい。当時の家庭用マイコンは専用のゲームソフト数が少なく、その為ソフトが
出なくなると同時に本体の商品価値もゼロになってしまうというリスクがあった。

 当時としては決して悪いマシンではなかったと思うが、結果としてSC,SGシリ
ーズは同時期に発売されたファミコンの煽りをモロにくらってしまう。
原因は、ゲーム機としての性能の差が有り過ぎたことだ。
これは、必ずしもSC,SGシリーズの性能が当時の相場から見て悪過ぎたわけでは
なく、ファミコンの性能が良過ぎた為だが、同じ価格帯で、同じROMカートリッ
ジ式ゲーム機である両者を比べた時、ユーザーがどちらを選んだかは言うまでも
ない。

 セガは、1年後の1984年7月にSG-1000IIという後継機を発売するが、こちら
は性能面などのグレードアップは一切無く、ジョイスティックが1つしかつい
ていなかった1000から、ジョイパッドを2つ付けた程度のものである。
ちなみに、おいらはSG-1000に実際に触ったことは一度もないが、SG-1000のジ
ョイスティックは見ただけでも充分理解できるほど使いにくさを追求したよう
なデザインになっている。
恐らくあれではどのような持ち方で持っても安定性が無く、シューティングや
アクションゲームにはまるで向いていなかったと思われる。
実際、あの当時は、使いやすいコントローラーやジョイスティックを探す方が
大変なくらいで、ファミコンの標準パッドはそんな中にあって群を抜いて使い
やすいものだったが、後年サードパーティから発売されたファミコン専用コン
トローラーの中にもかなり使いにくいものが存在する。

 この使いにくそうなジョイスティックからファミコンと同じジョイパッド、
それも2本を始めからつけるというマイナーチェンジはどう考えてもファミコ
ンを意識したものだろう。
しかし、操作性が向上してもクォリティは変わらずファミコンゲームとの差は
大きいままだった。

 セガのゲーム機の性能がファミコンのそれを凌駕するのはMARKIIIの登場を待
たなければならないが、それまでの間、セガなんとかファミコンに対抗する為
に、セガ・マイカードというカード型ROMカートリッジでのソフト供給を始めた。
これはちょうどPC-EngineのHuカードと同じようなものだが、元々は、書き換え
可能なROMカートリッジを目指して開発されたものらしい。
しかし、現実には、書き換えは出来ず、単に小さくて薄いただのROMカードにな
ってしまった。
しかしセガは、ファミコンROMを含む旧来のROMカセットに比べて、小さい、薄
い、持ち運びに便利!というのを売りにしてこのカードに力をいれた。

 PC-Engineが登場した時も似たような売り文句があったが、元々それほど大き
い訳でもないファミコンカセットくらいの大きさを小さくすることに一体何の
意味があるといいうのだろうか?

 往年の大判煎餅のような8インチフロッピーを、5インチ、3・5インチと
ダウンサイジングすることには意味があるかもしれないが、元々カセットテー
プと変わらない程度の大きさしかないROMカセットをカードにして、持ち運び
に便利!などといわれても、殆ど意味はないと思うが、この時期、MSXにもBe
カードというこれにそっくりなものが出まわっており、マイカード、Beカード
に共通するデメリットには、本体のROMスロットがカードに対応していない為、
使用する為には、間にROM状のアダプターを挟まなければいかない、という点
である。

 目新しさを強調したい気持ちも分からないではないが、その為にユーザーに
カードの使用を強いるのは正直どうかと思う。

 ちなみに、SGシリーズには当時としては珍しくコンパチブル機が存在したと
いうことも書いておかなければならない。
コンパチブル機とは互換性のあるマシン、つまり、他メーカー製であっても、
同じソフトが利用できるマシンのことだ。
分かりやすく(?)言えば、セガサターンと日立のHiサターンや、Vサター
ンがこれにあたるが、SGシリーズのコンパチブル機は、その名も「オセロマル
チビジョン」基本的にはSG-1000と同じものだが、このマシンには始めからオセ
ロゲームが内蔵されているという特徴があった。
ちなみに、メーカーは勿論ツクだオリジナルである。


 しかし、結局SG路線は、SGII発売から1年後のSEGA MARKIII発売と共に事実
上幕を降ろすことになる。
MARK3の登場と共に性能面でのファミコンへの追い上げが一気に加速すること
となるのだ。



AXL 2001

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