美術品としてのギリシア陶器の価値は、何よりもその美しさと多様さにあるでしょう。もちろん、すべての陶器が優れているわけではなく、像の描かれた陶器は当時使用された陶器のほんの一部であって、素焼きの土器や黒く塗りつぶしただけのものがほとんどでした。また像の描かれたものでも美術品と呼べる高い品質を誇るものは僅かで、そのほとんどは雑であったり、優れた先輩の作品を模倣しただけの個性のないものだったりというのが実状です。しかしその僅かな優秀な作品は海外ではまさに一級の美術品として扱われ、近年では赤像式初期の陶器をメトロポリタン美術館が陶器としては破格の値段で落札しています。