その最大の特徴はなんといっても豊かな装飾にあります。装飾とはいうものの、同時代の日本の土器や後世の陶磁器とも全く違う独特なものでした。特に紀元前7世紀頃に誕生した黒像式(赤い陶土の上に人物像を黒く塗りつぶし、刻線で衣服や表情などを描くもの)、あるいは530年頃に生まれた赤像式(黒像式の逆で、人物のまわりを黒で塗りつぶし、その内側に筆で表情などを描くもの)は豊かな表現を可能にしました。そこに描き出されたのはギリシア神話の一場面であったり、当時の人々の生活の場面であったりと多様で、その優れた作品などは一種の絵画を見ているような感覚さえもたれるかも知れません。 |